文献情報
文献番号
202227016A
報告書区分
総括
研究課題名
ICT活用による保健師活動評価手法の開発及びPDCAサイクル推進に資する研究
課題番号
22LA1005
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田口 敦子(慶應義塾大学 看護医療学部/健康マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
- 村嶋 幸代(大分県立看護科学大学 看護学部)
- 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
- 水流 聡子(東京大学 工学系研究科)
- 杉山 大典(慶應義塾大学看護医療学部)
- 宮川 祥子(慶應義塾大学 看護医療学部/健康マネジメント研究科)
- 石川 志麻(慶應義塾大学 看護医療学部)
- 加藤 由希子(山名 由希子)(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
- 平野 優子(慶應義塾大学 看護医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 加藤由希子
慶應義塾大学看護医療学部(令和4年4月1日~令和5年3月31日)
→ 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)(令和5年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
質の高い地域保健サービスを提供するためには、PDCA (Plan, Do, Check, Action) サイクルに基づき、地域保健施策の展開と評価を行うことが不可欠である。しかし現在、自治体における保健師活動の評価が十分行われているとは言えない。また、健康や医療分野のデジタル化が進む中、地域保健行政におけるInformation and Communication Technology (ICT) 活用は遅れをとっている。より良い保健師活動の展開および、業務の効率化に向けて、ICTの活用は喫緊の課題である。そこで本研究の目的は、保健師活動の評価指標を検討すること、PDCAサイクルに基づく活動の展開に向けた、保健師活動マネジメントツールを開発すること、保健師のICT活用およびデータ分析スキル向上プログラムの開発を行うことである。これら3つの目的達成に向け、3つの分担研究を行う。なお本研究では母子保健領域に焦点を当てる。その理由は、保健師活動を網羅的に含む領域であり、母子保健法が定める事業が全国の自治体において一定水準で行われており、現在大きな社会的問題となっている人口減少に対し、出生と子育てへ支援への貢献も期待できるためである。
研究方法
分担研究1では、2022年8~10月にかけて、母子保健に関する電子データシステムを導入している1市の保健師にヒアリングを行い、母子保健に関する既存の電子データ項目についての情報収集を行った。さらに、2022年4~8月にかけて文献レビューを行い、状況確認や個別支援を要する妊婦への保健師活動の評価指標案を検討した。
分担研究2では、2022年4月~2023年3月にかけて、ワーキンググループにより、母子の体験プロセスおよび母子と保健師活動の接点を可視化するために、異なる親子タイプを類型化した仮想の事例モデルであるペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップ(CJM)を作成した。そしてCJMで明らかにした情報をもとに、母子保健版臨床プロセスチャートの構造や構成単位を検討し、暫定版のチャートを作成した。
分担研究3では、文献レビューを行い、保健師のICT活用における促進要因・阻害要因を明らかにした。その結果をもとに、2022年6月~8月にかけて、ワーキンググループで保健師のICT活用状況やデータ分析スキルに関する現状把握に向けた全国調査の項目を検討した。
分担研究2では、2022年4月~2023年3月にかけて、ワーキンググループにより、母子の体験プロセスおよび母子と保健師活動の接点を可視化するために、異なる親子タイプを類型化した仮想の事例モデルであるペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップ(CJM)を作成した。そしてCJMで明らかにした情報をもとに、母子保健版臨床プロセスチャートの構造や構成単位を検討し、暫定版のチャートを作成した。
分担研究3では、文献レビューを行い、保健師のICT活用における促進要因・阻害要因を明らかにした。その結果をもとに、2022年6月~8月にかけて、ワーキンググループで保健師のICT活用状況やデータ分析スキルに関する現状把握に向けた全国調査の項目を検討した。
結果と考察
分担研究1では、母子保健活動に関する既存の電子データ項目として、保健師が関わった事業の種別や対象、手段、継続性、内容等が明らかになった。さらに、妊婦への保健師活動の評価指標として、【地域育児】【ゆったり気分】 【育てにくさ】【育てにくさ解決】および、対象者の【支援や各種事業の利用の受け入れから能動的な相談や事業利用への変化】が挙げられた。これらの評価指標案の妥当性や、PDCAサイクルを回すうえでどのように寄与するか、検証していく必要がある。
分担研究2では、6種類のペルソナを設定し、親子の体験11時点および保健師が接触可能な点39か所、データ収集可能な接点6か所を特定したCJMを作成した。そこで得られた知見をもとに、保健師活動の俯瞰図と、保健師活動マネジメントツールの一つである「母子保健版臨床プロセスチャート」(暫定版)を作成した。チャートの縦軸に3要素、横軸に4要素を特定した。これらの現場の立場から見た内容の妥当性や、実際の保健師活動への活用可能性については検証できておらず、今後さらなる論理的修正および検証が必要である。
分担研究3では、文献レビューの結果、保健師のICT活用の促進・阻害要因が明らかになった。保健師個々人のみならず、所属組織全体への介入が必要であると考えられた。さらに、保健師のICT活用およびデータ分析スキルに関する調査項目の枠組みとして、ハード面・ソフト面・ICT活用スキル・ICT活用取組みの4要素が特定された。今後、この調査票を用いて全国の自治体保健師の実態を把握していく必要がある。
分担研究2では、6種類のペルソナを設定し、親子の体験11時点および保健師が接触可能な点39か所、データ収集可能な接点6か所を特定したCJMを作成した。そこで得られた知見をもとに、保健師活動の俯瞰図と、保健師活動マネジメントツールの一つである「母子保健版臨床プロセスチャート」(暫定版)を作成した。チャートの縦軸に3要素、横軸に4要素を特定した。これらの現場の立場から見た内容の妥当性や、実際の保健師活動への活用可能性については検証できておらず、今後さらなる論理的修正および検証が必要である。
分担研究3では、文献レビューの結果、保健師のICT活用の促進・阻害要因が明らかになった。保健師個々人のみならず、所属組織全体への介入が必要であると考えられた。さらに、保健師のICT活用およびデータ分析スキルに関する調査項目の枠組みとして、ハード面・ソフト面・ICT活用スキル・ICT活用取組みの4要素が特定された。今後、この調査票を用いて全国の自治体保健師の実態を把握していく必要がある。
結論
3か年計画の1年目にあたる令和4年度は、状況確認や個別支援を要する妊婦に対する保健師活動の評価指標を検討し、母子保健版臨床プロセスチャート(暫定版)ならびに、保健師のICTおよびデータ活用に関する調査票を作成した。令和5年度からは、今回検討した保健師活動の評価指標案の妥当性を検証し、評価方法の確立を目指す。また、作成した臨床プロセスチャート(暫定版)の論理的修正および検証を行い、これらを搭載したアプリケーションを開発する。さらにこのツールを現場で活用していくために、保健師のICTおよびデータ分析スキルに関する実態を把握し、その結果をもとに、DX時代に応じた保健師の人材育成プログラムを開発していく予定である。
公開日・更新日
公開日
2024-04-01
更新日
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