公衆衛生領域を中心とした自治体栄養士育成プログラム開発のための研究

文献情報

文献番号
202109024A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆衛生領域を中心とした自治体栄養士育成プログラム開発のための研究
課題番号
20FA1008
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
由田 克士(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 澁谷 いづみ(愛知県瀬戸保健所)
  • 岡本 理恵(長沼 理恵)(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
  • 田中 和美(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
  • 荒井 裕介(千葉県立保健医療大学 健康科学部)
  • 串田 修(静岡県立大学 食品栄養科学部)
  • 小山 達也(青森県立保健大学 健康科学部 栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 自治体栄養士の配置数は少なく、特定の地域や組織・部門においては、いわゆる「ひとり職種」あるいは、「ひとり配置」であることも多く認められる。したがって、個の能力やスキルが、地域や組織・部門における公衆栄養活動の質に対して、数年から数十年にも渡り強く影響を及ぼすことに繋がる。自治体栄養士は、地域や組織・部門から期待される役割や時間の経過とともに刻々と変化・発生するさまざまな課題に対して最善の対応ができるよう、勤務年数や職位に応じ、常に十分な知識や技術を身につけておくことが求められている。そこで、本研究では自治体栄養士を取り巻く状況を広く把握し、その状況に考慮しつつ、新たな育成プログラムの開発を行うことを目的とした。
研究方法
 前年度(1年目)に実施した各種文献レビュー、都道府県と保健所設置市の主管部局に実施した調査成績、健康づくりの現場で勤務している自治体栄養士に対して実施した調査成績を用いて、実態や課題に応じ、公衆衛生領域を中心とした自治体栄養士のキャリアラダーモデルとそれに基づく新たな人材育成プログラムの素案を作成した。この際、1年目に実施した各種の調査データを改めて詳細に分析すると共に、具体的なプログラムの内容やその実現性について関係者間での意見交換や調整等も実施した。さらに、関係自治体の協力も得て、一部プログラムの予備的試行と当該受講者からの簡略な意見も把握した。
結果と考察
 各自が求めているスキルアップの内容や10年後の目指すべき姿は、勤務する自治体の種類や現在の職位によって、異なっている部分と共通している部分の両者が認められた。
健康づくりの経験年数別にみた自治体栄養士の学習ニードについては、都道府県と政令市等に勤務する者では、経験年数の違いによって、最終的に希望する職位や将来の業務内容に違いは認められなかった。一方で、都道府県と市町村等に勤務する者では、新任期に比べリーダー期において、公衆衛生のゼネラリストとしての業務を希望の者が多く認められた。全体では、新任期に比べ中堅期とリーダー期で専門分野の知識や栄養指導技術のスキルアップしておかなければならないと認識している栄養士が少なかった。これらのことから、中堅期とリーダー期の自治体栄養士は、スペシャリストとゼネラリスト双方への学習ニードを有していることが示唆された。
 また、自治体に勤務する栄養士特有の問題である自身の業務に関する自己効力感や自己肯定感が低いことを改善・克服するプログラムを検討する目的で看護師の自己効力感について焦点を当て、現在までにどのような研究がなされているか、自己効力感の関連要因は何かを明らかにすることを目的に文献検討により整理と考察を行った。この結果、女性看護師の自己効力感は一般女性に比べ自己効力感が低かったが、経験を経て役職を得、自分のポジションが明確になることで改善していていた。職場環境を整えることで自己効力感やレジリエンス、職業継続意欲を高められることが示唆された。
結論
 一連の結果や考察を総合的に勘案した結果、既存の自治体栄養士養成プログラムを活用し、各自の状況に応じながら、希望する方向へのスキルアップが取り組めるような情報提供と、既存のプログラムでは取り扱われていないが、自治体栄養士にとってスキルアップが必要な内容についてプログラムを新規に作成し、両者を組み合わせて実施するフレームワークが、自治体栄養士養成のための新しいプログラムに必要であると考えられた。
 さらに、一連の取り組みを効果的且つ効率的に進めるための仕組みづくりや職場環境の整備についてもあわせて構築・検討しなければならない。

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
5,235,000円
差引額 [(1)-(2)]
765,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,264,274円
人件費・謝金 242,582円
旅費 200,895円
その他 144,138円
間接経費 1,384,000円
合計 5,235,889円

備考

備考
収入の「補助金確定額」と支出の「合計」に差異は、自己資金889円を用いた。

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-