地域健康危機管理に従事する公衆衛生行政職員の人材開発及び人員配置に関する研究

文献情報

文献番号
200840034A
報告書区分
総括
研究課題名
地域健康危機管理に従事する公衆衛生行政職員の人材開発及び人員配置に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒田 吉彦(旭川市保健所)
  • 大熊 和行(三重県保健環境研究所)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院 口腔保健部)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 佐藤 加代子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
  • 豊福 肇(国立保健医療科学院 研修企画部)
  • 鈴木 晃(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 専門職を含むすべての行政職員を対象とした総合的な人材開発および人員配置のあり方を検討するために、過去に発生した具体的な健康危機事例を元に、行政に勤務する医師、保健師、歯科医師・歯科衛生士、管理栄養士、食品衛生監視員、環境衛生監視員、事務職及び地方衛生研究所の健康危機に際しての役割を明確にするとともに、保健所等におけるすべての公衆衛生行政職員の健康危機管理に関する実践能力(コンピテンシー)に関する調査と人材育成の実態に関する全国調査を実施した。
研究方法
 具体的には、過去に発生した健康危機事例について、職種ごとに分担研究者と数名の研究協力者(実際に地方自治体に勤務する当該職種の職員)がチームを組み、選択事例の自治体報告書をもとに、時系列的に出来事を記述した後、住民の反応、保健所の判断・対応、当該職種の判断・果たした役割、その役割を果たすためにコンピテンシー、平常時対応等をまとめた。
 また、職種別・職位別の健康危機管理コンピテンシーについて、デルファイ調査の結果に基づく検討を実施した。さらに、全国の保健所、地方衛生研究所を対象に、健康危機管理関連所内研修に関する実態調査を実施した。
結果と考察
 各職種の具体的な活動・役割とその役割を果たすために必要な能力が時系列的に明示された。また、大規模感染症や食中毒など各職種の特徴が生かされる事例の分析を通じて、それぞれの業務の多様性が示されたが、一方で、いくつかの切り口で職種間の連携の可能性も示唆された。例えば、地震後の避難所の運営・管理においては、医師、保健師、歯科医師・歯科衛生士、管理栄養士、環境衛生監視員、事務職などがそれぞれの役割を果たしつつ、連携して業務を進めていくことができる。これまではその全体像が十分把握できなかったが、今回の職種別分析をより詳細に突合させることで、避難所という場(セッティング)における具体的な連携のあり方が提案できるものと考えられる。
結論
 各職種(地方衛生研究所を含む)の具体的な活動・役割とその役割を果たすために必要な能力が時系列的に明示された。大規模感染症や食中毒など各職種の特徴が生かされる事例の分析を通じて、それぞれの業務の多様性が示されたが、一方で、いくつかの切り口で職種間の連携の可能性も示唆された。
 また、いくつかの職種では、日常的な平時対応における役割が緊急時の活動や役割とどう結びついているかを明示できた。職種別・職位別の健康危機管理コンピテンシーについても一定の結論を出すことができ、全国の保健所、地方衛生研究所での健康危機管理に関する所内研修が、全体として決して十分ではない状況も把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-