医療機関における療養病床転換モデルの具体的施策に関する研究

文献情報

文献番号
200901033A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における療養病床転換モデルの具体的施策に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小山 秀夫(兵庫県立大学大学院 経営研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山内 康弘(帝塚山大学 経済学部)
  • 藤澤 由和(静岡県立大学 経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、厚生労働行政における急務の課題である療養病床の再編成に資するために、療養病床をもつ医療機関をカテゴリ化するための明確な基準を設定し、療養病床の一層の転換を促すための政策オプションを提示することである。
研究方法
上記の研究目的を明らかにするために、本年度は下記の検討を行なった。すなわち、(1)療養病床転換政策のマクロ的定量トレンドの検討、(2)療養病床転換に関しての医療機関の規模的な基準と、外部環境基準の設定、(3)療養病床をもつ医療機関のカテゴリ化、(4)各カテゴリでの医療機関の抽出とヒヤリング調査である。
結果と考察
本研究では、既存のデータに基づく現状把握と問題点の検証とともに療養病床を有する約30の医療機関についてインタビュー調査を実施し、療養病床の転換に関して医療機関の内部制約要因と、外部環境に関する網羅的な情報収集を行なった。その結果、療養病床の転換政策は、すでに一定の段階にまで進んでいると言えるが、現状ではその目標とする転換を十分に行い得るかは依然として厳しい状況にある。こうした状況は、その目標年である平成24年に近づけば近づくほど、その厳しさを増すことが間違いない医療機関の現状が明確となった。本研究により療養病床の転換政策が直面している課題を解決する一助としては、個別の医療機関が置かれている状況を整理するとともに、一定の基準と条件について明確な基準の提示に基づく長期的な「見取り図」を示すことよって、各医療機関のより一層の意思決定の促進が可能になることが考えられた。
結論
上述の通りすでに一部の医療機関では、療養病床からの転換が図られているが、一方で具体的な転換の方策を模索している医療機関も数多い。またこうした転換の問題に直面している医療機関が、具体的にどのような問題を抱えかつどのような外部環境に置かれているかという点に関しては未だ明確にされていない。したがって、療養病床の転換を模索する医療機関のカテゴリ化を内部制約的要因と外部環境などの観点などから検討し、各カテゴリに対する政策オプションを具体的に提示することを通して、今後の療養病床の再編成に寄与するエビデンスの提示が必須である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200901033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究より療養病床は、わが国の医療システムの現状を考えた場合に、それは必要不可欠なものであると言えるが、少なくともそれらの療養環境、および提供すべきサービス水準を向上させる必要性が示された。それゆえ、質の高く、Quality of Lifeの向上を促す長期療養病床のあり方と将来の展開について提案することが現時点における最も緊急で解決すべき課題として明らかとなった。
臨床的観点からの成果
本研究においては、個別の医療機関が置かれている状況を明らかにすることを通して、今後の療養病床の転換政策におけるより現実的な政策オプションと具体的な施策の方向性を示すことによって、医療・福祉サービスの効率的な提供体制の再構築をもたらし、その結果としてエンドポイントである国民に対して医療の質の向上という形で成果が還元されうる点を指摘することができる。
ガイドライン等の開発
本研究の具体的な成果の一つとしては、わが国における療養病床の転換を模索する医療機関のカテゴリ化を「内部制約的要因」と「外部環境」などの観点に基づき類型化することにより、各カテゴリに対する具体的な政策オプションが提示された。
その他行政的観点からの成果
本研究より転換態度が未定な医療機関は、第1に新しい投資が回収できるか不定でリスクテイキングできず、第2に一般論としての後継経営者が確保できないため決断ができず、第3に長年のシングルオーナーのトップダウン型病院経営では変化に対応できないために転換するかどうかよりは現状のマネジメント・スタイルではいずれは経営を維持できないという現実が示され、以上の知見は今後の政策誘導のあり方を検討するうえでの基礎的知見として活用が期待される。
その他のインパクト
本研究成果をふまえて、療養病床を有する医療機関において講演を行ない、今後の意思決定に関しての具体的なコンサルティングを行なうなどの活動を実施した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-