文献情報
文献番号
200839011A
報告書区分
総括
研究課題名
高感受性集団に於ける化学物質の有害性発現メカニズムの解明及び評価手法開発にかかる総合研究
課題番号
H19-化学・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小野 宏(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
研究分担者(所属機関)
- 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 鈴木 勉(星薬科大学 薬品毒性学教室)
- 宮川 宗之(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 産業医学総合研究所 健康障害予防研究グループ)
- 今井 清(財団法人 食品農医薬品安全性評価センター 技術総括部)
- 林 良夫(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 武吉 正博(財団法人 化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所)
- 長尾 哲二(近畿大学 理工学部)
- 太田 亮(財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所 毒性部)
- 松島 裕子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 高木 篤也(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 藤本 成明(広島大学 原爆放射線医科学研究所)
- 五十嵐 勝秀(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 藤井 義明(筑波大学 先端学際領域研究センター)
- 西川 淳一(武庫川女子大学 薬学部)
- 井上 達(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター )
- 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 総合評価研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
66,877,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化学物質暴露に高感受性を示す集団について、その恒常性機能メカニズムの揺らぎに着目し、高感受性検出の評価手法開発、高感受性に特有な有害性発現メカニズムの最先端分子生命科学研究を配し、高感受性有害性総合評価大網を策定する。
研究方法
総括、総合評価スキーム開発研究及び低用量影響研究を取纏め部門とし、以下3部門を置いた。恒常性維持メカニズムの揺らぎに着目した新評価法開発研究では神経・行動、免疫及び生殖器の3要素について個体の受精、発生、老化に亘る一生涯を標的とした有害性評価試験系「齧歯類一生涯試験」の強化を図る。有害性発現分子メカニズムの解明研究では実質的研究課題を推進する。小児等高感受性集団の評価に関する国際動向調査研究では、OECD/WHO関連の調査研究を行う。OECD対応委託研究を実施する。
結果と考察
齧歯類一生涯試験法の開発促進にあたり、DESの低用量影響試験を実施し、雌性児動物への影響を確認。
神経・行動:マウス周産期BPA投与による海馬のp-HDAC5の増強、ラット周産期陽性対照物質PTU投与によるオペラント学習行動試験成績の低下、ラット周産期低用量DES投与による下垂体前葉のⅠ型細胞数の減少を確認。
免疫:自己免疫疾患モデルマウスの妊娠期TCDD投与による母体側の免疫機能異常及び唾液腺炎誘発を確認。ヒト単球系細胞株における感作マーカー候補の遺伝子及びタンパク質を同定。
生殖器:マウス胎生期DES暴露による胎児期精巣下降の責任遺伝子及び精巣のDNAメチル化制御分子のかく乱を同定、周産期マウスのDES及びラットBPA暴露による性周期異常の誘発を確認。
有害性発現分子メカニズムの解明研究: ES細胞及び胚様体のBPA影響遺伝子を同定、マウス新生児期TCDD及びDES暴露による前立腺のアンドロゲン応答性遺伝子発現上昇を確認、マウス胎児神経幹細胞DNAメチル化変化データベースを得た。AhRの抗炎症作用及び腸がん抑制作用を確認、免疫系活性化による薬物受容体の転写活性化能の抑制を確認。
調査研究:リスクアセスメントに関する最新の国際動向調査。
以上、神経・免疫・内分泌の高感受性期の生体反応の実態が示された。
神経・行動:マウス周産期BPA投与による海馬のp-HDAC5の増強、ラット周産期陽性対照物質PTU投与によるオペラント学習行動試験成績の低下、ラット周産期低用量DES投与による下垂体前葉のⅠ型細胞数の減少を確認。
免疫:自己免疫疾患モデルマウスの妊娠期TCDD投与による母体側の免疫機能異常及び唾液腺炎誘発を確認。ヒト単球系細胞株における感作マーカー候補の遺伝子及びタンパク質を同定。
生殖器:マウス胎生期DES暴露による胎児期精巣下降の責任遺伝子及び精巣のDNAメチル化制御分子のかく乱を同定、周産期マウスのDES及びラットBPA暴露による性周期異常の誘発を確認。
有害性発現分子メカニズムの解明研究: ES細胞及び胚様体のBPA影響遺伝子を同定、マウス新生児期TCDD及びDES暴露による前立腺のアンドロゲン応答性遺伝子発現上昇を確認、マウス胎児神経幹細胞DNAメチル化変化データベースを得た。AhRの抗炎症作用及び腸がん抑制作用を確認、免疫系活性化による薬物受容体の転写活性化能の抑制を確認。
調査研究:リスクアセスメントに関する最新の国際動向調査。
以上、神経・免疫・内分泌の高感受性期の生体反応の実態が示された。
結論
最先端分子生命科学研究及び評価法開発の成果から、高感受性有害性総合的大網の策定の方向性と基盤が形成され、本研究の継続が今後の国民の安全性確保及び経済活動の健全な発展に貢献するものと期待される。
公開日・更新日
公開日
2009-05-25
更新日
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