成人期における歯科疾患のスクリーニング体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200825046A
報告書区分
総括
研究課題名
成人期における歯科疾患のスクリーニング体制の構築に関する研究
課題番号
H20-循環器等(歯)・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
森田 学(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 口腔保健学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 川浪 雅光(北海道大学大学院歯学研究科歯周・歯内療法学教室)
  • 矢谷 博文(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座)
  • 花田信弘(鶴見大学歯学部探索歯学講座)
  • 高柴正悟(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 歯周病態学分野 )
  • 野村義明(鶴見大学歯学部探索歯学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
う蝕と歯周疾患は成人期の歯の喪失の主たる原因である。また,歯周疾患が,心臓疾患,呼吸器疾患のリスクを高める因子としても注目されている。歯の健康が,食べる楽しみを支え,健康寿命に影響しているである。
歯周疾患の検診内容としては,プローブの先を歯周ポケット内に挿入して歯周組織の破壊の程度を推定する方法が一般的である。しかし,この方法は多くのマンパワーが必要であり,一人当たりの検診時間が長くかかる欠点がある。また,検診手法が侵襲的であるために,出血や苦痛を伴うことも多い。
以上のことから,本研究では,質問調査をベースに生化学的検査を組み合わせることにより,将来の歯の喪失リスクの高い者,歯周疾患の有病者を非侵襲的に効率よくスクリーニングできるシステムを開発することを目的とする。
研究方法
①国内外で行われた疫学調査報告のうち,歯の喪失予測を試みた疫学研究のなかで,適切な研究デザインと分析方法に沿って行われているものをレビューした。そのなかで,質問調査の項目として,また口腔内の指標として適当であると思われるものを選択した。
②唾液や血液を用いての検査方法について,それらの検査がスクリーニング検査として応用可能であるか文献的にレビューした。
結果と考察
①質問調査のみ用いて将来予想をしているのではなく,口腔内の診査結果と質問調査の組み合わせた情報をもとに将来の予想モデルを構築していた。
②質問項目のうち,将来の歯の喪失予想のために使用可能であると思われる項目は,喫煙習慣,飲酒習慣,日常生活自立度,学歴,収入(または職種),ネガティブな経験,歯科の定期的受診の有無,義歯の使用,口腔自覚症状(歯がしみる,歯が動いている,かみにくい等)であった。
③歯科医師の介入で得られる情報としては歯冠修復や補綴処置の既往,またClinical Attachment Levelが将来の歯の喪失予測に特に重要であった。
④血液や唾液を使う方法は,過去の罹患あるいは断面的な状態を反映しているが,前向きの検討はなされていなかった。
結論
現在の状態を簡便に把握できる指標と将来を予測できる指標の組み合わせによって,スクリーニングメニューが構築できるのではと期待される。また,新たなコホート研究の必要性がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
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