タイムスタディ等の定量的な検討を踏まえたがん医療における専門スタッフの効果的な配置や支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200925009A
報告書区分
総括
研究課題名
タイムスタディ等の定量的な検討を踏まえたがん医療における専門スタッフの効果的な配置や支援のあり方に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大野 ゆう子(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎和男(大阪大学 大学院工学研究科 )
  • 松村泰志(大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 水木満佐央(大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 横内光子(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 金谷一朗(大阪大学 大学院工学研究科 )
  • 越野八重美(大阪電気通信大学 医療福祉工学部)
  • 鈴木珠水(群馬パース大学 保健科学部)
  • 笠原聡子(高知大学 教育研究部医療学系看護学部門)
  • 岡田志麻(立命館大学 理工学部)
  • 清水佐知子(大阪大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
18,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現場に負担をかけないタイムスタディ等定量的調査・検討方法を開発し,がん診療連携拠点病院(以下,がん拠点病院)に期待される機能を果たすために必要な,業務・役割・稼動環境のあり方,専門スタッフの配置および専門スタッフの育成環境のあり方を検討する.具体的には,業務プロセスの把握および検討方法,地域がん医療におけるがん拠点病院の位置づけ,がん患者の療養環境および専門スタッフの職場環境と支援のあり方等について調査および検討方法の開発を目的とする.
研究方法
最終年度にあたる本年は,無人タイムスタディに関する研究,タイムプロセススタディに関する研究,地域がん治療の実態把握に関する研究,がん治療に関与する専門職教育に関する研究および在宅がん療養患者支援に携わる専門スタッフの働き方に関する研究を進めた.
結果と考察
[無人タイムスタディ]ビデオ画像処理により看護上重要な特定行動等を抽出する,看護師を自動特定し移動軌跡を抽出する等の方法を開発した.記録時間を自動記録するタイムペンを開発した.オドメトリ法により車椅子の移動軌跡を再現する方法を構築した.音声パラメータ分析により気配り特性を抽出する方法を提案した.[タイムプロセススタディ]他計式タイムスタディにより病棟移送業務を調査し,タイムプロセススタディにより業務分析を行った.ヒアリングをもとに外来化学療法部業務のタイムプロセススタディを行った.さらにシミュレーションによって,運営方法の改善により移動看護師の減少が可能であること,患者の待ち時間を減らせることを明らかにした.タイムプロセススタディによる業務の中断が看護業務に及ぼす影響分析も行った.[地域がん医療実態]受療行動分析,都道府県別がん罹患数推計を行った.[専門職教育・専門職稼働支援]がんプロフェッショナル養成コースの完成年度のカリキュラム,運用上の問題を明らかにした.がんリハビリテーション支援者の育成上の問題を検討し,訪問看護ステーションにおける看護師の情報連携上の問題を検討した.
結論
無拘束非侵襲かつ比較的安価で移設可能な無人タイムスタディ法および業務を可視化し分析するタイムプロセススタディ法を開発,実証的検討を行った.がん対策の基盤となるがん受療動態,罹患数推計値を報告した.さらに専門職教育,専門職間の連携,在宅医療のあり方についても実証的検討を進めた.

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200925009B
報告書区分
総合
研究課題名
タイムスタディ等の定量的な検討を踏まえたがん医療における専門スタッフの効果的な配置や支援のあり方に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大野 ゆう子(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 門田守人(大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 川崎和男(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 松村泰志(大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 水木満佐央(大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 横内光子(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 金谷一朗(大阪大学 大学院工学研究科)
  • 越野八重美(大阪電気通信大学 医療福祉工学部)
  • 中村亜紀(京都女子大学 家政学部)
  • 鈴木珠水(群馬パース大学 保健科学部)
  • 笠原聡子(高知大学 教育研究部医療学系看護学部門)
  • 岡田志麻(立命館大学 理工学部)
  • 清水佐知子(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現場に負担をかけないタイムスタディ等定量的調査・検討方法を開発し,がん診療連携拠点病院(以下,がん拠点病院)に期待される機能を果たすために必要な,業務・役割・稼動環境のあり方,専門スタッフの配置および育成環境のあり方等を検討する.具体的には,無拘束非接触かつプライバシィを保護でき安価で移設可能なタイムスタディ法及び業務プロセスの可視化法の開発,地域がん治療におけるがん拠点病院の位置づけ,がん患者の療養環境および専門スタッフの職場環境と支援のあり方についての調査・検討方法の開発を目的とする.
研究方法
初年度は,定量的調査により測定すべきものについて40以上の施設に対し聞取り調査を実施し,二年目には,測定対象の機能別に問題を絞った調査・検討方法の開発を重点的に行った.最終年度では,臨床的検証を進め,併せて地域がん治療実態の把握法,専門職教育のあり方,がん患者の療養環境・専門スタッフの職場環境のあり方等に関する研究を行った.
結果と考察
無人タイムスタディを目標に,記録時間と使用色を自動記録できるタイムペンの開発,ビデオ画像の差分処理による医療スタッフの自動特定・移動軌跡検出および特定行動の検出法の開発,オドメトリ法による車椅子等の軌跡再現法,音声パラメータの分析による気配り特性の抽出法等を開発した.業務の可視化については,他計式タイムスタディやインタビュー調査をもとにしたタイムプロセススタディを開発し,中断業務の影響分析などを行った.がん拠点病院の地域医療における機能評価法としては地域がん登録に基づく集中化・均てん化の評価法および都道府県別罹患推計について提案した.さらに,がん専門スタッフ養成コースのカリキュラムおよび運営の検討,訪問看護スタッフの勤務ストレス実態やがんリハビリ支援の人材育成等に関し興味深い知見を得た.また,医学,医療情報学,看護学,工学,介護学の研究者による実質的に協同可能な看工融合研究チームが実現した.
結論
無人タイムスタディの実現にむけた計測・分析方法の開発,業務プロセスの可視化による新たな業務分析法であるタイムプロセススタディの開発,地域のがん治療レベル及びがん拠点病院の機能評価に関する研究,専門職教育に関する調査・検討,がん患者の療養環境及び専門スタッフの職場環境と支援に関する研究等を行い,臨床応用可能な知見と実績を得た.

