神経インタフェース技術の確立による次世代義肢における感覚及び随意運動機能の実現

文献情報

文献番号
200912021A
報告書区分
総括
研究課題名
神経インタフェース技術の確立による次世代義肢における感覚及び随意運動機能の実現
課題番号
H20-ナノ・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
満渕 邦彦(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木隆文(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 深山理(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 國本雅也(済生会横浜市東部病院 脳神経センター)
  • 石川正俊(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 下条誠(電気通信大学 電気通信学部 )
  • 竹内昌治(東京大学生産技術研究所)
  • 眞溪歩(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
36,747,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、末梢神経系において電極等を用いて生体の神経系と外部機器の信号ラインを直接かつ永続的に接続し、運動神経情報によって装着者が意思どおりに随意的に人工肢を動かすことができ、又、人工肢に装着したセンサ類に刺激が加えられた際に、この情報を電気刺激のインパルス列として対応する感覚神経線維に入力する事により感覚を生成させ、あたかも自分の手足で触れたように感じさせるという、次世代人工肢システムに必要な神経系と機械系を接続するインタフェース技術の確立にある。
研究方法
我々は、これまで、微小神経刺激法を用いて被験者の末梢神経の感覚神経線維を刺激し、圧感覚を生成させる試み、及び、運動神経信号と同等の情報を持つ針筋電信号の情報を用いてロボットハンドに生体の手と同じ動きをとらせる試みに成功しており、末梢神経に含まれる感覚神経線維、及び、運動神経線維と充分なチャンネル数でアクセスし、情報の入出力を行なう事が可能な神経電極を開発する事により、これまでの実験結果を応用し、神経活動による運動制御と神経刺激による感覚生成が可能な義肢システムの作成は可能と考えており、MEMS技術を用い、神経再生型を中心とした末梢神経型の多チャンネル神経電極の開発と末梢神経に対する装着実験を進めている。
結果と考察
末梢神経型神経電極の開発に関しては、4種類の再生型電極の試作と、その in vivo 評価実験を進め、電気生理学的検討と組織学的検討により、電極孔の最適な大きさや数などに関する検討を行なった。
随意運動機能に関しては、まだ、上記の電極で十分な運動神経信号が計測出来ない状況にあるため、大脳皮質運動野の活動、および、筋電信号を代替信号として、作成したロボットハンドの随意的操作を試み、良好な結果を得ている。感覚機能に関しては、主に、ヒトを対象とした微小刺激法を用いた実験で圧刺激を圧感覚として装着者に提示する系の開発には成功しており、現在、振動感覚やすべり覚、運動感覚などの提示技術についても検討中である。
結論
大脳皮質運動野の信号、筋電信号などの代替信号によるロボットハンドの動きの随意的制御、および、マイクロスティミュレーション法を用いた圧刺激の圧感覚としての提示には成功しており、現在、in vivo電極の慢性埋め込み実験により、覚醒かつ free moving 状態での末梢神経運動神経情報の計測と、感覚神経系への電気刺激を進めている。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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