我が国における一類感染症の患者発生時の臨床的対応に関する研究

文献情報

文献番号
200829030A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国における一類感染症の患者発生時の臨床的対応に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 宏一郎(国立国際医療センター 国際疾病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 康幸(国立国際医療センター 国際疾病センター)
  • 筧 淳夫(国立保健医療科学院)
  • 高崎 仁(国立国際医療センター 国際疾病センター)
  • 立川 夏夫(横浜市立市民病院 感染症内科)
  • 泉 信有(国立国際医療センター 国際疾病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一類感染症(ラッサ熱、エボラ出血熱、マールブルグ病、クリミアコンゴ出血熱等)は、第一種感染症指定医療機関で対応する。しかしこれまでほとんど国内で発生しておらず、診療経験は皆無に等しい。そして、多くは重症化し、致死率も高い。しかしグローバル化に伴い、国内持ち込み、国内発生の事態も今後予想され、効率の良い備えをしておかなければならない。そうした実態を踏まえ将来の事態への準備をすることが目的である。
また、空気感染症の結核が新たに二類感染症に指定されたことに伴い、空気感染対応の第2種感染症病室の施設基準の策定の準備をする。
研究方法
第一種感染症指定医療機関の感染症に対する診療の基本を熱帯・輸入感染症の診療と予防を目指すことによって、上記の諸問題を克服する。つまり1)熱帯・輸入感染症のガイドラインの作成や、講習会、セミナーを通じて専門知識・技術の底上げと、人材を養成する。2)医学テレビ会議システムで感染指定医療機関を結び、迅速な情報交換・共有体制を図る。3)我が国の一種感染症に相当する感染症の諸外国での診療体制を学び優れた点を取り込む。4)行政機関(保健所、消防署、警察など)と医療機関(地域中核)、医師会・薬剤師会との連携を図り、地域医療連携体制を図る。5)まずは空気感染に対応した結核患者が入院する病室の施設基準を策定する。
結果と考察
ドイツ、イタリアおよび欧州連合のウイルス性出血熱診療体制を視察し「ラッサ熱におけるリバビリン治療に関する研究」の雛型を作成し、一類感染症ガイドライン作成の参考とした。医師、医療関係者を対象とした輸入感染症講習会、国際感染症セミナーを実施した。りんくう医療センター及び成田赤十字病院に医学テレビ会議システムを設置し国立国際医療センターのシステムと連結し、第一種感染症対策の施設間ネットワークを強化した。「新宿区インフルエンザ対策連絡会」に参画し、一類感染症を含む新興・再興感染症発生時の地域連携モデルの構築を目指した。
 加えて、結核患者を収容する医療機関に求められる施設基準として、32項目からなる施設基準(基本的推奨事項)を提示した。
これらの実践と成果により、効率の良い医療体制作りの有効性と今後強化すべき点などが確認された。
結論
診療ガイドラインの策定準備や人材養成プログラムの実施、施設間のネットワーク強化、ホームページの有効的活用などにより、一類感染症及び新興・再興感染症に対する効率の良い体制作りの基盤を作った。今後、これらの充実・強化を図り、具体的ガイドラインの提示や感染症ホットラインの設置、ネットワークや人材養成の拡大・拡充に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
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