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200925009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
業務の可視化に時間情報を加味した新たな業務分析手法であるタイムプロセススタディの開発,プライバシィを考慮し現場に負担の少ない無拘束非接触で安価かつ移設可能な無人タイムスタディ実現に向けた計測・分析の諸手法の開発,地域がん医療指標としての集中化・均てん化および自治体別罹患数推計等の報告,これらはいずれも学問的に新たな領域を拓いたものである.
臨床的観点からの成果
臨床現場の業務をインタビューを主として可視化する方法,タイムプロセススタディを開発した.この方法により外来化学療法部はじめいくつかの部署の業務,稼働状況をモデル化し,臨床的にも業務の見直し,シミュレーションの基礎資料として有用であることを示した.また,専門スタッフの育成,職場環境についての知見は現場の改善に資するものであった.
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
院内がん登録部門のタイムプロセススタディ結果は,全国医療機関の当該部門における人材配置検討の有用な資料となった.
その他のインパクト
がん医療水準均てん化推進事業の支援を受け「がん医療における業務可視化手法‐タイムスタディからタイムプロセススタディへ‐」のテーマ内容で研修会を開催し,社会還元を行った

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
25件
その他論文(和文)
55件
その他論文(英文等)
22件
学会発表(国内学会)
48件
学会発表(国際学会等)
23件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
がん医療水準均てん化推進事業の支援を受け「がん医療における業務可視化手法‐タイムスタディからタイムプロセススタディへ‐」のテーマ内容で研修会を開催し,社会還元を行った

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Numasaki,H.,Harauchi,H.,Ohno,Y.,et al.
New classification of medical staff clinical services for optimal reconstruction of job workflow in a surgical ward:Application of spectrum analysis and sequence relational analysis
Computational Statistics & Data Analysis , 51 (12) , 5708-5717  (2007)
原著論文2
Okada,S.,Ohno,.Y.
Investigation into Using Difference Images to Monitor Sleeping Patients
IT Healthcare , 3 (2) , 85-95  (2008)
原著論文3
Shiki,N.,Ohno,Y., Fujii,A.,et al.
Unified Modeling Language (UML) for Hospital-based Cancer Registration Processes
Asian Pacific Journal of Cancer Prevention , 9 (4) , 789-796  (2008)
原著論文4
Tsutsui,A.,Ohno,Y., Hara,J., et al.
Trends of Centralization of Childhood Cancer Treatment Between 1975 and 2002 in Osaka, Japan
Japanese Journal of Clinical Oncology , 39 (2) , 127-131  (2009)
原著論文5
Numasaki., H., Ohno, Y., Ishii, A.,et al.
Workflow Analysis of Medical staffs in Surgical Wards Based on the Time-Motion Study Data
Japan Hospitals , 27 , 75-80  (2008)
原著論文6
Numasaki, H., Teshima, T., Shibuya, H.,et al.
National Structure of Radiation Oncology in Japan with Special Reference to Designated Cancer Care Hospital.
International Journal of Clinical Oncology , 14 (3) , 237-244  (2009)
原著論文7
Zhang,Q.,Matsumura,Y., Teratani,T.,et al.
The Application of an Institutional Clinical Data Warehouse to the Assessment of Adverse Drug Reactions (ADRs) Evaluation of Aminoglycoside and Cephalosporin Associated Nephrotoxicity
Methods Inf Med , 5 , 516-522  (2007)
原著論文8
Yufeng Chen, Yasushi Matsumura, Katsuhiko Nakagawa, et al.
Analysis of Yearly Variations in Drug Expenditure for One Patient Using DataWarehouse in a Hospital
J Med Syst , 31 , 17-24  (2007)
原著論文9
Teruki Teshima, Hodaka Numasaki, Hitoshi Shibuya, et al.
JAPANESE STRUCTURE SURVEY OF RADIATION ONCOLOGY IN 2005 BASED ON INSTITUTIONAL STRATIFICATION OF PATTERNS OF CARE STUDY
International Journal of Radiation Oncology Biology Physics , 72 (1) , 144-152  (2008)
原著論文10
小川貴史,小川直茂, 金谷一朗,他
プロダクトデザイン開発手法にもとづく プレフィルドシリンジの開発に関する研究
生体医工学 , 46 (4) , 458-464  (2008)
原著論文11
小川貴史,舩山俊克, 金谷一朗,他
デザイン手法におけるプロトタイピングを用いた静脈注射支援機器の開発デザイン研究
日本コンピュータ 外科学会誌 , 10 (4) , 521-528  (2008)
原著論文12
Shiki N.,Ohno Y., Fujii A., et al.
Time Process Study withUML A New Method for Process Analysis
Methods Informatics in Medicine , 48 (6) , 582-588  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-10-01
更新日
-