自動走行可能な自律制御運搬台車の機能安全の実証手順開発

文献情報

文献番号
202123005A
報告書区分
総括
研究課題名
自動走行可能な自律制御運搬台車の機能安全の実証手順開発
課題番号
19JA1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 浩之(株式会社アラキ製作所 営業統括部 企画開発グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年、急速に様々なフィールドに普及しつつある、AMRを始めとした、自動走行可能な自律制御装置等の導入に向けて、人と機械との安全な協働作業にあたっての安全基準を定める必要性が有る。本研究では、それらの装置の社会実装前のリスクアセスメント手法、実証試験プロトコルの開発を行う。
研究方法
 国内外規格を、自律(AI)制御装置の導入を前提に精査(ハード・ソフト両面の安全機能の要求水準を確認)し、安全関連システム及び動作に対するリスクアセスメントを実践。保護方策を織り込んだ試験装置を製作。試験内容は単純に自動走行中の試験装置が障害物を検知した際に安全に停止(又は回避)できるかを検証する。社内のテストコースで様々な条件を設けて確実に停止出来るかの実証試験を実施し、その方法と結果を報告する。
 既にリリースされている各メーカーの装置・システムには様々な特色が織り込まれているが、試験装置は最低限自律制御が可能な、LRF (Laser rangefinder)を使用したSLAM (Simultaneous Localization and Mapping)制御と、デプスカメラによる画像処理を使ったシステムを採用。安全機能については、身近な自動車産業の生産ラインに実装可能なレベルを目標とした。但し、自律生成される移動経路や自己位置推定のバラつきによる検証データへの影響を抑える為に、経路上に設置されたマーカーにて位置補正する機能を持たせた。また、自律(AI)制御の定義に計画時より様々な指摘を受けた為、レーザーセンサーによる物理的な障害物検知に加え、画像処理による人検出機能(試験装置進行方向の画像内に於いて、人を判別し移動ベクトルを考慮したデータを試験装置に与え、動作指令に反映させる)を持たせた。
結果と考察
 リスクアセスメント手法については、今回新たな手法の開発には至っていない。ISO 3691-4:2020の危険源リストからリスクアセスメント時に要求安全度水準の決定が出来る様に「危険源」の同定時に「測定ポイント」や「目標値」の設定、対応する規格の紐づけ等を織り込んだ手法を検討していたが、専門家や経験豊富な人材の支援が無ければリスク低減の妥当性を検証する事は困難で、危険源の同定漏れや保護方策に対するリスク低減の評価が不適切になりがちになる問題が露呈し更なる検討が必要となっている。前提条件や様々な情報をリスクアセスメント時点に準備する事で後の3ステップメソッドによる保護方策検討からの反復的なリスク低減プロセスを短縮出来たと共にリスクアセスメントを実践する者の能力差の影響を少なく出来るとも考えられるが、現在はMBD(Model-based design)が主流になている為、そちらとの紐づけが有効かと考えている。実証試験については、トライアル結果を踏まえて改善(特に環境や条件定義については最新技術のベンチマークが再度必要)が若干必要と思われるが、試験装置で採用した要素技術に対しては一定のプロトコルとして提案出来る。
結論
 実証試験のプロトコルとして、試験方法や評価基準の規定だけでなく、事前のリスクアセスメントが重要になります。装置の仕様・要件資料の準備や前提条件の整理の、規格・規定を確認する事で機能安全の要求水準が明確になり評価ポイントを絞り込む事が出来、妥当性の評価の正確性が向上すると考えられます。リスクアセスメント手法の開発については継続して検討していますが、特定の装置に限定し必要資料をセット化する事は有効な手段と考えます。

