文献情報
文献番号
200831005A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウィルス感染の肝外病変の基礎的及び臨床的包括研究
課題番号
H18-肝炎・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学 東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 岡村 孝(久留米大学医学部)
- 岡上 武(大阪府済生会吹田病院)
- 熊田博光(虎の門病院分院)
- 石坂信和(東京大学医学部附属病院)
- 山口一成(国立感染症研究所)
- 勝二郁夫(神戸大学大学院医学系研究科)
- 森屋恭爾(東京大学医学部附属病院)
- 松浦善治(大阪大学微生物病研究所 )
- 小原恭子(熊本大学医学薬学)
- 林 純(九州大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
85,791,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国ではC型肝炎ウイルス(HCV)持続感染者が約200万人存在し、慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと到る連鎖に苦しめられている。しかし、HCV感染症は肝臓だけの感染症では無く、クリオグロブリン血症、シェーグレン症候群、B細胞リンパ腫などの全身性病変を起こすこと、また、肝外病変である脂質代謝異常や糖代謝異常・インスリン抵抗性を合併しやすく、慢性肝炎の進行、肝癌発生への影響も示唆されてきている。しかし、実態は不明である。C型肝炎は全身感染症であることを明らかにし、それが肝病変、予後に与える影響を明らかにする。
研究方法
臨床面と基礎面の双方から多角的に検討を行なう。
結果と考察
1. C型肝炎においては肝脂肪化の合併が多いことが明らかになった。
2. C型肝炎においてはインスリン抵抗性の合併が多いことが明らかになった。
3. インスリン抵抗性の合併は肝線維化の悪化因子であった。
4. 肝脂肪化の合併は肝線維化の悪化因子であった。
5. 肝脂肪化はC型肝炎に対するリバビリン併用ペグインターフェロン治療の陰性予測因子であった。
6. 日本人のコホートにおいて、インスリン抵抗性がC型肝炎の治療効果に及ぼす有意な影響は検出されていない。
7. HCVコア蛋白の70番目と91番目のアミノ酸変異とLDLコレステロール値はリバビリン併用インターフェロン治療の有意な効果決定因子であった。
8. 住民検診の結果、HCV感染症では血清総コレステロール値、LDLコレステロール値はHBV感染症に比して有意に低いことが明らかとなった。動脈硬化はHBV感染症に比して軽くはないことが示された。
9. HCV酸化ストレスを増加させるが、抗酸化系を減弱させることによって更に酸化ストレスを悪化させていることが明らかとなった。
10. HCV感染者の長期観察においては、HBV感染者に比して、有意にB細胞リンパ腫が高頻度であった。更に、インターフェロン治療によってHCVが排除された例においては、B細胞リンパ腫が有意に減少することが示された。
11. HCV感染者においてはリンパ球のclonalityが認められる例が存在し、Bリンパ腫発生との関連性が示唆された。
12. 肝細胞およびB細胞に共通に発現している宿主因子の中からHCVコア蛋白およびHCV RNAのIRES領域に結合する宿主因子hnRNP Hを同定した。
2. C型肝炎においてはインスリン抵抗性の合併が多いことが明らかになった。
3. インスリン抵抗性の合併は肝線維化の悪化因子であった。
4. 肝脂肪化の合併は肝線維化の悪化因子であった。
5. 肝脂肪化はC型肝炎に対するリバビリン併用ペグインターフェロン治療の陰性予測因子であった。
6. 日本人のコホートにおいて、インスリン抵抗性がC型肝炎の治療効果に及ぼす有意な影響は検出されていない。
7. HCVコア蛋白の70番目と91番目のアミノ酸変異とLDLコレステロール値はリバビリン併用インターフェロン治療の有意な効果決定因子であった。
8. 住民検診の結果、HCV感染症では血清総コレステロール値、LDLコレステロール値はHBV感染症に比して有意に低いことが明らかとなった。動脈硬化はHBV感染症に比して軽くはないことが示された。
9. HCV酸化ストレスを増加させるが、抗酸化系を減弱させることによって更に酸化ストレスを悪化させていることが明らかとなった。
10. HCV感染者の長期観察においては、HBV感染者に比して、有意にB細胞リンパ腫が高頻度であった。更に、インターフェロン治療によってHCVが排除された例においては、B細胞リンパ腫が有意に減少することが示された。
11. HCV感染者においてはリンパ球のclonalityが認められる例が存在し、Bリンパ腫発生との関連性が示唆された。
12. 肝細胞およびB細胞に共通に発現している宿主因子の中からHCVコア蛋白およびHCV RNAのIRES領域に結合する宿主因子hnRNP Hを同定した。
結論
肝炎ウイルス感染症は全身疾患である。その認識をもって感染者の管理・治療に当ることで、患者の予後、QOLの大幅な改善が期待される。
公開日・更新日
公開日
2009-04-06
更新日
-