難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200925038A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 竜三(愛知淑徳大学 医療福祉学部)
  • 大竹 茂樹(金沢大学 医薬保健研究域)
  • 直江 知樹(名古屋大学 医学系研究科)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
  • 小林 幸夫(国立がんセンター 中央病院)
  • 金丸 昭久(近畿大学 医学部)
  • 品川 克至(岡山大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 宮脇 修一(東京都立大塚病院 血液内科)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 竹内 仁(日本大学 医学部)
  • 伊藤 良和(東京医科大学 医学部)
  • 熱田 由子(名古屋大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,269,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、成人白血病に対し遺伝子変異等のスクリーニングにより疾患の層別化を行ない、分子基盤に基づいた新たな標準的治療法の確立を目的とする。
研究方法
 本年度は、急性骨髄性白血病に対して染色体・遺伝子変異に基づき造血幹細胞移植を含めた層別化治療の有効性と安全性の検討を行うAML209試験、イマチニブ耐性慢性骨髄性白血病に対し第2世代チロシンキナーゼ阻害薬を比較するCML210R試験の2つの新規プロトコールが策定された。他の白血病の各病型に対しては臨床試験を継続した。本研究はJALSGとの共同研究である。
結果と考察
 急性前骨髄球性白血病(APL204試験)、急性リンパ性白血病(ALL202-O試験、Ph+ALL208試験)、高齢者白血病(GML208試験)、慢性骨髄性白血病(CML207試験)、イマチニブ間歇投与試験(CML-DR1試験)、高リスク骨髄異形成症候群(MDS206試験)、急性骨髄性白血病全体に対する前方向コホート研究(CS-07研究)、および血液疾患に併発する浸襲性糸状菌感染症の実態を把握するJASPER研究はそれぞれ登録を継続中である。また急性骨髄性白血病については、ゲムツズマブ・オゾガマイシンと化学療法併用の第1相部分が終了し第2相試験の推奨用量が決定した。
 長期成績の解析では、イマチニブ併用化学療法であるPh+ALL202試験において、55歳以下での移植症例の再発率は18%と低く3年全生存率も65%であった事から、本治療法は予後不良とされていた疾患に対する画期的治療法と考えられた。さらに非移植症例の再発を防ぐ事および移植症例の移植関連死亡を減らす事が治療の改善につながると考えられた。再発・難治性急性骨髄性白血病に対する第2相試験FLAGMの解析では、完全寛解率は70%に達し、その後造血幹細胞移植を受けた症例の30%が長期生存している事から、このレジメンは有望な救援化学療法である事が明らかになった。また白血病治療における感染予防・治療に関する調査研究では、新規抗真菌剤の使用など種々の変化が明らかとなり、発熱性好中球減少症ガイドラインの再検討の必要性が示された。
結論
 急性骨髄性白血病においては、染色体異常に加え新たに示された各種遺伝子異常の予後に及ぼす影響を日本人症例で確認し、予後不良症例に対する移植を含む強力な化学療法の開発が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-