わが国の成人の喫煙行動及び受動喫煙曝露の実態に関する全国調査

文献情報

文献番号
200926023A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の成人の喫煙行動及び受動喫煙曝露の実態に関する全国調査
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 拓治(鳥取大学 医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 大井田 隆(日本大学 医学部公衆衛生部門)
  • 福島 哲仁(福島県立医科大学 医学部衛生学・予防医学講座)
  • 神田 秀幸(福島県立医科大学 医学部衛生学・予防医学講座)
  • 谷畑 健生(国立保健医療科学院 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
25,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の成人を代表する、喫煙行動の実態と受動喫煙曝露の実態を明らかにする。受動喫煙の曝露の中長期的な実態を客観的に把握するために毛髪を採取し、ニコチンとコチニンを測定し、面接調査の結果と比較分析する。
研究方法
全国から20歳以上の成人を無作為に抽出し、訪問面接調査を実施し、1783名の回答を得た(回答率63%)。また、中長期の受動喫煙曝露の客観的な指標として、毛髪中のニコチンとコチニンを高速液体クロマトグラフィを用いた方法により、感度よく、しかも比較的短時間に多くのサンプルを分析できる系を確立した。毛髪は、250検体得られた。
結果と考察
 喫煙経験者率は、男性70.6%、女性21.0%、合計44.5%であり、現在喫煙者率は、男性36.1%、 女性8.3%、合計21.1%であった。毎日喫煙者率は、男性34.3%、女性7.1%、合計19.6%であった。成人人口に占めるニコチン依存(中等度以上)の割合は男性で約2割、女性で約4%であった。禁煙希望者は男性4割強、女性5割近くあり、この1年間で止めようとした者は男性約2割、女性約3割であった。医療機関受診時や健康診断受診時に喫煙暦を問診され、禁煙の指導を受けたものはいまだに少なく、特に女性の喫煙者は指導を受けていなかった。職場などの受動喫煙防止の方法についての正しい知識を持っているもののも、実際、自分の職場や学校が建物内禁煙である者の割合はいずれも3割程度であった。喫煙行動は飲酒行動(問題飲酒)との関連が強く、睡眠障害(短睡眠時間と入眠困難)との関連も認められた。
 毛髪による受動喫煙曝露量測定:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)と紫外可視検出器(UV) を用いたHPLC/UV法により測定した。毛髪のニコチン値は、現在喫煙者19.23ng/mg、非喫煙者1.61ng/mg、コチニン値は、現在喫煙者1.84ng/mg、非喫煙者0.20ng/mgであり、現在喫煙者と非喫煙者を明確に区別できた。非喫煙者では、家庭や職場の受動喫煙曝露の頻度が高い場合に毛髪での値が高い傾向にあった。毛髪ニコチン値やコチニン値を従属変数にして、重回帰分析を実施すると、職場の受動喫煙曝露や遊技場での曝露が関連している可能性が示唆された。
結論
 わが国を代表する成人の喫煙行動の実態と課題を明らかにし、禁煙指導の不足、受動喫煙防御策の不十分さが指摘された。受動喫煙の曝露状況を量的に把握するバイオマーカー測定方法を確立し、調査票結果との関連も認められた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-13
更新日
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