文献情報
文献番号
200837037A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品等の安全性・有効性評価研究分野
課題番号
H19-食品・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 弘志(愛媛大学 沿岸環境科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「いわゆる健康食品」の有効成分および非意図的含有成分の相互作用やそれらと医薬品・食品との相互作用について、ヒトへ外挿可能な線虫C. elegansをモデル生物として、迅速・簡便かつ網羅的に評価可能な新規in vivoスクリーニング手法を開発し、安全性・有効性を評価することを目的とした。
研究方法
「いわゆる健康食品」としてガジュツを用い、全ゲノムアレイあるいはカスタムDNAマイクロアレイにより遺伝子発現解析をおこなった。ガジュツの抗酸化能を明らかにするためケルセチンを比較対象として、スーパーオキシドジスムターゼ (SOD) 遺伝子の発現に及ぼす影響を調査し、両化合物の抗酸化能を化学発光法により測定した。
結果と考察
ガジュツの安全性・有効性を遺伝子レベルで評価するため、ガジュツを24時間暴露した線虫について全ゲノムアレイ(約22500転写産物)解析を試み、ガジュツ応答遺伝子群の同定に成功した。ケルセチンも同様に解析したところ、ケルセチン応答遺伝子群の同定に成功し、ガジュツと共通して発現誘導した遺伝子群は全体の75%を占めておりガジュツの抗酸化作用が示唆された。抗酸化能を有するSOD遺伝子発現に及ぼすガジュツあるいはケルセチンの影響を調査したところ、両化合物はSODアイソフォーム遺伝子の発現に影響した。化学発光法による測定からガジュツの抗酸化作用が認められたことから、線虫SODはヒトなど哺乳類と同様に活性酸素の消去を担う機能を有することが示唆された。これらの事実は全ゲノムアレイ解析からガジュツの抗酸化作用を予測できることを示唆している。異なる方法で抽出したガジュツ成分を線虫に24時間曝露し、カスタムDNAマイクロアレイにより遺伝子発現解析を試みた。各ガジュツ成分により変動した遺伝子数や種類は異なっており、ガジュツ成分の季節変動あるいは異なる抽出方法などの関与が考えられた。しかしながら、共通してチトクロームP450、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及び脂質代謝に分類される遺伝子の発現変化が確認され、ガジュツ成分に応答する遺伝子群をスクリーニングできた。線虫ABCトランスポーターなどは多剤耐性に関与する可能性があるため、それら遺伝子の発現変動による抗がん剤など薬剤の多剤耐性の防御効果が期待され、今後それらの点を明らかにしたい。
結論
「いわゆる健康食品」の安全性・有効性評価において、線虫を用いた新規in vivoスクリーニング試験法は有効であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2009-04-10
更新日
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