健康危機管理センターと多分野連携体制の推進のための研究

文献情報

文献番号
202227030A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理センターと多分野連携体制の推進のための研究
課題番号
22LA2004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
久保 達彦(広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 立石 清一郎(産業医科大学  両立支援科学)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
10,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公衆衛生/健康危機管理に関係する国際保健規則(IHR: International Health Regulation)等の国際規則や国内外の関係先行事例を検討し、WHOが加盟各国に設置を推奨している健康危機管理センター(PHEOC: Public Health Emergency Operations Center)の我が国におけるあり方を、多分野連携体制も含めて検討し明らかにすること。
研究方法
国内調査・国際調査・連携分野調査に大別して調査を進捗し、本邦の既存の災害・健康危機管理体制に適応しやすいPHEOCモデル(ソフト/ハードの両面)(案)の研究開発に必要な情報を収集した。国際調査では米国、カナダ、イスラエルのPHEOCに相当する政府機関を現地訪問し、体制等について聴取した。
結果と考察
我が国には健康危機発生時に厚生労働省や地方自治体内に対策本部を迅速に立ち上げる体制はすでに存在するが、本部対応体制の立ち上げはハザード別に規定されており、オールハザード対応を行う常設型のPHEOCは存在しない。また、健康危機管理対応に関係する政府、関係省庁、地方自治体、民間関係機関等の関係団体との関係性を健康危機オペレーションの観点から整理した組織図の整備が不十分である。
PHEOCを設立するためには、①センターの存在、②さまざまな緊急事態における役割、③その責任と説明責任、④地域、国、国際的な資源を活用した作戦計画や調整機構、⑤予算編成や資金配分等について明記した体系的な健康危機管理の枠組みが必要である。また体制として、PHEOCには主要関係機関のトップ、専門家、政府関係者等が参集し、PHEOCに政策的ガイダンスを提供するポリシーグループ(政策グループ)と呼ばれる組織体、及び、同グループのもとでPHEOCの具体的運営や計画を遂行するステアリングコミッティ(運営委員会)が設置されることが推奨されている。PHEOCモデル(案)の開発にあたっては、これらPHEOC構築に必要な要素を、まずは既存の取り組みから同定し抽出すること、既存の取り組みがない場合は新規に創出してそれらを有機的に組み合わせて体系化していく必要がある。
健康危機管理に関わる多数の関係機関が連携して対応能力を最大化していくためには、関係機関の間で危機管理オペレーションに係る共通的な手法が導入されている必要がある。国際調査の結果、諸外国においては当該共通手法としてICS(Incident Command System)が導入されていた。国内においては類縁する取り組みとしてDMAT等の災害医療分野が英国から導入したCSCA(Command and Control, Safety, Communication, Assessment)というコンセプトが広く普及している。今後、ICSと我が国で普及するCSCAの違いを分析し、国際連携にも耐える手法を広く関係団体で採用し、健康危機管理対応における共通言語として確立していく必要がある。
PHEOCは健康危機が発生している現場からの情報報告なくして機能することはない。すなわち国レベルでのPHEOC設置は、地方自治体における健康危機管理体制強化とともに検討される必要がある。PHEOCの実効性を担保するためには、国PHEOCと各都道府県の健康危機管理を所管する部局との緊密な連携体制の構築、都道府県健康危機管理部局による保健所等からの情報一元化体制の強化、地域による機動力を有する効率的な人員配置の実現等サージキャパシティの調整機能強化等が重要と考えらえる。
結論
国~広域レベルでの健康危機に対応するPHEOCの我が国におけるあり方を本邦の既存健康危機管理体制の分析、諸外国の健康危機管理体制の分析を踏まえつつ検討し本邦の既存の災害・健康危機管理体制に適応しやすいPHEOCの枠組みや不可欠な要素を同定した。今後、健康危機管理の前線に立つ都道府県等における保健医療福祉調整本部の研究班とも連携のうえ多分野連携の仕組みを持ったPHEOCモデル案を作成し、机上訓練を通じて、ブラッシュアップする。

公開日・更新日

公開日
2023-07-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
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倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202227030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,779,000円
(2)補助金確定額
13,711,000円
差引額 [(1)-(2)]
68,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 846,279円
人件費・謝金 2,039,072円
旅費 5,870,776円
その他 1,776,494円
間接経費 3,179,000円
合計 13,711,621円

備考

備考
研究分担者、立石清一郎に配分した直接経費、500,000円の内、67,379円の残額が発生した。当初想定していた国内旅費を圧縮することができたため。

公開日・更新日

公開日
2023-09-14
更新日
-