文献情報
文献番号
200924019A
報告書区分
総括
研究課題名
革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター がん予防情報センター 疫学予防課)
研究分担者(所属機関)
- 長尾 啓一(国立大学法人千葉大学総合安全衛生管理機構)
- 新妻 伸二(新潟労働衛生協会 プラーカ健康増進センター)
- 吉村 明修(日本医科大学 呼吸器・感染・腫瘍内科)
- 中川 徹((株)日立製作所 日立健康管理センタ)
- 西井 研治(岡山県健康づくり財団附属病院)
- 岡本 直幸(神奈川県立がんセンター 臨床研究所がん予防・情報研究部門)
- 佐藤 雅美(宮城県立がんセンター 医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,121,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国で従来行われてきた肺がん検診の効果に一定の効果があることは確認されているが、その効果は十分ではなく、革新的な診断技術を用いた検診手法の開発と導入が期待されている。本研究は、末梢性肺がんを主な標的とした低線量CT検診の有効性を評価するコホート研究(研究A)と、肺門部肺がんを標的とした喀痰細胞診の有効性を評価する研究(研究B)を行い、研究A、Bから得られた成績を元に、医療経済学的に最適化された肺がん検診システムを確立することを目的とする。
研究方法
(研究A)平成12年に設定したCT検診受診者と通常検診受診者のコホートの第3期異動調査(平成18年1月~20年12月)を開始した。厚生労働省より人口動態調査目的外利用の許可を平成22年1月に得たのち、対象者の登録時の在住市町村に異動情報の提供を受けた。(研究B)喀痰細胞診の標的疾患である肺門部扁平上皮がんの罹患状況を把握するための全国調査を、呼吸器内視鏡学会認定504施設に、郵送法で実施した。
結果と考察
(研究A) 追跡対象は、CT検診群28,281人と通常検診群44,494人であった。死亡者に対しては死亡票と照合することで死因を特定している。平成22年4月1日現在で調査は進行中であるが、調査を終了後直ちに解析を行い、平均追跡期間約8年でのCT検診の死亡率減少効果が明らかになると考えられる。(研究B)調査票の回収率は61.1%であった。同時に収集した回答施設の肺がん切除数等を元に、国内の肺門部扁平上皮がんおよび肺門部早期扁平上皮がんの罹患数はそれぞれ4,000例、170-300例と推定された。進行がんも含めた肺門部扁平上皮がんは全肺癌の5%程度であるが、罹患数自体は決して無視できる大きさではない。ただし喫煙率の低下に伴い更に減少していくことが予想される。肺門部扁平上皮がんの罹患数の推移については、モデル分析の手法を用いて推計する予定である。
結論
CT肺がん検診の有効性を評価するコホート研究は第3期追跡調査を開始した。平成22年中には異動情報を確定させ、解析を行う予定である。喀痰細胞診の評価研究では、肺門部扁平上皮がんの全国調査を行い、年間約4,000例の肺門部扁平上皮がんが診断されているものの、早期がんは170-300例にとどまることを明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
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