緑内障診断SNPチップと変形プロテオミクスクラスター解析による緑内障統合的診断法の開発

文献情報

文献番号
200930008A
報告書区分
総括
研究課題名
緑内障診断SNPチップと変形プロテオミクスクラスター解析による緑内障統合的診断法の開発
課題番号
H20-感覚・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木下 茂(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 森 和彦(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学 )
  • 田代 啓(京都府立医科大学 ゲノム医科科学 )
  • 長崎 生光(京都府立医科大学 統計学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 緑内障の発症前診断が可能になれば、早期治療により失明確率が低下する。本研究では広義原発開放隅角緑内障(POAG)疾患マーカーSNPの同定および血中サイトカイン量との両データを統合した診断アルゴリズムを構築する。
研究方法
1.血液検体(平成20-22年度)
 緑内障専門医が緑内障病型および正常を詳細に判定する。同意の上採血された全血由来のDNA、血
漿、不死化細胞株を保存する。
2.カスタムチップ解析(平成22年度)
 カスタムチップには、特許申請済みSNP、近傍既知SNP、既報の緑内障関連SNPを搭載した。
3.リシークエンス(平成21年度)
 候補SNPの信頼性向上と日本人固有の新規SNPを同定するため、標的領域をリシークエンスする。
4.他病型のゲノム解析(平成22年度)
 原発閉塞隅角緑内障、落屑緑内障についてもゲノム解析を行う。
5.緑内障診断SNPチップの開発(平成22年度)
 緑内障3病型を網羅するチップを機械学習法にて作製し、別集団で診断力を検討する。
6.変形プロテオミクス解析(平成20-22年度)
 約40種の血中サイトカイン濃度を同時測定する。
7.統合アルゴリズム開発(平成22年度)
SNPとサイトカインデータを統合した診断アルゴリズムを開発する。

結果と考察
<結果>
(1)SNPデータ
 全ゲノム解析718例とカスタムチップ857例の解析結果を統合し、6個の広義POAG関連SNPを取得した。(PNAS.106:12838-12842,2009)
(2)サイトカインデータ
 125例の血漿につき4種類のサイトカインでPOAG群と正常群で有意差を認めた。
(3)診断アルゴリズム構築
 SNPデータの分析では、SVMと線形判別分析の平均判別率はそれぞれ69.79%、68.26%であった。サイトカインデータでは、それぞれ62.19%、63.84%であった。
<考察>
 6個のSNPと4個の血中サイトカインを用いてそれぞれの診断力を判定し、統合的診断アルゴリズムの生データとして供した。分析結果よりSVMによる判別関数を推測した上でそれぞれの複雑な特徴空間からブートストラップ法を用いて仮説を作る。これらの結果から集合体を構成して統合診断アルゴリズムの構築を目指す。
結論
広義POAG診断チップ、血中サイトカイン診断、そして両者を統合した診断アルゴリズムによりもたらされる成果は、発症前診断、予後予測を可能にし、緑内障患者の生活の質及び視覚機能の質の向上につながる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
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