日中両国を含む東アジア諸国におけるがん対策の質向上と標準化を目指した調査研究

文献情報

文献番号
200823054A
報告書区分
総括
研究課題名
日中両国を含む東アジア諸国におけるがん対策の質向上と標準化を目指した調査研究
課題番号
H20-3次がん・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 英夫(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
研究分担者(所属機関)
  • 味木 和喜子(国立がんセンター がん対策情報センター)
  • 井上 真奈美(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 田中 政宏(大阪府立成人病センター がん予防情報センター)
  • 松尾 恵太郎(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
  • 椙村 春彦(浜松医科大学 医学部)
  • 三宅 淳(東京大学 大学院光学系研究科)
  • 増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部門)
  • 河原 ノリエ(東京大学 先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,883,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日中両国を含む東アジア諸国におけるがん対策の質向上と標準化を図るために有益な情報を得ること。このため、初年度は①各国の地域がん登録の仕組みや問題点を明らかにすること、②がん一次予防に資する治験を得る端緒として、肥満度(BMI)とがん死亡との関連を明らかにするためのメタ解析プラットホームを構築すること、③東アジア地域において、DNAをはじめとした生体情報を含むがん情報データベースのネットワーク作りを日本主導で行うため、この地域の関連するインフラの整備状況を把握すること、とした。
研究方法
 目的①は、当該国での現地訪問視察、各施設の年次報告、本年度本研究班が当該外国人研究者を交えて開催した会議および関連文献による調査を行った。
目的②は、アジアコホート連合(ACC)の枠組みを利用して、アジア人を対象としたBMIとがん死亡との関連を分析できるコホート集団を検索、抽出し、統合解析参加を呼びかけた。
目的③は、中国での胃がん、大腸がん患者及び非がん患者の腫瘍組織及び抹消血リンパ球、現地訪問調査、関連文献及び国内で開催したワークショップから情報を得た。
結果と考察
①中国、韓国、台湾、フィリピン、インドネシアのがん登録事業について調査をしたところ、韓国と台湾は体制面、機能面ともに日本よりかなり進んでおり、中国もこれまで地方行政機関が実施してきたがん登録事業を中央政府が介入し、機能面での強化が図られつつあった。
②日本8、中国4、台湾2、韓国1、インド2、シンガポール1、バングラディシュ1の合計19コホート集団(合計約114万人、12万件の死亡)が統合解析に参加することとなった。
③ギガシークエンサーなどの革新的機器はシンガポール、中国、韓国において多数保有されており、また韓国では国家的プロジェクトとしてコホート研究とゲノム研究の連携が進んでいた。
結論
 東アジア諸国の地域がん登録のいくつかは、日本のがん登録の精度を上回っており、日本から生存率協同調査を呼びかけることが十分可能であった。また、同地域におけるがん情報データベース化もかなり進んでおり、日本主導でこのネットワーク化の推進を図るためには、国内でのインフラとシステムの整備が重要であると思われた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
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