新型コロナウイルス感染症流行下における新人看護職員研修の実態把握調査研究

文献情報

文献番号
202106012A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症流行下における新人看護職員研修の実態把握調査研究
課題番号
21CA2012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
末永 由理(東京医療保健大学 医療保健学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋澤 奈津子(野田 奈津子)(東京医療保健大学 医療保健学部 看護学科)
  • 小澤 知子(東京医療保健大学 医療保健学部 看護学科)
  • 佐々木 美奈子(東京医療保健大学 医療保健学部)
  • 駒崎 俊剛(東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科)
  • 本谷 園子(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科 )
  • 坂本 すが(東京医療保健大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症の流行(以下、コロナ禍)により、新人看護職員に対する研修(以下、新人研修)は様々な制約を受け、看護学生の臨地実習の機会は例年と比べ減少している。コロナ禍においても質の高い看護人材を育成する方策を検討するために、これまでとは異なる状況下で実施されている新人看護職員研修および臨地実習の経験不足を補うために教育機関が行っている卒業後の新人看護職員を対象とした研修(以下、卒後フォローアップ研修)の実態を明らかにする。
研究方法
1.病院インタビュー調査
病院の新人研修担当者(研修責任者・教育担当者)計29名に対し、令和2年度及び令和3年度の新人研修の実施状況、新人看護職員の様子や研修実施上の課題等を尋ねた。
2.学校インタビュー調査
看護基礎教育機関が臨地実習の不足を補うために実施している卒後フォローアップ研修の担当者7名(4プログラム5看護基礎教育機関)に対し、研修の概要や参加者の反応、成果や運営上の課題等を尋ねた。
3.病院Webアンケート調査
病院で新人看護職員に対する研修を企画・運営する責任者(研修責任者や副看護部長等)に対し、新人看護職員の雇用状況、研修体制、研修実施状況、新人看護職員の入職後の状況、研修に関わる看護師への影響、研修実施上の課題等を尋ねた。
結果と考察
1.コロナ禍での新人研修の工夫や課題
病院インタビュー調査より、令和2年度の新人研修は、医療現場であるからこそ感染対策を重視した研修が展開されており、令和3年度は感染対策を基盤に各組織の実情を踏まえ現実可能な工夫がなされていることが明らかとなった。コロナ禍における新人研修遂行のための工夫として、「感染対策を前提により効果的かつ実施可能な方法の選択」「臨地実習不足を考慮した研修内容への変更」「ICTツールの利活用」「現状を捉えた適時研修計画の修正」が考えられ、より一層多様化することが予測される新人看護職員のレディネスを踏まえた対応や企画者・指導者の高いマネジメント力の必要性が示唆された。コロナ禍の新人研修実施にあたっての課題は、「持続可能な体制づくり」「指導層の育成」「看護基礎教育との連携」「長期的な評価の必要性」が考えられた。
2.病院における新人研修の実態
Webアンケート調査から令和3年度の新人研修では、方法やプログラムの工夫に関する項目の多くは、令和2年度に若干実施率が下がったものの令和3年度には実施率が復活する傾向がみられ、感染対策を講じながら必要な研修は再開・継続されていた。集合研修の時間数について、令和2年度は減少し、令和3年度には増加したものの、コロナ禍以前と比べると研修時間数の分布は短い方向へとシフトしており、コロナ禍での研修方法の見直しを経て、OJTが定着した病院もあると思われた。集合研修における遠隔での実施割合は徐々に増加しており、ICTの導入が進んだと言える。令和3年度の新人看護職員には業務の独り立ちや夜勤開始時期に一部遅れが見られたものの、概ね例年通りに成長しており、新人研修における工夫の成果が見られていたと考える。
3.臨地実習の不足を補う卒後フォローアップ研修の実施状況と課題
困難感の解決や組織への適応、仲間づくりや臨地実習の経験不足を補うことでの不安軽減、メンタルサポート、入職前の看護技術の再学習を目的とし、系列病院や近隣病院、卒業生等を対象に、困った場面の分析と対応、仕事の価値観に関するグループワーク、希望する部署での体験型研修や訪問看護の同行、技術演習、オンラインでのメンタルヘルスセミナー等が行われていた。参加者にはコミュニケーションや看護実践に関する学び、仕事に取り組む姿勢の変化や仲間づくり等がもたらされていた。運営上の課題として、在学生カリキュラム進行の中での研修開催やマンパワーと資金の確保、実習施設の確保や研修対象者の選定などがあった。
結論
1.コロナ禍での新人看護職員の育成の現状
令和2年度は集合研修等の実施率が前年度よりも若干低下し、令和3年度には復活する傾向が見られた。また、感染対策を前提とし、実習不足を考慮した研修内容への変更や集合研修からOJTへの移行、ICTツールの利活用等、新人看護職員のレディネスや令和2年度の実績をもとに研修の見直しが図られており、令和3年度の新人看護職員には概ね例年通りの成長が見られていた。
2.コロナ禍での新人看護職員育成上の課題
持続可能な研修体制の構築や評価に基づく効果的な研修の企画・運営による実践能力獲得支援、指導者の指導力向上及び負担の経験、基礎教育との連携による学びの積み重ねや補完、ICTに関する環境整備、公的機関からの支援や研修制度の検討等が課題である。

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202106012C

収支報告書

文献番号
202106012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,425,000円
(2)補助金確定額
10,424,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 207,056円
人件費・謝金 405,300円
旅費 37,784円
その他 7,368,860円
間接経費 2,405,000円
合計 10,424,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-05-24
更新日
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