次期健康づくり運動プラン作成と推進に向けた研究

文献情報

文献番号
202209057A
報告書区分
総括
研究課題名
次期健康づくり運動プラン作成と推進に向けた研究
課題番号
22FA2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
辻 一郎(東北大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 相田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野)
  • 井上 茂(東京医科大学公衆衛生学分野)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 予防検診政策研究部)
  • 川戸 美由紀(藤田医科大学 医学部)
  • 栗山 健一(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部)
  • 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
  • 近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野)
  • 田淵 貴大(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター がん対策センター疫学統計部)
  • 津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
  • 西 大輔(東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野)
  • 村上 義孝(東邦大学 医学部医学科社会医学講座医療統計学分野)
  • 村山 伸子(新潟県立大学 人間生活学部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
15,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和6年度に開始予定の次期国民健康づくりプラン(以下、「次期プラン」)の策定・実施・評価に関して学術的観点からサポートすることが、本研究の目的である。具体的には以下の5点を行う。第1に、国民の健康課題の要因・健康増進施策などに関する科学的エビデンスの収集・精査。第2に、次期プランにおける目標項目と目標値の提言。第3に、次期プランに基づき国・自治体が取り組むべき健康増進施策の提言。第4に、上記施策の効果的な実施・展開方法の提言。第5に、次期プランの推進及び評価の体制に関する提案。なお、本年度は3年計画の1年目にあたり、上記の第1項と第2項について研究を行った。
研究方法
健康寿命の延伸と健康格差の縮小に関する研究=国民生活基礎調査などの公的統計やコホート研究データを用いて、健康寿命の算定法・次期プランの目標・関連要因・地域間格差の縮小策を検討した。
主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防に関する研究=循環器疾患、がん、糖尿病について、エビデンスを精査した上でロジックモデルを作成し、次期プランの目標項目と目標値を提案した。
社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する研究=こころと高齢者の健康について、エビデンスを精査した上でロジックモデルを作成し、次期プランの目標項目と目標値を提案した。
健康格差の縮小に関する研究=公的統計データを活用し、死亡までの自立度の変化パターンやがん検診受診に関する社会経済格差を分析した。
生活習慣及び社会環境の改善に関する研究=歯・口腔、身体活動・運動、休養・睡眠、栄養・食生活、喫煙、飲酒について、エビデンスを精査した上でロジックモデルを作成し、次期プランの目標項目と目標値を提案した。
すべての研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守し、所属施設の倫理委員会の承認を受けている。
結果と考察
健康寿命の延伸と健康格差の縮小に関する研究=健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)の算定方法の頑健性が示唆された。次期プランの健康寿命の延伸目標と「健康寿命延伸プラン」の延伸目標との整合性が確認された。メンタル不調による健康寿命の損失年数を個人レベルと集団レベルで解明した。健康寿命の地域格差の要因分析を行うための資料・ツール類を作成した。次期プランについて、健康寿命の延伸と都道府県格差の縮小という目標を提案した。
主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防に関する研究=がんの年齢調整罹患率と死亡率の減少、がん検診の受診率と精検受診率の増加、脳血管・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少、収縮期血圧値の低下、LDLコレステロール平均値の低下、高血圧者における降圧剤服用率の増加、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数の減少、治療継続者の割合の増加、HbA1cが8.0%以上の者の割合の減少、糖尿病年齢調整有病率の減少、メタボリックシンドローム及び予備群の年齢調整該当率の増加の抑制、特定健康診査と特定保健指導の実施率の増加という目標を提案した。
社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する研究=自殺死亡率の減少、心理的苦痛を感じている者の減少、メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の増加、心のサポーター数の増加、要介護状態への移行抑制、認知症の発症や進行の抑制という目標を提案した。
健康格差の縮小に関する研究=死亡までの自立度は、所得や教育年数が高い者ほど高く、社会的孤立の者ほど低かった。低学歴と不安定な雇用形態は各がん検診の未受診と関連した。社会参加(孤立)、生活満足度、がんサバイバーの就労率の増加などの目標を提案した。
生活習慣及び社会環境の改善に関する研究=適正体重を維持している者の増加、肥満傾向の子どもの減少、主食・主菜・副菜がそろった食事の増加、食塩摂取量の減少、野菜摂取量の増加、食品企業での減塩の増加、特定給食施設での栄養管理の向上、日常生活中の歩数の増加、運動習慣者の割合の増加、睡眠時間の確保の増加、睡眠で休養が充分取れている者の割合の増加、生活習慣病のリスクを高める飲酒の減少、休肝日週2日以上の増加、妊娠中の飲酒・喫煙をなくす、成人喫煙率の減少、受動喫煙の機会の減少、60 歳代の咀嚼良好者の増加、歯の喪失の減少、歯肉炎・歯周炎の減少、う蝕・未処置う蝕の減少、歯科検診の受診率の増加、デンタルフロスや歯間ブラシを使う者の割合の増加、集団フッ化物洗口の増加という目標を提案した。
結論
本研究課題は当初の計画通り順調に進捗し、初年度の研究目的が概ね達成された。本研究事業に基づく英文原著論文が国際学術誌に27編掲載されるなど、学術面の価値も高かった。次期プランの目標として本研究班が提案した56項目のうち37項目が実際に次期プランの目標に位置付けられるなど、行政上の価値も十分に高かったと思われる。

公開日・更新日

公開日
2024-03-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-03-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209057Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,725,649円
人件費・謝金 7,226,936円
旅費 722,632円
その他 3,724,783円
間接経費 4,600,000円
合計 20,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-19
更新日
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