デジタル機器及びソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用がメンタルヘルスに与える影響の解明のための研究

文献情報

文献番号
202118052A
報告書区分
総括
研究課題名
デジタル機器及びソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用がメンタルヘルスに与える影響の解明のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21GC1021
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
根岸 一乃(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三村 將(慶應義塾大学 医学部精神神経科学教室)
  • 満倉 靖恵(慶應義塾大学理工学部)
  • 綾木 雅彦(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はデジタル機器やソーシャルネットワーキングサービス(SNS) の使用が睡眠、うつ、心理面、大脳生理へ及ぼす影響に関する国内外の研究の最新状況を調査し、デジタル機器やSNS の使用がメンタルヘルスに与える影響についての知見を整理することを目的とする.
研究方法
デジタル機器とSNSの研究のレビューを行った。医学、自然科学、社会科学系の論文を網羅しているPubMed等の検索エンジンを使用し、英文論文を入手した。デジタル機器とSNSの利用状況についての公的調査結果をまとめた。
結果と考察
●デジタル機器が発する電磁波による健康障害 (引用文献数:31)
電磁波の人体への影響に関しては、臨床的にはおおむね影響は最小限であるが、一部の研究と基礎実験では種々の影響が報告されていること、暴露する電磁波は多様化・増大化しつつあることから、引き続き検証が必要である。
●デジタル機器の眼科的問題(引用文献数:20)・デジタル機器と睡眠 (引用文献数:18)・デジタル機器と気分障害 (引用文献数:11)
デジタル機器の眼科的問題や睡眠への影響、気分障害の関連については、すでに多くの研究が行われているが、強いエビデンスをもって社会や医療界に提言を行う水準にはいまだ達していない。
●デジタル機器の教育や仕事での利用とメンタルヘルス (引用文献数:14)・SNSとメンタルヘルス (引用文献数:15)・デジタル機器及びSNS 使用と脳内生理(引用文献数:5)
SNSはうつ・不安をはじめ、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす恐れがあり、特に若年女性が被害を受け障害を発症する危険が大きいとされる一方で好影響も報告されている。SNSとメンタルヘルスの問題の関連性は、個人が「どのようにSNSを使用するか」で大きな差異が生じる可能性がある。インターネットゲーム依存やゲーム障害については、報酬に関連した意思決定の障害と一貫して関連していることが複数のシステマティックレビューやメタアナリシスによって示されているが、これらの結果は因果関係を考察するのに十分な情報ではないため、解釈には注意が必要である。
●デジタル機器とSNSに関する調査資料のまとめ
令和2年の我が国の情報技術の利用状況の調査結果を概括した。10代、20代のモバイル機器の使用時間が最も長く、前年より増加していて、毎日60分以上ソーシャルメディアの閲覧や書き込みをしている。10-20代の男女別使用時間は女性は男性の約2倍になっている。インターネットの使用時間帯は夜間の20時―22時台が最も多い。これらの現状をふまえたメンタルヘルス対策が望まれる。
結論
デジタル機器及びソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用がメンタルヘルスに与える影響を解明するために、国内外の研究論文と調査結果のレビューと有識者会議を行い、現状と問題点を把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202118052C

収支報告書

文献番号
202118052Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
4,360,000円
差引額 [(1)-(2)]
640,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 503,758円
人件費・謝金 2,487,410円
旅費 0円
その他 216,038円
間接経費 1,153,000円
合計 4,360,206円

備考

備考
物品費については、本研究の研究協力者が本研究の文献検索・資料整理、書面作成に必要なパーソナルコンピュータ(PC)とその周辺機器、ソフトウエアを購入する予定であったが、研究協力者が本研究へ使用できるPCをすでに所有していたため新規購入の必要がなくなり、物品費は減額となった。
旅費については、情報収集と成果発表のため、本研究の責任者、分担者、研究協力者が国内学会に参加する際の費用として予定していたが、コロナ禍において学会出張が制限され、結果として旅費のかからない東京開催の学会(第75回日本臨床眼科学会参加費)の分担者の参加費用のみにとどまったため、減額となった。
その他の費用については、成果発表するための論文掲載料を予算計上していたが、期間内に論文投稿を行わなかったため、減額となった。
本研究のために論文検索、その他の情報収集を行い、内容を精査し、分類し、総括する必要があったので、外部委託よりも短時間で意思疎通のはかれる専任の研究員を学内で雇用して研究を遂行した。このため、当初予定していた事務職員の人件費に加え、研究員の人件費が増加した。

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-