「専ら医薬品」たる成分本質の判断のための調査・分析及び食薬区分リストの整備に関する研究

文献情報

文献番号
202225029A
報告書区分
総括
研究課題名
「専ら医薬品」たる成分本質の判断のための調査・分析及び食薬区分リストの整備に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 美千穂(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 大塚 英昭(安田女子大学薬学部)
  • 袴塚 高志(日本薬科大学 薬学部)
  • 内山 奈穂子(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 政田 さやか(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所  安全情報部第三室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
研究の目的:人が経口的に服用する物について医薬品に該当するか否かの判断は、薬機法に照らして行われるが、その判断に資するよう、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日薬発第476号)」(46通知)において「医薬品の範囲に関する基準」が示され、その例示が「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト(専医リスト)」及び「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト(非医リスト)」に掲げられている。本研究の目的は、専ら医薬品たる成分本質を適切に判断するための調査・分析を行い、また、既存の例示リストの見直し・整備を行うことで、無承認無許可医薬品の流通を防止し、国民の健康と安全を確保することである。

研究結果の概要:専ら医薬品リストに例示される成分であるかどうか、依頼のあった成分本質について文献調査等を行った結果、天然物由来の4品目(うち3品目は再検討)及び化学物質2品目について、医薬品の成分本質に関するワーキンググループ(食薬区分WG)での議論が必要と考えられ、WGへ調査結果を提出した。区分リストの整備としては、非医リストの全品目について、相当する学名についての検討を開始し、リスト見直しの素案を作成した。グレーゾーンの植物体に関する研究では、沖縄地方に分布するツツジ科スノキ属ギイマ、アカネ科キンコナ属及びレミジア属植物8種、キョウチクトウ科ビンカ属ツルニチニチソウについてそれぞれ成分研究を行い、アルカロイド成分を含むアカキナノキ近縁種、またツルニチニチソウについては、現状では専ら医薬品リストに例示されていないものの、リスト中にあがっている植物と同様の成分種、成分含量であることが判明した。諸外国における食薬区分制度に関する研究では、米国の制度と日本の専ら医非医リストを比較検討したが、その成分本質が医療目的で効果効能を謳っていれば米国では植物薬として扱われている可能性が高く、それ以外は食品に分類され、特にダイエタリーサプリメントとして扱われる可能性が高いものの、使用許可があるものに相当するかどうかは、あらゆる方面から丁寧に調べなければ判別できないと結論された。

研究の実施経過:「食薬区分の判断に関する検討」では、1) 名称、他名等、部位等、備考、2) 学名、基原植物和名等、生薬名、英名等、3) 医薬品としての使用実態、4) 毒性データ、5) アルカロイド、毒性タンパク、毒薬劇薬指定成分等の含有、等の調査項目について検討した。「食薬区分リストの整備に関する研究」では、リスト中の植物性の各成分本質について、参考図書、植物分類学で汎用されているデータベース等を総合的に参照しながら相当する学名をひとつひとつ挙げていく作業を行った。「グレーゾーンの植物体に関する研究」では、各種クロマトグラフィーによる分画とNMRスペクトルによって(ギイマ)、LC/MS/MS定量法によって(ツルニチニチソウ)、文献調査及び各種データベースを用いた調査によって(キンコナ属及びレミジア属植物)行った。「成分本質(原材料)の分類変更に関する調査」では、文献,各種公定書やデータベースなどを参考とし、成分本質(原材料)の分類にかかる照会様式(植物・動物等由来)に沿って調査を行った。「諸外国における食薬区分制度に関する研究」では、米国食品医薬品局(FDA)などの公的機関の公表資料を参考に、医薬品と食品の定義、食薬区分に関連した法的な枠組み、ガイドライン等について調査した。

研究成果の刊行に関する一覧表:日本食品化学学会誌.2022;29 (3):184-188, トウゲシバ(Huperzia serrata)関連製品の流通実態調査.田中誠司,辻本恭,小関良宏,袴塚高志,内山奈穂子

研究成果による知的財産権の出願・取得状況:該当なし

研究により得られた成果の今後の活用・提供:本研究の成果は、都道府県衛生主管部(局)長宛「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示の一部改正について」のリスト改正の検討用資料として活用された。改正された内容は、令和4年10月24日、令和4年12月19日(同12月27日に一部修正)、令和5年2月17日に通知として発出され、一般に情報提供された。今後も同様に本研究の成果は、厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課長よりの通知として公表されるリスト改正のための検討に活用される。グレーゾーン植物体に関する研究の成果は、並行して進めている専ら医・非医薬品成分本質例示リスト整備作業に情報提供され、活用される。

公開日・更新日

公開日
2024-08-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-08-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202225029Z