リハビリテーション患者データバンク(DB)の開発

文献情報

文献番号
200921019A
報告書区分
総括
研究課題名
リハビリテーション患者データバンク(DB)の開発
課題番号
H19-長寿・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 明(喜平リハビリテーションクリニック)
  • 山鹿眞紀夫(熊本リハビリテーション病院)
  • 鴨下 博(東京都保健医療公社・多摩北部医療センター)
  • 原 寛美(相澤病院リハビリテーションセンター)
  • 西村尚志(森山病院リハセンター)
  • 宮井一郎(森之宮病院神経リハビリテーション部)
  • 大串 幹(熊本大学医学部付属病院リハビリテーション部)
  • 豊田章宏(中国労災病院勤労者リハビリセンター)
  • 小林祥泰(島根大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の2009年度の目的は,1.開発したリハビリテーション(以下,リハ)患者データバンク(DB)の改良と,2.参加病院,登録データを増やすこと,3.登録されたデータを活用した医療の質向上,リハ医学のエビデンス作りなどデータ分析例を増やすこと,4.日本リハ医学会と連携し,システムの継続運用のメドをつけることなどであった.
研究方法
5つのWGと全体班会議を組織し,上記の目的の達成を目指した.
結果と考察
1.データベースの改良では,新たに,維持期リハ患者用のデータベースも開発・統合したver4.0まで改良した.
2.参加病院,登録データの拡大
累積で参加病院数33,登録患者数5,050人にまで増加した.うち,大腿骨頸部骨折リハ患者数は152人である.
3.データ分析
病院間のリハビリテーション患者像及び治療成績の比較報告書などの作成も行った.①2008年診療報酬改訂で導入された「医療の質に基づく支払い」の指標の信頼性と妥当性を検討、②診療報酬改定の影響を分析,③「医療の質評価のための臨床指標」の開発,④「良くデサインされた比較試験」によるリハ専門医の関与による違いの検証などを行った.⑤これらの分析結果の一部は,診療報酬改訂に向けての基礎資料として,厚生労働省に提出したほか,国内外の学会,学術誌に成果を発表した.
4.本研究の意義・成果
多施設共同運用型のデータベースの技術上・運用上の実現可能性を実証したことにより,日本リハビリテーション医学会が,学会としてのデータマネジメントシステムの導入を具体化することに寄与した.
結論
リハ患者DBを開発し,データ登録件数は33病院,5,050人にまで到達した.データの質向上,病院間比較分析など付加機能も拡充し,システムとしての可能性を実証し,日本リハビリテーション医学会のデータマネジメント導入を先導する研究となった.今後は,蓄積されたデータを活用した,診療報酬改訂に有用な診療実態に関わるデータの提供,学術的にはエビデンス作りが期待される.

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200921019B
報告書区分
総合
研究課題名
リハビリテーション患者データバンク(DB)の開発
課題番号
H19-長寿・一般-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 明(喜平リハビリテーションクリニック)
  • 伊勢眞樹(川崎医療福祉大学医療技術学部)
  • 山鹿眞紀夫(熊本リハビリテーション病院)
  • 鴨下 博(東京都保健医療公社・多摩北部医療センター)
  • 原 寛美(相澤病院リハビリテーションセンター)
  • 西村尚志(森山病院リハセンター)
  • 宮井一郎(森之宮病院神経リハビリテーション部)
  • 寺崎修司(熊本赤十字病院神経内科)
  • 大串 幹(熊本大学医学部付属病院リハビリテーション部)
  • 豊田章宏(中国労災病院勤労者リハビリセンター)
  • 吉田清和(関西医科大学リハビリテーション科)
  • 小林祥泰(島根大学医学部付属病院)
  • 旭 俊臣(旭神経内科リハビリテーション内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,リハビリテーション(以下,リハ)医療の質向上,リハ医学のエビデンス作りの基盤整備などを目指し,リハ患者の多施設共同利用型データバンク(DB)を開発することである.
研究方法
リハ患者について,多施設の患者の基本データを,継続的に,同じフォーマットで蓄積し,それを結合するDBを開発するため,①脳卒中リハ患者DBを中核とし,②脳卒中急性期DBとの連結と,③維持期リハ患者DBの開発という垂直展開,④大腿部頚部骨折リハ患者DBの開発と,⑤認知症リハ患者DBの開発という水平展開を目指し,5つのWGと全体班会議を組織してDBの開発を進めた.
結果と考察
1.データベースの開発
1)脳卒中リハ患者DBを開発し第4版まで改訂した.
2)脳卒中急性期患者DBとの連結
日本脳卒中協会の脳卒中DBのデータを書き出し,リハ患者DBに取り込み,データを連結できるようになった.
3)維持期リハ患者データベースの開発
脳卒中リハ患者DB ver4.0の項目をベースに開発した.
4)大腿骨頸部骨折患者データベースの開発
大腿骨頸部骨折リハ患者用のデータベースソフトを開発した.
5)認知症患者データベースの開発
認知症患者のデータベースにふさわしい項目の検討を行ったが,標準化されている尺度が少ないため,まずは大腿骨頸部骨折リハ患者において認知症様症状が経過に与える影響の分析を進めた.
6)原因疾患によらず登録できるリハ患者台帳を開発した.
以上を統合し,データの質向上,病院間比較などの付加機能を含むリハ患者DB Ver4.0を開発し,2010年3月時点までに,累積で33病院,5,050人のリハ患者を登録した.うち,大腿骨頸部骨折リハ患者数は152人である.

