急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法:エビデンスの確立をめざした臨床試験

文献情報

文献番号
200918024A
報告書区分
総括
研究課題名
急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いた神経保護療法:エビデンスの確立をめざした臨床試験
課題番号
H20-臨床研究・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 正志(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 大河 昭彦(千葉大学 医学部附属病院)
  • 村田 淳(千葉大学 医学部附属病院)
  • 国府田 正雄(千葉市立青葉病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性期脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte colony-stimulating factor: G-CSF)を用いた神経保護療法の安全性を確立し、治療効果を明らかにすることを目的とした。我々はG-CSFが脊髄損傷に対して治療効果を有することを、基礎研究にて実証してきた。本研究では、脊髄損傷の臨床例におけるG-CSF神経保護療法の有用性を明らかにすることを目的とした。
研究方法
安全性確認を主目的とするPhase I・IIa臨床試験を計画し、2008年3月に千葉大学医学部附属病院治験審査委員会の承認を得た。対象は急性期脊髄損傷患者(受傷後48時間以内の例)および圧迫性脊髄症急性増悪患者直近1ヵ月間に日本整形外科学会頚髄症治療判定基準にて2点以上の悪化を認めた例)とした。研究デザインはオープンラベル用量漸増試験で、第1段階はG-CSF 5μg/kg/日を5日間、第2段階は10μg/kg/日を5日間点滴静注にて投与した。有害事象の有無を確認し、運動・感覚麻痺の推移、血液所見の評価を行った。
結果と考察
平成20年および21年度は、34例に対して臨床試験を行った。内訳は、急性脊髄損傷例に対して、G-CSF 5μg/kg/日×5日間投与を5例、10μg/kg/日×5日間投与を12例で行った。同様に、圧迫性脊髄症急性増悪例に対して、G-CSF 5μg/kg/日×5日間投与を5例、10μg/kg/日×5日間投与を12例で行った。結果として、全例で運動・感覚麻痺の改善が得られた。また、G-CSF投与期間中および投与後に有害事象の発生はなかった。以上より、Phase IIbはG-CSF10μg/kg/日×5日間投与で行うのが望ましいと判断し、予定を変更した。さらに、選択基準および除外基準を一部変更し、院内治験審査委員会の承認を得た。
結論
G-CSF 10μg/kg/日×5日間投与を行った全例で運動・感覚麻痺の改善が得られた。また、G-CSF投与期間中および投与後に有害事象の発生はなかった。次の段階として、G-CSFの治療効果の評価を主目的とする臨床試験Phase IIbを平成22年度に行う計画である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-