新しい音伝導ルートによる新補聴システムの開発 -現存の気導補聴器が使用できない難聴者(耳漏のある耳、外耳道閉鎖症など)も使用可能な補聴器の開発-

文献情報

文献番号
200930006A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい音伝導ルートによる新補聴システムの開発 -現存の気導補聴器が使用できない難聴者(耳漏のある耳、外耳道閉鎖症など)も使用可能な補聴器の開発-
課題番号
H20-感覚・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
細井 裕司(公立大学法人 奈良県立医科大学 医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 阪口 剛史(公立大学法人 奈良県立医科大学 医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座 )
  • 西村 忠己(公立大学法人 奈良県立医科大学 医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座 )
  • 舘野 誠(リオン株式会社)
  • 吉野 和巳(NECトーキン株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現存の気導補聴器が使用できない難聴者を主たる対象として、気導でも骨導でもない新しい音伝導ルートである軟骨導を用いた補聴器を開発する。手術をすることなく良好な音伝達ができる補聴器の開発は、BAHA(Bone Anchored Hearing Aid:手術によって頭蓋骨にボルトを埋め込み、このボルトに骨導振動子を固定するタイプの骨導補聴器)の適応の難聴者に大きな福音となる。本研究では、軟骨導を用いるための振動子を開発し、それを使用した補聴システムを作成する。その上でその新しい補聴システムの効果について実際の臨床で使用し検討する。
研究方法
1)軟骨導振動子の検討
新開発の軟骨導振動子を補聴器に接続し、気導補聴器や骨導補聴器と比較する。また新開発の軟骨導振動子がどのような補聴器と組み合わせることによって最も有効となるのかを、音伝導と語音弁別の両面から検討する。
2)軟骨導振動子を用いた補聴器の開発
既存の気導補聴器のシステムを改良し軟骨導振動端子から十分な出力が得られる試作機を作製する。さらに現在ポケット型の試作機を改良小型化し、より使用しやすい耳掛け型の試作機の作製を行う。
3)補聴器の最適化の検討
音質調整機能、最大出力音圧、雑音抑制機能など既存の補聴器が備えている機能を流用する形で作製した試作機は必ずしも最適な状態であるとはいえない。軟骨導振動子を使用したときに最適なるように調整機構の再設定が必要である。そのために必要なデータの測定を行い最適化を行う。
結果と考察
本研究は①軟骨導振動子の開発、②この振動子の性能を最も発揮でき、現在気導補聴器が使用できない人でも音声情報を容易に得ることができる補聴器本体の開発、③臨床試験によりその性能、実用性の確認と臨床データを基にした試作器の改良、開発からなっている。
 本年度は、振動子の改良と耳掛け型タイプの補聴器の開発、試作機の完成が達成できた。また難聴者に対してフィッティングを行い効果を評価した上で貸し出しを行う臨床試験の段階までに到達することができた。実際に使用していただくことで様々な問題点や今後改善すべき点が明らかになり、更なる臨床データを積み重ねを行い、改良を進め、実用化を図りたい。
結論
開発した軟骨導振動子を用いた補聴器システムは、難聴者に対して十分な補聴効果があることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-