化学物質リスク評価法の国際的バリデーションに関する研究

文献情報

文献番号
200839003A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質リスク評価法の国際的バリデーションに関する研究
課題番号
H18-化学・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 )
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 化学物質の安全性評価法として国際的に受け入れられる動物実験の代替法を開発する目的で、DNA損傷を捉える遺伝毒性試験であるコメットアッセイと内分泌かく乱作用を調べるエストロジェン受容体α(ERα)に対するレポーターアッセイ (HeLa法およびLumi-cell法)について欧米の研究機関と協力し、国際的なバリデーション研究を実施した。
研究方法
 試験法毎に欧米の研究機関と協力し、国際的なバリデーション研究を実施した。本研究では、会議およびバリデーション研究結果に基づいて、プロトコールの適正化を進めた。

結果と考察
 コメットアッセイのうち、in vivo試験においては、国内外の4施設で3物質を用いたPhaseⅢのバリデーション研究を行い、施設内および施設間再現性の高い結果が得られた。また、データ採用基準の決定、動物愛護に配慮した改定等を行い、プロトコールが統一され、最終的な段階であるPhaseⅣバリデーション研究に入る準備が整った。in vitro試験においては、国内外の5施設で6物質を用いたPhaseⅡバリデーション研究を遂行した。この結果を受け、早急にプロトコールおよびデータ採用基準を確定する予定である。これらのバリデーション研究はまだ途中過程にあるが、本研究班の成果は、ICH-S2指針への同試験導入に向けての検討に必要な基礎的データを提供している。また、OECDガイドライン化に向けた申請も済ませている。
 HeLa法においては、本研究班の支援もあり、アゴニスト法がOECDガイドラインとして認証される目処が立った。In vitroの内分泌かく乱試験スクリーニング法として、OECDの本研究班に寄せる期待は大きい。アンタゴニスト法については、PhaseⅡにおいて、欧州・韓国のラボで評価基準を満たす結果がでず、その原因特定と改善のために指導にあたっている。Lumi-cell法においても、PhaseⅡにおいて、特に欧州の施設で多くのデータが不採用になったため、本研究班が評価基準改定のための提案を行った。
結論
 本研究班の主導の下、コメットアッセイおよび内分泌かく乱物質スクリーニング法の確立に向けての国際研究を行った。その結果、国際的にハーモナイズされたガイドラインを作成するためには、参加施設への技術移転とバリデーション研究を通して、最適プロトコールを確立しなければならないことが判明した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200839003B
報告書区分
総合
研究課題名
化学物質リスク評価法の国際的バリデーションに関する研究
課題番号
H18-化学・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 化学物質の安全性評価法として国際的に受け入れられる動物実験の代替法を開発する目的で、DNA損傷を捉える遺伝毒性試験であるコメットアッセイと内分泌かく乱作用を調べるエストロジェン受容体α(ERα)に対するレポーターアッセイ (HeLa法およびLumi-cell法)について欧米の研究機関と協力し、国際的なバリデーション研究を実施した。
研究方法
 試験法毎に欧米の研究機関と協力し、国際的なバリデーション研究を実施した。本研究では、会議およびバリデーション研究結果に基づいて、プロトコールの適正化を進めた。
結果と考察
 検討の結果、プロトコールの統一や参加機関の技術レベル等の問題解決に時間が掛かり、すべてのバリデーション研究を終了することはできなかったが、それぞれの新規試験法の特性と限界を明らかにできた。また、In vivoコメットアッセイについては、最終的な段階であるPhaseⅣバリデーション研究に入る準備が整った。HeLa法については、アゴニスト法がOECDガイドラインとして認証された。アンタゴニスト法についてはPhaseⅡまでのバリデーション研究において、欧州・韓国のラボで評価基準を満たす結果を取得できなかったことから本研究班のグループがあたっている。Lumi-cell法についても同様である。バリデーション研究とは、一度の共同研究で終了するようなものではない。試験法の特性や限界を明らかにしつつ、プロトコールを改良しながら会議や実験結果をもとに手順を踏んで進め、参加者全員の合意で少しずつ進んでいくものである。
 国際バリデーション研究の問題点は、1)経費の問題から技術講習会を避け、紙面のみで技術の共有化を図らざるを得ないことが多い、2)熟練した施設が参加する場合、手技が確立されており、プロトコールによる新たな提案を素直に受け入れない点にある。今後、この点に配慮したバリデーション研究をどう構築するかの世界的な提言が必要である。
結論
 国際的にハーモナイズされたガイドラインを作成するためには、試験プロトコールやデータ採用基準を統一しなければならないが、各国の歴史的方法への固執の問題があり、国際的な合意を得るには予想以上に時間がかかった。しかし、本研究班の実施した国際的バリデーション研究は、今後の国際協力につながる先導的なものとして高く評価された。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200839003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 新規試験法の特性と限界を明らかにし、国際的な行政的試験法として確立し、国際的にハーモナイズされたガイドラインを作成するためには、試験法の統一化とバリデーション結果に基づく改良を一歩一歩進める必要がある。国際的な合意を得るには予想以上に時間がかかったが、本研究班の実施した国際的バリデーション研究は、今後の国際協力につながる先導的なものとして高く評価された。
臨床的観点からの成果
 前臨床にあたる安全性試験法についての検討を行っている。
ガイドライン等の開発
 本研究班の成果に基づき、米国より1試験法、経済産業省より2試験法、厚生労働省より3試験法について、申請書にあたるStandard Project Submission Form(SPSF)がOECDに提出された。その中で、経済産業省より申請したHeLa法 アゴニストアッセイをOECDガイドライン455として成立させることができた。
その他行政的観点からの成果
 試験法のガイドライン化により、その試験法を用いた行政的な評価まで発展させることが期待できる。
その他のインパクト
 平成18年8月に札幌、平成19年3月に東京でコメットアッセイの公開シンポジウムを開催し、試験法の普及に務めた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
18件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
31件
学会発表(国際学会等)
26件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-