利用者の視点に立つた終末期医療と在宅医療のあり方とその普及に関する研究

文献情報

文献番号
200835003A
報告書区分
総括
研究課題名
利用者の視点に立つた終末期医療と在宅医療のあり方とその普及に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、終末期医療と在宅医療に係る社会の要請の明確化、これらの医療の普及を阻害する要因の分析、施設医療から在宅医療への移行を促す説明ツールの有用性の検証、および経済的意議の検討を行う。
研究方法
1)がん終末期患者の療養先選択の要因
25施設に入院中の進行がん患者と主たる介護者に対し、希望する退院後の療養先、実際の療養先、患者や家族のQOL(EQ-5D、HADS)などを調査した。
2)居住系施設における看取り
年間看取り数が10件以上ある178の在宅療養支援診療所のうち、同意が得られた126診療所を対象に居住系施設における訪問診療・往診について調査した。このうち、44診療所で訪問診療・往診を受けている居住系施設の利用者とその家族各629人、その利用者が入居する127施設を対象に調査を実施した。
3)在宅における看取り
看取りを積極的に行っている在宅療養支援診療所3施設について、在宅で看取ったがん末期患者について、診療諸記録とレセプトから訪問診療・往診の内容と診療報酬点数を分析した。
結果と考察
1)終末期患者の療養先選択に係る要因を調査すると、在宅療養を希望する患者は、病院療養を希望する患者に比べHADSのDepression Scaleが低く、PSが良好である。
2)居住系施設入所者に関する調査を行った結果、最期を迎える場所については、利用者、家族とも約半数が施設を希望している。その理由は「最期まで面倒をみてもらえる」「家族に迷惑をかけたくない」「家族では介護できない」が多く、利用者、家族ともほぼ共通である。
3)在宅がん患者は死亡の7-10日前から訪問診療や往診が多くなり、夜間の往診回数、往診滞在時間も次第に増す傾向がある。独居者は、独居でない場合に比べて訪問件数、1訪問あたり滞在時間とも多く、指導相談に要する時間の占める割合が高い。
結論
最期を迎える場所は、利用者も家族も約半数が施設を希望していた。利用者と家族の意向が一致している場合、利用者の希望は施設75.8%、自宅15.2%と施設が多いのに対し、一致していない場合は、利用者の希望は施設33.8%、自宅54.4%と自宅が多くなる。利用者とともに家族に対する十分な説明が重要と考えられる。
在宅がん患者では死亡の7-10日前から在宅療養支援診療所の訪問診療や往診が多くなり、夜間の往診回数、往診滞在時間も次第に増す傾向がある。独居者は、訪問件数、1訪問あたり滞在時間とも多く、指導相談に要する時間の占める割合が高い。土日祝日の夜間帯の往診に対する診療報酬上の適切な評価、独居者の看取りについての新たな評価が必要になっていることが窺える。

公開日・更新日

公開日
2009-07-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200835003B
報告書区分
総合
研究課題名
利用者の視点に立つた終末期医療と在宅医療のあり方とその普及に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 蘆野 吉和(十和田市立中央病院)
  • 本家 好文(県立広島病院)
  • 川島 孝一郎(仙台往診クリニック)
  • 英 裕雄(新宿ヒロクリニック)
  • 和田 忠志(あおぞら診療所新松戸)
  • 有賀 悦子(国立国際医療センター)
  • 田村 里子(東札幌病院)
  • 牧本 敦(国立がんセンター 中央病院)
  • 伊藤 道哉(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 小野 充一(早稲田大学)
  • 中島 孝(国立病院機構新潟病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人口高齢化に伴う需要の増大と社会から求められる患者中心の医療の実践に向け、利用者の意向に沿う終末期医療と在宅医療のあり方とその普及・促進の方策に関する政策提言を行う。
研究方法
1)終末期在宅医療の普及を促す要因:25施設に入院中の進行がん患者と主たる介護者に対し、希望する退院後の療養先、実際の療養先、患者や家族のQOL(EQ-5D、HADS)などを調査した。
2)在宅療養におけるがん終末期患者のQOL:在宅療養支援診療所(2,142カ所抽出)の医師より往診を受ける終末期がん患者を対象に、療養環境、QOL(FACIT-Sp)等について、2週間ごとの自計調査を行った。死亡例については、死亡前の2週間、4週間前に遡りQOLの変化を検討した。
3)終末期医療と在宅医療の医療経済:積極的に看取りを行う在宅療養支援診療所3施設のがん末期患者で、在宅で看取った者に関し訪問診療・往診の内容と医療費の実態を明らかにした。
結果と考察
1)終末期患者の療養先選択に大きく影響する因子は、HADSのDepression ScoreとPSである。在宅療養におけるがん終末期患者のQOLは、病状の進行に伴って悪化するが、死亡前は大きな変化はない。
2)居住系施設入所者に関する調査では、最期を迎える場所については、利用者も家族も約半数が施設を希望している。利用者と家族の意向が一致している場合、利用者の希望は施設75.8%、自宅15.2%と施設が多いのに対し、一致しない場合は、利用者の希望は施設33.8%、自宅54.4%と自宅が多くなる。利用者とともに家族に対する十分な説明が重要と考えられる。
3)在宅がん患者では死亡の7-10日前から在宅療養支援診療所の訪問診療や往診が多くなり、夜間の往診回数、往診滞在時間も次第に増す傾向がある。独居者は訪問件数、1訪問あたり滞在時間とも多く、指導相談に要する時間の占める割合が高い。
4)終末期における入院療養と在宅療養のがん看取り医療費は、2012年は4,586億円と推計される。入院死から在宅死を10%に増やすと172億円が節約され、15%にまで増やすと345億円が節約され、24.5%に増やすと896億円が節約されると試算される。
結論
在宅医療を担う医師が、再入院を含め、医療機関や看護・介護サービス機関等との連携を図る役割果たす仕組みが構築されている地域では、患者は安心して療養生活を送りやすい。在宅療養支援診療所の在宅看取りに関する医療費は、入院患者における死亡前30日分の医療費と比較して少なく、在宅療養支援診療所の終末期医療の提供に適切な診療報酬の設定が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2009-07-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835003C