関節リウマチに対する長期耐用下肢人工関節の開発とクリティカルパスの標準化

文献情報

文献番号
200832007A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチに対する長期耐用下肢人工関節の開発とクリティカルパスの標準化
課題番号
H18-免疫・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 孝志(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 宣(京都大学 大学院医学研究科)
  • 三浦 裕正(九州大学 大学院医学研究科)
  • 大塚 博巳(愛知医科大学 医学部)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松下 富春(中部大学 生命健康科学部)
  • 安達 泰治(京都大学 大学院工学研究科)
  • 宮原 寿明(九州医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では下肢の人工関節に関する諸問題を明らかにし、その解決を目指す。課題は3つに分け、1は下肢に用いられる人工関節の問題を明らかにその解決を目指す。2は人工股関節と膝関節のクリティカルパスの標準化を進める。3は下肢人工関節の全国的な登録制度を開発することである。
研究方法
1.下肢人工関節の開発
a) 酸化チタン入り骨セメントの強度調査、b) 骨と金属材料間の固定のための歩行時の人工膝関節にかかる荷重のシミュレーション解析、歩行時のPS型人工膝関節におけるポストのインピンジメントの解析、新しく開発した人工足関節のFEM分析を行った。
2.TKAとTHAのクリティカルパス
a) ガイドラインと下肢人工関節のクリティカルパス質問票調査で得られたものと比較検討した。
b) 退院アウトカムに最も影響する自立歩行の達成時期についてTHAにおける歩行開始時期などを評価した。
3.下肢人工関節の全国的な登録制度
人工関節の多施設でのレジストリーからナショナルレジストリー体制構築への試みを行った。

結果と考察
1.
a)酸化チタン含有骨セメントの力学的強度は、PMMAより圧縮強度は優れ、曲げ強度は同等であった。
b)骨-インプラント界面の骨に作用するせん断応力は膝屈曲角が大きくなるほど増大することがわかった。
c) 大腿骨コンポーネント顆間部とポスト前方はstance phaseでは全例に接触を認めた。
d) 勘合部のテーパー長が8 mmにおいては,目標値以上を示した。距骨コンポーネントは最大応力が低く変位が少ない外径9 mm,フィン付を採用した。
2.
a) ガイドラインを有意に遵守する病院は、施設規模が大きく、学会発表の多い活発な病院である、との結果が得られた。
b) バリアンス要因は、患者要因と社会的要因であった。
3.約36か月間に行われた患者登録は、THAが3242、TKAが3258であり、その登録過程で問題点も明らかになった。

結論
1.酸化チタン含有骨セメントの開発が期待される。PSタイプの人工膝関節でデザインの改善の必要、新しい人工足関節のデザインの長所がしめされた。
2.ガイドラインープラクティスギャップの現状解析ができ、一部の提言を示すことができた。
3.人工関節のレジストリーは、登録システムがほぼ完成しているが、全国展開には実行組織を拡大する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200832007B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチに対する長期耐用下肢人工関節の開発とクリティカルパスの標準化
課題番号
H18-免疫・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 孝志(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 川那辺 圭一(京都大学 大学院医学研究科)
  • 伊藤 宣(京都大学 大学院医学研究科)
  • 三浦 裕正(九州大学 大学院医学研究科)
  • 大塚 博巳(愛知医科大学 医学部)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松下 富春(中部大学 生命健康科学部)
  • 安達 泰治(京都大学 大学院工学研究科)
  • 宮原 寿明(九州医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は下肢の人工関節に関する諸問題の解決を目指すために、1、下肢人工関節において長期耐用性の人工材料と人工関節の開発を目指すこと、2、人工股関節と膝関節のクリティカルパスの標準化を進めること、3、下肢人工関節の全国的な登録制度を開発することであった。
研究方法
1
a.ジルコニア骨頭に関する文献上のメタアナリシス、X線学的検討を行い、摘出骨頭評価を行った。
b.3次元動態解析技術および完全6自由度関節シミュレータを用いて人工膝関節の動態解析を進めた。
c.既存および新規人工足関節のFEM解析などを行った。
d. 腱と骨の結合強度を増す研究、コバルト合金表面に純Ti粉末をプラズマ溶射した材料の性状検討、酸化チタン含有生体活性セメントを開発した。
2
a. 質問票結果を元にクリティカルパスの統計学的検討を行った。
b. 1施設におけるクリティカルパスの妥当性について退院アウトカムの達成状況とバリアンス要因を検索した。
3
下肢人工関節の全国的な登録制度の体制を構築し、また問題点を検討した。
結果と考察

a.再置換率、摩耗ともジルコニア骨頭を用いたTHAが劣った。
b.階段昇降時のリフトオフ、外旋時の高い接触圧、Kneeling時のedge contact、stance phaseにおけるポストインピンジメントなどが判明した。
c.人工足関節のFEM解析結果から、コンポーネントと骨の応力の特徴が判明した。
d.BMPを添加するとインプラントと腱の接着 強度は著しく向上した。また酸化チタン含有骨セメントは良好な強度を有していた。
2
a. クリティカルパスは病床数、医師数の多く、activeな病院で使用され、そのような施設ではガイドライン遵守率が高かった。
b. 術後10日以内の歩行が可能であり、バリアンス要因は患者要因と社会的要因であった。
3
登録制度は確立しつつあるが運用上の問題点も明らかになった。
結論
本研究プロジェクトは下肢人工関節に関する諸問題のうち3課題を中心に取り組んで来た。第一課題では現行の人工関節の評価と新しい人工関節を目指す基礎的研究が行われた。第二課題では人工関節に関するクリティカルパスに関しては全国的な現況が明らかとなり今後の問題点が示された。第三課題の人工関節の全国登録に関しては大規模な試行の段階に進めることができた。3年間でそれぞれの課題で成果を得られたが、今後は課題をよりしぼり込んで進めることが必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200832007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2ミクロンサイズの酸化チタン56%含有骨セメントにより従来の骨セメントの改善が期待された。骨とインプラント界面の固着に関しては今回の解析で界面で従来の2倍の剪断応力が予測された。人工膝関節を入れた患者の解析で、PSタイプの人工膝関節で大腿コンポーネントとカムの部分でインピンジが生じていることが判明し、接触応力の低下のためのデザインの改善の必要が示された。新しい人工足関節のデザインの解析では簡易力学試験とFEM解析でデザインの利点がしめされた。
臨床的観点からの成果
人工関節の多施設でのレジストリーからナショナルレジストリー体制構築において、参加施設が順調に増加し、登録システムがほぼ完成していることが示されているが、今後の全国展開には実行組織をより大規模なものに拡大する必要がある。

ガイドライン等の開発
下肢人工関節のクリティカルパスに関して、得られたアンケートの解析と人工関節に関するガイドラインを比較することでガイドラインープラクティスギャップの現状解析ができ、一部の提言を示すことができた。

その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
下肢人工関節のナショナルレジストリーについては、日本整形外科学会インプラント委員会で継続的に取り上げられ審議される議題となっている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-