2.本研究の意義・成果
リハ患者のデータを多施設で継続的に蓄積できるシステムを開発できた意義は大きい.
厚生労働行政上の課題においても,1)平成20年度の診療報酬改訂の影響のモニタリング,2)回復期リハ病棟における「医療の質に基づく支払い」に用いられる日常生活機能評価表の信頼性と妥当性の検証などを行い,厚生労働省に提出した.学術的にも,1)リハ医療の臨床指標の開発,2)アウトカムの施設間比較,3)地域連携パスの効果などを検証し,今後の課題を明らかにできた.
結論
リハ患者DBを開発し,33病院,5,050人分のデータを登録した.データバンクシステムの可能性を実証し,日本リハビリテーション医学会のデータマネジメント導入を先導する研究となった.

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200921019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
リハ医学・医療の質向上に向けた成果として,多施設参加型の5000例を超える大規模DBができたことで,多数の交絡因子を考慮した外的妥当性の高いアウトカム研究の基盤整備ができた。厚生労働科研費の事後評価でも,リハ患者のデータが蓄積された点が評価された.それを活用し,リハ医療の臨床指標の開発,リハ科専門医や医療ソーシャルワーカーの関与による医療フロセスや治療成績の変化の検証などで成果を上げた.
臨床的観点からの成果
多施設から臨床事例のリハ診療データが蓄積されたことにより,参加病院間で,アウトカムを含む臨床指標の比較が可能となり,参加施設における臨床ケアの質向上マネジメントに有用な情報をフィードバックすることができた.地域連携パス導入の効果や訓練量を増えたことによる効果の検証など,多数のデータを用いた臨床疫学的な研究が進められた.
ガイドライン等の開発
日本リハビリテーション医学会の臨床研究・調査ガイドライン策定委員会や常任理事会に,本研究の成果を報告することで,同学会の臨床研究・調査ガイドラインとなる学会データベース項目2009の策定に寄与した.そのガイドラインに基づく,同学会のデータマネジメントシステムに,本研究で開発したソフトや蓄積されたデータを移行する道筋にもメドをつけた.
その他行政的観点からの成果
厚生労働行政上の課題における成果として,1)平成20年度の診療報酬改訂の影響のモニタリング,2)回復期リハ病棟における「医療の質に基づく支払い」に用いられる日常生活機能評価表や「在宅復帰率」指標の信頼性と妥当性の検証,3)医療の質評価に向けた臨床指標の開発,それを用いたアウトカムの施設間比較などを進めた.それらの調査報告の一部は,診療報酬改訂に向けて,日本リハ医学会を通じて,厚生労働省に提出された.
その他のインパクト
日本リハ医学会第45回学術集会/横浜(2008年)の下記のシンポジウム等で報告した.
近藤克則「医療・介護保険制度改革とリハビリテーション医学の課題」(教育講演)
山鹿 眞紀夫「脳卒中の地域連携パスの運用を通じて」,鴨下 博「脳卒中リハビリテーションデータベースと高齢者の地域リハビリテーション」(シンポジウム「高齢化社会におけるQOL向上の方策--地域連携システムの構築に果たすリハビリテーションの役割」)

発表件数

原著論文(和文)
41件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Seungwon Jeong, Katsunori Kondo,Nariaki Shiraishi et al.
An evaluation of the quality of post-stroke rehabilitation in Japan
Clinical Audit  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-