高磁場MRIと核医学・分子イメージングに基づく動脈硬化の高感度かつ定量的な診断と新しい予防戦略の構築

文献情報

文献番号
200912023A
報告書区分
総括
研究課題名
高磁場MRIと核医学・分子イメージングに基づく動脈硬化の高感度かつ定量的な診断と新しい予防戦略の構築
課題番号
H20-ナノ・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内藤 博昭(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
  • 峰松 一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
  • 野口 輝夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
  • 植田 初江(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床病理科)
  • 山田 直明(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 糖尿病・代謝内科)
  • 福島 和人(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
  • 古本 祥三(東北大学大学院 医学系研究科 機能薬理学分野)
  • 田村 元(東北大学大学院 医学系研究科保健学専攻 医用情報技術科学領域 医用物理学分野)
  • 久冨 信之(香川大学医学部 生体分子医学講座医用物理学)
  • 寺本 昇(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
  • 越野 一博(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
  • 平野 祥之(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所 画像診断医学部)
  • 石田 良雄(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 渡部 浩司(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
  • 佐藤 博司(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
41,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高磁場MRI技術とPETに用いる分子プローブ合成技術を基にして、不安定プラークの成長に伴う構造的かつ分子機能の時間的変化を明らかにすること。
研究方法
3テスラMRIと当該研究チームが独自に開発した多チャンネルRF受診コイルを用いて、中大脳動脈領域プラークの高感度検出に応用する。線維性皮膜の不安定性の指標である[18F]SAV47、および123I標識oxLDLを標識合成し、体内動態をイメージング評価した。さらに、体内残存放射能を繰り込み解析する動態解析理論を整備し、一回の撮像で複数薬剤の集積や、時間変化を検出する撮像法を開発した。ヒト冠動脈を1.5テスラMRIで撮像し、冠動脈CTと冠動脈内超音波画像と対比した。頸動脈狭窄症における1.5テスラMRI(MPRAGE撮影)を用いたプラーク評価の意義を検討した。
結果と考察
3テスラMRIでは血管壁の分解能を0.2 mmにまででき、頭蓋内動脈の血管壁画像を得ることに成功した。また、[18F]SAV47の心筋梗塞モデル動物の梗塞領域への高い集積、また123I標識oxLDLの初回循環における血管内皮への取り込が観察された。残留放射能を数理解析する理論によって複数機能のイメージング評価が可能になり、臨床イメージングに応用された。1.5テスラMRIでは不安定プラークの特徴を有する部位の特定が可能になり、急性冠症候群の同定に応用できることを初めて報告した。さらに、非造影T1強調画像を用いた冠動脈不安定プラーク同定の前向き研究を開始した。18F-FDG PETイメージング、MRI検査および病理学的検索を対比させ、不安定頸動脈プラークの特徴を明らかにする前向き研究も開始した。また、頸動脈狭窄症において、術前のMPRAGEで高信号あるいはエコーにて可動性プラークを認める症例では進行性脳卒中となる頻度が高く、かつnecrotic coreの占める割合およびglycophorin-A染色の強度と相関していることがわかった。
結論
不安定プラークを有するブタモデルを対象に[123I]oxLDLの発現、18F]SAV47の発現、マクロファージの活性などの分子プロセスの経過を高感度で観察できる環境が整備できた。臨床症例においても、冠動脈・頸動脈の高リスクプラークの診断法の最適化が可能になった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-