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202123005B
報告書区分
総合
研究課題名
自動走行可能な自律制御運搬台車の機能安全の実証手順開発
課題番号
19JA1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 浩之(株式会社アラキ製作所 営業統括部 企画開発グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年のセンシング技術、人工知能(AI)やGPS(Global Positioning System)技術の能力向上により、急速に生産工場、物流倉庫、建設現場、農作業等の様々な産業現場に、AMR(Autonomous Mobile Robot)を基板とした、自動走行可能な自律(AI)制御産業機械等が、特にLRF(Laser rangefinder)やデプスカメラ(Deth Sensing Camera)などの進歩とROS(Robot Operating System)を初めとしたソフトウェアプラットフォームの普及により開発・導入が進んでいる。こうした技術革新が進む上で、人と機械との安全な協働作業にあたっての安全基準を改めて定める必要がある。本研究では、それらの装置の社会実装前のリスクアセスメント手法と実証試験プロトコルの開発を目的とした。
研究方法
初めに現在の国内外規格を、自律制御装置の設計・開発・製作から導入を前提に精査し、最新技術動向や環境、客先ニーズに照らし合わせてリスクアセスメントを実践し、試験装置の構想を検討。現在導入が進められている各メーカーの装置・システムには様々な機能が織り込まれているが、試験装置は最低限自律制御が可能な、LRF (Laser rangefinder)を使用したSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)制御と、デプスカメラ(Deth Sensing Camera)による画像処理を使ったシステムを採用。安全機能については、弊社製作設備の導入実績の多い自動車産業の生産ラインに実装可能なレベルとし、弊社工場内通路にて実証試験を行う前提で設計・開発を実施。リスクアセスメントによる安全関連システム及び動作に対する保護方策を織り込んだ試験装置を製作し実証試験を実施。試験内容は自動走行中の装置が障害物を検知した際に安全に停止(又は回避)できるかを検証。試験コースに様々な条件を設けて確実に停止出来るかの実証試験を実施し、その方法と結果を記録。但し、研究計画時や実証試験段階に於いて、自律(AI)制御の定義や試験結果の妥当性に様々な指摘を受けた事に対して、自律生成される移動経路や自己位置推定のバラつきによる検証データへの影響を抑える為に、経路上に設置されたマーカーにて位置補正する機能を持たせ、カメラの撮像を画像処理による人体検出機能(試験装置進行方向の画像内に於いて、人を判別し移動ベクトルを考慮したデータを試験装置に与え、動作指令に反映させる)を持たせるなどの改善を並行して行った。
結果と考察
リスクアセスメント手法については、今回新たな手法の開発に至っていない。ISO 3691-4:2020の危険源リストからリスクアセスメント時に要求安全度水準の決定が出来る様に「危険源」の同定時に「測定ポイント」や「目標値」の設定、対応する規格の紐づけ等を織り込んだ手法を検討していたが、専門家や経験豊富な人材の支援が無ければリスク低減の妥当性を検証する事は困難で、危険源の同定漏れや保護方策に対するリスク低減の評価が不適切になりがちになる問題が露呈し更なる検討が必要となっている。前提条件や様々な情報をリスクアセスメント時点に準備する事で後の3ステップメソッドによる保護方策検討からの反復的なリスク低減プロセスを短縮出来たと共にリスクアセスメントを実践する者の能力差の影響を少なく出来るとも考えられるが、現在はMBD(Model-based design)が主流になている為、そちらとの紐づけが有効かと考えている。特に、設計・開発時点ではガイドライン等多く発行されている資料通り、基本的なJIS B 9700 (ISO 12100) 及び、JIS B 9705-1 (ISO 13849-1) の組み合わせによるリスクアセスメント手順及びリスク低減のための方法論が適用されるべきだが、この時点で技術者が「使用上の情報の提供」によりリスク低減とした残留リスクの許容判断が導入決定者・使用者の段階で変わってくる。実証試験については、試験結果を踏まえて改善(特に環境や条件定義については最新技術のベンチマークが再度必要)が必要と思われるが、試験装置で採用した要素技術に対しては一定のプロトコルとして簡単にまとめた資料が作成出来た。
結論
様々なタイプの装置が有り、実際に試験を行った結果を積み上げて行くしか無いと考えますが、資料のまとめ中に発行された「令和2年度 厚生労働省委託 技術革新に対応した機械設備の安全対策の推進事業 報告書」に記載されている8パターンの実証試験プロトコル作成例の一つに丁度合致する実証試験が出来ました。実証試験の前提として、リスクアセスメントが重要になる事は明白ですので、手法開発については継続して取り組んで行きます。

公開日・更新日

公開日
2023-02-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-12-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202123005C

収支報告書

文献番号
202123005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,000,000円
(2)補助金確定額
1,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 72,595円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 697,405円
間接経費 230,000円
合計 1,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-