リアルタイムモニター花粉数の情報のあり方の研究と舌下ペプチド・アジュバント療法の臨床研究

文献情報

文献番号
200832028A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムモニター花粉数の情報のあり方の研究と舌下ペプチド・アジュバント療法の臨床研究
課題番号
H20-免疫・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 伸男(山形大学医学部 耳鼻咽喉科)
  • 岡野 光博(岡山大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科頭頸部外科)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍科)
  • 後藤 穣(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 永田 真(埼玉医科大学 呼吸器内科)
  • 藤枝 重治(福井大学医学部 耳鼻咽喉科頭頸部外科)
  • 増山 敬祐(山梨大学大学院医学工学総合研究部 耳鼻咽喉科頭頸部外科)
  • 湯田 厚司(三重大学医学部 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スギ・ヒノキ花粉症は有病率が高い。それを啓蒙する目的でリアルタイムモニターの花粉情報提供を行う。また花粉症の根治的な治療を目標として新しい免疫療法の開発を行う。ペプチド免疫療法を舌下免疫療法(SLIT)と組み合わせた治療の基礎的・臨床的検討を行う。
研究方法
花粉症のリアルタイムモニターと花粉飛散の地域特異性の検討行った。花粉症に対する治療効果の検証として花粉暴露室の臨床試験を行った。皮下注射によるクラスター免疫療法(SCIT)の検討を行った。SLITの臨床研究を小児・成人で行い、効果やバイオマーカの検討を行った。ペプチドに関連するスギ抗原特異的メモリーT(IL-4,IL-5,IL-10)細胞の検討をペプチド免疫療法の基礎研究として行った。
結果と考察
リアルタイムモニターKH-3000は黄砂や雪の影響(SPMなど)を受けることが分かっている。症状予防に直結するこれらのデータを補正式を行って、花粉情報を発信しなければならない。山形ではスギ花粉抗原よりイネ科抗原に対する感作の率が高く、地域特性性に注目する。花粉暴露室は花粉症治療の効果検証には有用な施設であった。SCITをクラスターと呼ばれるラッシュの方法で増量できたが、副作用もあるため専門施設での施行が望まれる。またSCITの効果はPBMCからのIL-5産生の抑制からも明らかにおった。またヒノキRAST陰性でもPBMCレベルではヒノキ抗原に反応することが明らかになった。SLITは小児でも成人と同じプロトコールで安全で、高い効果を示した。メカニズムの検討では制御性T細胞の増加、扁桃上皮細胞における遺伝子変化、血中のプロテオーム解析でのアポA4タンパクの増加などが示されてきた。ペプチド特異的T細胞とCry j 1,2特異的T細胞数の比率は個体差が多く、ペプチドに対して反応性が高い患者と低い患者が存在することが示唆された。
結論
リアルタイムモニターの情報は補正を行って、正確な花粉情報を発信し、国民の花粉症予防を正確に誘導したい。根治的治療法であるSCITの効果は国際的に認められている。そのSCITではさらに安全な方法論を確立する必要がある。スギ花粉のSCITがヒノキ花粉症に効果を示す理由も明らかになった。SLITは小児でも成人でも有効である。制御性T細胞の増加、扁桃上皮細胞における遺伝子変化、アポA4タンパクの増加などのさらなる解析が今後のペプチド・アジュバントSLITへ繋がるものと期待される。SCIT、SLIT、ペプチドの反応性の研究から暴露室なども用いて臨床試験を組んでゆきたいと思っている。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-