行動変容を促す情報提供ツールの開発とメタボリックシンドローム予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200926025A
報告書区分
総括
研究課題名
行動変容を促す情報提供ツールの開発とメタボリックシンドローム予防効果に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上田 由喜子(奈良女子大学 生活環境学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊達 ちぐさ(奈良女子大学 生活環境学部)
  • 福井 充(大阪市立大学 医学部)
  • 爲川 雄二(東北大学大学院 教育情報学研究部)
  • 岡本 尚子(奈良女子大学 生活環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
21年度は、その開発プログラムを用いた無作為化比較研究により、効果の検証を行う。対象については、肥満を伴わない有所見者すなわち特定保健指導の対象から外れる人に対しても支援が必要であることから、BMI≧23以上でリスクを持つ者も介入しリスクを一つは減らすこととする。、また、対象の6割が6ヶ月間で介入前の体重の6%以上の減量ができる事を目標に、支援方法とそのプログラム内容について比較検証し、有効な保健指導の方法を提案する。
研究方法
対照群をおいた無作為化比較試験とする。対象者には研究計画を説明し、計画案に賛同した人から文書によるインフォームドコンセントを得る。決定された対象者全員に、アセスメントシートを作成し、特定健診結果と突き合わせ、対象者それぞれの達成目標と実行プランを準備し初回面談を行う。2群に分けた後6ヶ月間の継続支援を行う。支援計画として、定期的なメールや電話での指導は専門家が行うが、主に励ましと継続を目的としたメールについては自動配信を設定し、技法を組み合わせた支援により行動変容に導く。教材として、「メタボ克服講座」やコラムの配信、仮想地図を用いたウォーキング継続支援と食に関する情報提供を行う。
 対象の6割が6ヶ月間で介入前体重の6%以上の減量ができる事を目標に、支援方法やプログラム内容の効果について、行動目標の達成度や生活習慣の改善状況などから評価し、有効な保健指導プログラムを提案する。
結果と考察
 介入群は、情報提供により食行動に変化(改善)が認められ、運動の習慣化に伴い運動量も増加した。また体重・BMI・腹囲が、それぞれ3%以上有意に減少した。対照群と比較し効果は認められたが、今回対象人数が少なかったことから、更なる検証が必要である。また、介入3ヶ月後から体重の減少やプログラムへの取り組みが鈍くなり、このことが目標である6%の減量に達しなかった原因の一つと考えられる。プログラムの更なる検討も必要である。
 
結論
 ITを活用した行動変容プログラムによる継続支援は、男性勤務者ではBMIや腹囲の改善が認められ有効であった。

公開日・更新日

公開日
2010-04-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200926025B
報告書区分
総合
研究課題名
行動変容を促す情報提供ツールの開発とメタボリックシンドローム予防効果に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上田 由喜子(奈良女子大学 生活環境学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊達 ちぐさ(奈良女子大学 生活環境学部)
  • 福井 充(大阪市立大学 医学部)
  • 為川 雄二(東北大学大学院 教育情報学研究部)
  • 岡本 尚子(奈良女子大学 生活環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、時間の都合がつかない主に勤労男性を対象に、非対面による継続支援とセルフコントロールが可能なITシステムを構築し、そのシステムによるプログラムがメタボリックシンドロームの予防および改善に有効であるか検証する。
研究方法
 システムは、学習理論に基づき、個人が健康的な習慣行動を身に付けるための技法を取り入れている。
 対象は、特定保健指導の対象者およびBMI23以上で生活習慣病のリスクをもつ者とした。研究デザインは、個人ごとに割り付けるのではなく集団(組織)ごととする準実験デザインとし、特定保健指導の最初の面談の早い方の企業に勤務する対象者を介入群、もう一方の企業の対象者を対照群とした。介入群には本開発システムによるプログラムに基づき6ヶ月間の継続支援を行い、対照群は定期的な指導のみとした。
結果と考察
介入群の6ヶ月後の結果は、体重(3.4%減 P<o.oo1)、BMI(5.2%減 P<0.001)、腹囲(3.3%減 P<0.01)ともに有意に減少した。食行動に関しては、下位尺度である「食物選択と社会との繋がりを理解」、「食事バランスへの意識」、「食物選択動機の合理性」については高まり、有意な差が認められたが、他の因子や食べる力、栄養バランス得点には教育前後で差は認められなかった。これらの結果から、非対面の継続支援により改善は可能であり、都合のいい時間に教育を受けたい働き盛りの男性には有効な方法であることが示唆された。しかし、3ヶ月後から入力状況がやや落ち込み、体重の減少も停滞気味になってきた。ITを用いた介入は便利で有効ではあるが、3ヶ月の時点で情報の更新や工夫をするなど、参加意欲を継続させる働きかけがシステムに必要である。

結論
 本研究では、介入群に体重、BMI、腹囲、食生活改善行動に改善が認められ、ITによる非対面の継続支援はメタボリックシンドロームの予防と改善に効果があり、都合のいい時間に教育を受けたい働き盛りの男性には有効な方法であることが示唆された。しかし、2年間ではいくつかの課題も残り、今後の継続した研究が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200926025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 今回は、行動変容を目的として、食行動の変化、運動の習慣化、体重・BMI・腹囲の減少を評価した結果、開発システムは行動変容に有用であり、メタボリックシンドローム予防プログラムとして活用できることが示唆された。
臨床的観点からの成果
 臨床的観点からの評価は、研究期間が短くできていない。1年後の健診結果のデータにより評価したい。BMI、腹囲ともに有意に減少していることから、臨床的にも有効な影響があるのではないかと考えられる。
ガイドライン等の開発
ガイドライン等は開発していない。
その他行政的観点からの成果
 今後、特定保健指導等に反映させていきたい。
その他のインパクト
 特定保健指導実施機関から、某施設の職員に対する健康講座(40人ぐらいの集団教室を年150回)で自己管理ツールとして、今回の開発システムを提案してもよいか(22年度)依頼がある。
 

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-