良質な臍帯血の効率的な採取と調製保存ならびに移植に用いる臍帯血の選択と安全性に関わる運用に関する研究

文献情報

文献番号
202114006A
報告書区分
総括
研究課題名
良質な臍帯血の効率的な採取と調製保存ならびに移植に用いる臍帯血の選択と安全性に関わる運用に関する研究
課題番号
21FF1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 剛二(一般社団法人 中部さい帯血バンク 管理監督技術部)
研究分担者(所属機関)
  • 森島 泰雄(中部さい帯血バンク 管理監督部)
  • 松本 加代子(中部さい帯血バンク 調整保存部)
  • 高梨 美乃子(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 木村 貴文(日本赤十字社近畿ブロック血液センター 製剤部)
  • 加藤 栄史(愛知医科大学病院 輸血部)
  • 宮村 耕一(総合犬山中央病院)
  • 高橋 聡(東京大学 医科学研究所 血液腫瘍内科)
  • 甲斐 俊朗(兵庫さい帯バンク)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内の臍帯血バンクおよび臍帯血移植に関して6つのテーマで研究を行った。すなわち、1.臍帯血選択基準策定のための移植成績の解析、2.臍帯血の効率的な調整保存のための調査、3.臍帯血の効率的な採取方法策定のための調査、4.臍帯血移植の有害事象を把握するためのシステム構築のための調査、5.臍帯血の発展的利用方法の開発のための新規細胞療法の調査、6.臍帯血移植に関連するガイドライン改訂のための調査を行った。
研究方法
1.に関しては13,502症例のTRUMP臍帯血移植データを用いて移植後の生存率、生着不全の有無、疾患の再発等を目標として解析を行った。
2.に関しては6バンクに搬送された臍帯血について細胞数、検体量のデータを得てバンク間で比較した。
3.に関しては採取医療機関にアンケート調査を行い、臍帯血バンクでは採取医療施設より送付される臍帯血から検体を採取して細胞数等も測定し、分娩時情報とともにデータベース化して解析に用いる。
4.に関しては126診療科に対して施設内での臍帯血管理および臍帯血輸注時の合併症・副反応についてのモニタリングシステムに関して調査を行なった。調査内容は臍帯血管理、臍帯血輸注時の観察、臍帯血輸注時に発生した合併症の把握・対応、合併症報告システム構築などである。
5.に関しては移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律:移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(移植法)等に基づき、各バンクの規定を整理するとともに、臍帯血を利用した研究推進のための課題などを明らかにした。また新規細胞療法の臍帯血を用いた細胞療法の世界的な開発状況について調査した。
6.に関してはガイドライン改訂に関しては臍帯血供給業務を行っている各臍帯血バンクおよび移植施設の臍帯血供給業務の実情を把握し、収集した事項に関し、ガイドライン改訂案を作成して、厚生労働省へ改案を提出する。
結果と考察
研究結果
1. 移植性成績に有意な因子としてCD34陽性細胞数が生存率、生着率にとして検出された。またHLA適合度に関しては2抗原以上不一致者間の移植においては生着率、白血病再発率等に影響を与えなかった。
2. 6バンクに対するアンケート調査の結果、検査検体の量は0.8%から3.8%と大きく異なり、サンプリングロスの大きな原因となっていた。
3. 現在は倫理審査委員会の審議中であるが臍帯血バンクに対するアンケート調査にて採取医療施設からの臍帯血データをデータベース化する。令和3年度は国内の6か所の臍帯血バンクと協議して採取技術につき取りまとめさらに日本赤十字社血液事業本部の倫理審査手順に進めていく。
4. 126診療科を対象とし調査を行なった。臍帯血管理に関しては、80%以上の施設が輸血部門で保管し、電子媒体での管理は約60%の施設で実施されており、合併症・副反応の把握は全症例でなされていた。また、全国的な合併症・副反応報告システムの構築に関しては、約80%の施設が必要との回答であった。
5. 臍帯血を利用した研究推進のための現在の法律、指針、ガイドラインの確認と各バンクでの運用を調査した。その結果、①臍帯血の増幅などについては、移植病院での審査後に使用することは可能。②臍帯血の再生医療への利用については、現時点での研究同意では不十分。③ゲノム研究への対応については、現時点での研究同意では不十分と判明した。また、新たな事業への試みを調査して臍帯血細胞の体外増幅につき検討した。
6. 全国の非血縁者間造血幹細胞移植認定施設に対しアンケート調査を行った結果、現在の臍帯血公開数にCD34+細胞数の調製開始基準導入に関しては同意が多く、臍帯血HLAの6座タイピングは83%の施設が希望した。臍帯血の保管機器は、臍帯血バンクが推奨している液体窒素タンク中あるいは-140℃以下超低温フリーザーがそれぞれ61%、23%であった。
結論
国内において同種造血細胞移植の移植細胞源として臍帯血が最も多く選択されるようになった現在、その採取および調製保存作業のみならず移植医に対してより安全で質の高い環境を整備することは国民の健康福祉上極めて重要なことと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202114006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,187,000円
(2)補助金確定額
8,187,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,000,000円
人件費・謝金 800,000円
旅費 300,000円
その他 210,000円
間接経費 877,000円
合計 8,187,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
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