清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究

文献情報

文献番号
200837047A
報告書区分
総括
研究課題名
清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 大西貴弘(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 )
  • 後藤慶一(三井農林株式会社 食品総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様な種類の清涼飲料水が製造販売されており、原料や製品の製造・保管方法、消費のされ方も多様である。このため、清涼飲料水に関する諸問題を整理し、安全な製品が消費者に提供・消費されるための要点について検討し、情報を提示することを目的とする。
研究方法
(1)国内の清涼飲料水の過去5年間の微生物原因の苦情や事故に関するアンケートを地方自治体と製造業団体に実施し、原因が容器の開封前か開封後であるか、清涼飲料水の種類、原因となった微生物の種類、苦情や事故の原因などの回答結果を解析した。(2)真菌のDNA抽出法の検討のため、食品衛生学上重要であり、かつ形態学的・分子系統学的に幅広い菌種をカビ14種類、酵母3種類の計17種を選定した。市販キットやタンパク質を変性する界面活性剤や有機溶媒を用いる方法について抽出効率を比較した。(3)カビ・酵母および(4)細菌について、殺菌・除菌方法である膜・紫外線・オゾン殺菌などについて既存の科学的データを収集した。
結果と考察
(1)地方自治体の回答では、開封前と開封後の事例はほぼ同数で、果汁飲料、茶系飲料飲料が種類としては多く、汚染微生物の種類では真菌が半数以上であった。製造業団体の回答では、開封後の苦情が多い結果であったが、製造業の認識が自治体と異なり流通での事故が開封前に含まれていないことが影響している可能性があった。他は自治体と似た結果であった。(2)カビ・酵母の計17種のいずれにおいても最も効率が良いDNA抽出方法はCTAB法、SDS法、塩化ベンジル法であり、菌体1gあたり1mgのDNAが回収できた。(3)カビ・酵母および(4)細菌について、透明な飲料での膜処理、水での紫外線やオゾンの事例の他には、紫外線やオゾンの飲料の殺菌データは少なく、(1)のアンケート結果で高頻度に検出される微生物と飲料について動態を解明する試験系の考案を行った。
結論
(1)流通での衝撃などで製品の破損や口が緩み微生物が汚染・増殖することがあり、流通時の製品の安全を製造者が担い流通業種に啓蒙をする必要がある。開封後の消費者の取り扱いの不備も多く、容器外部の注意喚起の示し方の改善など消費者への啓蒙が必要である。(2)カビ・酵母の効率的なDNA抽出法が確立され、簡易な同定法の開発の一歩となった。(3)(4)微生物の汚染除去や殺菌方法の評価について具体的な検証データの整理と蓄積が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
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