文献情報
文献番号
202227025A
報告書区分
総括
研究課題名
オールハザード・アプローチによる公衆衛生リスクアセスメント及びインテリジェンス機能の確立に資する研究
課題番号
21LA2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
- 安村 誠司(福島県立医科大学 医学部公衆衛生学講座)
- 市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
- 関本 義秀(東京大学生産技術研究所 人間・社会系部門)
- 大西 光雄(国立病院機構 大阪医療センター 救命救急センター)
- 沼田 宗純(東京大学 大学院情報学環・学際情報学府/ 生産技術研究所)
- 高杉 友(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
10,656,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
オールハザード・アプローチによる公衆衛生リスクの分析・アセスメントモデルの作成、事案発生時の迅速な状況把握・分析、効果的なリスクコミュニケーションを可能にするインテリジェンス機能のあり方の提案を主な目的とする。
研究方法
災害・健康危機管理において重要となるハザード・脅威についてのリスクアセスメントの動向について、研究代表者、研究分担者の専門性の観点から、感染症・バイオテロ等、放射線・原子力、化学物質、自然災害に関する手法・好事例の整理を行い、WHOの文書等を基にリスクアセスメントのためのガイダンス案を作成した。災害リスク指標を定義し、そのリスク指標を算出するとともに、ダッシュボードを作成し、多様な地域での災害リスクの可視化を行った。感染症危機を想定し、空間情報を用いて感染状況の円滑な保健所への報告スタイルについてシミュレーションを行った。災害救助法が適用された自治体の検証報告書を用いてデータベースを構築し、保健医療に関する課題抽出を行った。
結果と考察
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株についてのリスクアセスメントの実施結果から、一般的な評価情報(生物学的評価、臨床評価、疫学評価)が十分でない場合の政策決定者とのコミュニケーションの重要性を確認できた。海外の化学物質対応から、遅発性の影響や心理学的影響、イベント後のモニタリングに関する項目など、二次的、間接的なリスクについても把握する必要性が確認できた。曝露人口推計・インフラ・支援物資・保健医療福祉・経済の5つのリスク指標を用いて、仮想の地震災害発生時の震度分布を用いて、被害推計と可視化を行うことにより地域のリスクを迅速に把握する手法を構築した。また、自治体の全人口の擬似人流データを用いて感染症流行時の地域の感染者数の割合から対応を要する人口を算出した。災害救助法が適用された自治体の検証報告書のデータベースを構築し、災害時の保健医療に関する課題抽出を可能にする分析環境を整備した。日本の災害リスク情報が把握可能な資料のリストを作成するとともに、WHOの文書等を基にわが国でも使用可能なリスクアセスメントのためのガイダンス案を作成した。
結論
事案発生時の迅速かつ適切なアセスメントには、さまざまな分野の知見の統合的解釈の手法の構築と人材育成が重要である。また、シミュレーションによる地域の被災リスクの推計と可視化を可能にするシステムの構築等を行うとともに、WHOのリスクアセスメントモデルに基づいた、リスクアセスメントのガイダンス案を作成した。今後の実用に向けて、保健医療分野だけでなく関係機関との協働による情報基盤の整備やシナリオの作成、訓練・演習などの継続的な取り組みに繋げたい。
公開日・更新日
公開日
2023-07-25
更新日
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