緑内障診断SNPチップと変形プロテオミクスクラスター解析による緑内障統合的診断法の開発

文献情報

文献番号
200828017A
報告書区分
総括
研究課題名
緑内障診断SNPチップと変形プロテオミクスクラスター解析による緑内障統合的診断法の開発
課題番号
H20-感覚器・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木下 茂(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 森 和彦(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
  • 田代 啓(京都府立医科大学 ゲノム医科学)
  • 長崎 生光(京都府立医科大学 数学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では日本における中途失明原因疾患の第1位である緑内障の大部分を占める広義原発開放隅角緑内障(POAG)のゲノム診断法を現実化するために、ゲノムワイド相関解析とその確認試験によるPOAGマーカーSNPs同定と変形プロテオミクスデータ取得によるPOAG関連血中マーカータンパク質同定、さらに診断支援・強化のためのアルゴリズムの構築を目的とした。
研究方法
POAGおよび正常コントロール例に対して血液サンプルの収集と緑内障臨床検査を行った。なおPOAG症例は京都府立医大緑内障専門外来に受診中の患者から、正常コントロール例は緑内障正常ボランティア健診事業受診者から選択した。診断SNPチップ作製のためのマーカーSNPs同定実験と、cytometric bead array system法を応用して29種類のサイトカインの血漿中濃度を同時測定する変形プロテオミクス解析データ取得実験を実行した。ジェノタイピングデータと血中サイトカイン濃度データの関係を総合する診断アルゴリズム構築の検討をSupport Vector Machine(SVM)を用いて行なった。
結果と考察
POAG1028例、正常コントロール例1144例のゲノムサンプルと臨床データを収集した。このサンプル中の約1000例のゲノムDNAについてカスタムチップハイブリダイゼーション実験を完了した。今回のカスタムチップ解析結果を過去に行った718例の全ゲノム解析とMantel-Haenszel法で統合してPOAG例800対コントロール例800についてカイ2乗検定で解析して172個のマーカーSNPsを同定した。一方、変形プロテオミクス解析の手法では、125例について29種類のサイトカインの血漿中濃度同時測定を試みて4種類のサイトカインをPOAG関連血中マーカータンパク質として同定した。SNPs解析結果(遺伝的体質)と血漿中サイトカイン濃度(病態と遺伝的体質の両方が反映されている可能性がある)の両方のデータを統合的に解析するために次年度以降は症例数追加による同定マーカーSNPsとマーカーサイトカインの信頼性向上と総合的診断アルゴリズムの構築を目指す。
結論
172個のPOAGマーカーSNPsを同定することと4個のPOAGマーカーサイトカインを同定した。またSVMによる総合的診断アルゴリズムの構築を目指す方向性が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-