文献情報
文献番号
202126016A
報告書区分
総括
研究課題名
OECDプロジェクトでの成果物を厚生労働行政に反映させるための研究
課題番号
21KD2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
- 中江 大(東京農業大学 応用生物科学 食品安全健康学科 食品安全評価学研究室)
- 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
- 豊田 武士(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター・病理部)
- 堀端 克良(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
- 足利 太可雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
- 大森 清美(神奈川県衛生研究所)
- 尾上 誠良(静岡県立大学 薬学部)
- 齊藤 洋克(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 松下 幸平(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
- 山田 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化学物質やその混合物の安全性を評価するための国際的な合意を推進する経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)の試験法ガイドライン(TG: Test Guideline)プログラム各国調整官作業グループ(WNT: Working Group of National Co-ordinators of the TGs programme)において、日本で開発された種々のTGやガイダンス文書(GD: Guidance Document)、有害性発現経路(AOP : Adverse Outcome Pathway)などの世界各国が必要とする成果物を公定化させるとともに、他国が提案するOECD大型プロジェクトに関与し、その成果物に日本の主張を反映させ、これらから得られた成果を化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)や毒物及び劇物取締法(毒劇法)などの我が国の厚生労働行政に反映させることを目的とする。
研究方法
過去の研究班の成果として、我が国で開発された腐食性試験代替法、皮膚感作性試験代替法、光毒性試験代替法、内分泌かく乱性スクリーニング法などに関するTGの成立、免疫毒性のAOP成立などに寄与し、非遺伝毒性発がんの試験の“実施と評価のための戦略的統合方式(IATA: Integrated Approaches to Testing and Assessment)”や皮膚感作性の確定方式(DA: Defined Approach)の開発に協力してきた。
本研究班では、これまでの成果をもとに、日本で開発されたTGやAOPの開発に寄与するとともに、免疫毒性や生殖毒性試験の総説(DRP: Detailed Review Paper)及び非遺伝毒性発がんや光毒性の IATAなどのGDの公定化に尽力した。
本研究班では、これまでの成果をもとに、日本で開発されたTGやAOPの開発に寄与するとともに、免疫毒性や生殖毒性試験の総説(DRP: Detailed Review Paper)及び非遺伝毒性発がんや光毒性の IATAなどのGDの公定化に尽力した。
結果と考察
OECD WNTにて、海外の専門家と日本人の開発したOECD TG、IATA及びDAについて協議を続け、既存のTGである皮膚感作性試験代替法ADRA(Amino acid Derivative Reactivity Assay)を含むTG442Cの改定をなすことができた。同時に承認されたDefined Approach for Skin Sensitisationガイドライン497の開発にも寄与した。令和4年4月のWNTにて、TGに関しては、ADRA TG442Cの最終改定が承認される予定となった。DRPに関しては、in vitro 免疫毒性試験が合意される予定である。
AOPに関しては、OECDのAOP作成グループEAGMST(Extended Advisory Group on Molecular Screening and Toxicogenomics)にて海外の専門家と協議を続け、「カルシニューリン阻害によるT細胞依存的抗体産生抑制:AOP154」がOECDにて正式に承認された。
さらに、OECDで検討されている皮膚感作性のDAや発達神経毒性に関する大型プロジェクト等に参画して、成果物に日本の意見や結果を反映させた。この目的を果たすため、TGやAOPそれらに必要な補足実験データを取得するとともに、日本からOECDに提出する資料を事前に相互確認し、また、OECDからの提案資料への意見募集に適切な意見を返した。
AOPに関しては、OECDのAOP作成グループEAGMST(Extended Advisory Group on Molecular Screening and Toxicogenomics)にて海外の専門家と協議を続け、「カルシニューリン阻害によるT細胞依存的抗体産生抑制:AOP154」がOECDにて正式に承認された。
さらに、OECDで検討されている皮膚感作性のDAや発達神経毒性に関する大型プロジェクト等に参画して、成果物に日本の意見や結果を反映させた。この目的を果たすため、TGやAOPそれらに必要な補足実験データを取得するとともに、日本からOECDに提出する資料を事前に相互確認し、また、OECDからの提案資料への意見募集に適切な意見を返した。
結論
AOPに関しては、「カルシニューリン阻害によるT細胞依存的抗体産生抑制:AOP154」がOECDにて正式に承認され、OECD iLibraryにおいて公開された。日本で開発された初めてのAOPである。
TGに関しては、皮膚感作性試験代替法ADRA TG442Cの改定案が令和3(2021)年6月に承認された。また、同時に承認されたDefined Approach for Skin Sensitisationの開発に寄与した。
TGに関しては、皮膚感作性試験代替法ADRA TG442Cの改定案が令和3(2021)年6月に承認された。また、同時に承認されたDefined Approach for Skin Sensitisationの開発に寄与した。
公開日・更新日
公開日
2022-07-13
更新日
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