飲料水の水質リスク管理に関する統合的研究

文献情報

文献番号
200840027A
報告書区分
総括
研究課題名
飲料水の水質リスク管理に関する統合的研究
課題番号
H19-健危・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松井 佳彦(北海道大学 大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院 地球環境学堂)
  • 遠藤 卓郎(国立感染症研究所)
  • 西野 二郎(日本水道協会)
  • 長谷川 隆一(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 平田 睦子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院)
  • 安藤 正典(武蔵野大学薬学部)
  • 相澤 貴子(横浜市水道局 水質管理工学)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院)
  • 松下 拓(北海道大学大学院 工学研究科)
  • 国包 章一(静岡県立大学 環境科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
43,130,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質基準の逐次見直し等に資すべき化学物質や消毒副生成物,病原生物等を調査し,着目すべき項目に関してそれらの存在状況,監視,低減化技術,暴露評価とリスク評価に関する研究を行い,水道水質基準の逐次改正等に資するとともに,水源から給水栓に至るまでの水道システム全体のリスク管理のあり方に関して提言を行うことにある.
研究方法
原水や水道水質の状況,浄水技術について調査研究を行うため,無機物質,一般的な有機物,微生物,消毒副生成物,農薬,水道水の水質管理,リスク評価の7課題群-研究分科会を構築し,研究分担者14名の他に42もの水道事業体や研究機関などから67名の研究協力者の参画を得て,各研究分担者所属の施設のみならず様々な浄水場などのフィールドにおける実態調査を行った.
結果と考察
消毒副生成物のニトロソジメチルアミン(NDMA)は原水と浄水過程で検出され,WHOガイドライン値の1/10を超える場合があった.ただし,夏期には砂ろ過により減少し浄水からは検出されなかった.オゾン処理におけるNDMA前駆物質の一部として,黄ばみ防止剤を同定した.ヒトノロウイルスの浄水処理性を調べたところ,ノロウイルスVLPを用いた実験ではポリ塩化アルミニウムによる凝集沈殿砂ろ過処理にて2.5log以上の除去が,マウスノロウイルスを用いた実験では塩素処理にて3mg/L・minで4log以上の不活化が期待された.クリプトスポリジウムの遺伝子検査にRNA検出を適応することで検出感度を0.006個/test程度まで向上させ,併せて浄水中の濃縮装置の改良に努め,核酸検査法の実用化に向け前進した.ポリ塩化アルミニウム凝集剤の塩基度を高めることにより,凝集処理後の残留アルミニウム濃度を低減化できる可能性が示された.水質管理目標設定項目第1群の中でも検出されない農薬があることから,第1群に入れるべき農薬の選定ルールと濃度の監視のためのプライオリティーリスト算定のためのスコア値法の見直しを提案した.暴露評価に関しては,水道水を用いた調理により水道水寄与率が高くなることが示された.その他,水質基準内外の約300項目・物質について検討を行った.
結論
水道原水の状況,水道水に含まれる物質の検出方法,浄水過程における低減化法,毒性情報,暴露量への寄与,水質管理体制など水道水質基準の基礎となる多数の知見が得られた。主要な知見は「結果と考察」のとおりである.

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-