反復磁気刺激によるパーキンソン病治療の確立

文献情報

文献番号
200833073A
報告書区分
総括
研究課題名
反復磁気刺激によるパーキンソン病治療の確立
課題番号
H20-こころ・一般-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宇川 義一(福島県立医科大学 医学部 神経内科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 貞俊(産業医科大学 神経内科)
  • 梶 龍兒(徳島大学 医学部 神経内科)
  • 飛松 省三(九州大学 医学部 臨床神経生理)
  • 中島 健二(鳥取大学 医学部 神経内科)
  • 横地 房子(都立神経病院 神経内科)
  • 福留 隆泰(国立病院機構 長崎神経医療センター 神経内科)
  • 花島 律子(東京大学 医学部付属病院 神経内科)
  • 生駒 一憲(北海道大学 医学部付属病院 リハビリテーション科)
  • 松永 薫(熊本機能病院 神経内科)
  • 小森 哲夫(埼玉医科大学病院 神経内科)
  • 齋藤 洋一(大阪大学 医学部 脳神経外科)
  • 杉山 憲嗣(浜松医科大学 脳神経外科)
  • 大津 洋(東京大学 臨床試験データ管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、パーキンソン病の運動・非運動症状を改善できる、確実な反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を確立することである。
研究方法
上記目的を達成するために3カ年計画で①探索的臨床研究、②より効果的な刺激法の開発・作用機序の解明、③深部脳刺激療法(DBS)との対比、④原因遺伝子による治療反応性の相違、⑤アンケートによる非運動症状の現状把握と治療の満足度調査、という5つのアプローチを行う。
結果と考察
平成20年度は探索的臨床研究(多施設共同無作為化臨床試験)について運動・非運動症状への効果を検討することとし、統計専門家のもと研究システムを確立し、3カ年で150例を目標とし、実施プロトコールは各施設における倫理委員会の承認を受けた。更にUMINへの登録(UMIN000001576)を行い平成20年11月4日より登録を開始した。
また当初のrTMSの機序の解明という従来の目標を発展させ、より効果的な刺激方法の開発も目指すこととした。今年度は新しいrTMS刺激法(QPS)を開発した(Hamada et al., J Physiol, 2008)。また単相性rTMSがより効果的であることを機能画像で示した(Hosono et al., Clin Neurophisiol 2008)。更に近年開発された新しい刺激法(theta burst stimulation, TBS)での長期効果も報告した(Sakuma M et al., Clin Neurophysiol, 2008; Murakami T et al., Clin Neurophysiol, 2008)。DBSとの対比に関しては、基礎的な研究として機能画像を用いてDBSの機序について報告した(Arai et al., J Neurol, 2008)。探索的臨床研究については結論を出す段階に至っていないが、本システム構築により信頼性の高い臨床研究データの蓄積が可能となり、これまで以上にエビデンスレベルの高い結果を得られると考えられる。また新しい刺激法の開発では将来、今年度に報告した新しい方法を用いることでrTMSの治療効率の上昇が期待される。更に今後DBSとの対比を行う上でその機序に関する重要な情報が得られた。
結論
今年度は3カ年継続する探索的臨床研究において実施計画を策定しシステムを構築した。また、従来のrTMSでは効果が軽度であり治療応用上問題となっていたが、今年度の結果から将来的なrTMS治療における治療効率の上昇を目指すために有用な成果を提供できた。以上、今年度は多くの画期的な成果を上げることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-