文献情報
文献番号
200823029A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 正和(大阪府立健康科学センター健康生活推進部)
研究分担者(所属機関)
- 片野田 耕太(国立がんセンターがん対策情報センター)
- 福田 敬(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻)
- 大和 浩(産業医科大学産業生態科学研究所)
- 望月 友美子(国立がんセンター研究所)
- 大島 明(大阪府立成人病センターがん相談支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
31,332,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、肺がん等の喫煙関連疾患の1次予防の推進を目指して、喫煙者に対する禁煙治療・支援の推進と喫煙者の禁煙の動機を高める環境整備の両視点から、禁煙者を増加させるための方法論や普及方策を検討し、政策提言を行うことにある。
研究方法
禁煙治療・支援と禁煙の動機を高める環境整備の推進にむけて、効果的な方法論や方策の検討と開発、政策提言にあたっての各種エビデンスの構築を行った。
結果と考察
禁煙治療・支援の推進に関する研究として、健診の場での禁煙の取り組みを推進するため、指導者マニュアルを開発した。今年度新たに保険薬として収載されたバレニクリンに関する内容を加えて、13のクリニカル・クエスチョンからなる禁煙治療の診療ガイドラインの骨子を完成させた。現実的な条件下での禁煙治療の経済性について感度分析を行い、禁煙治療が経済性に優れていることを確認した。喫煙者の禁煙行動のモニタリング調査の結果から、禁煙試行者が禁煙治療を受ける割合が保険適用2年目にそれまでの4%から7%に増加する傾向がみられた。しかし、この割合は英国と比較して約1/4も低く、禁煙治療へのアクセスの向上と禁煙治療の必要性の啓発が必要と考えられた。喫煙者に禁煙を動機づける環境整備の研究として、たばこ増税の動きが活発化する中で、その検討に役立つエビデンスを提供するため、たばこ増税による死亡数減少効果の予測を行った。喫煙起因死亡を効果的に減少させるには、大幅なたばこの値上げと禁煙治療を組合せることが重要と考えられた。今回たばこ増税は実現しなかったが、今後、より綿密な戦略のもとで世論の形成や政策化にむけての働きかけができるよう検討する。公的場所や職場における喫煙規制の強化にむけて、建物内禁煙を推奨する科学的根拠を提供するため、建物内禁煙による喫煙関連疾患の減少などに関するリサーチ・クエスチョンを設定し、システマティックレビューを行った。たばこ対策の推進に関連した13の研究班に呼びかけ、合同戦略会議を開催し、研究内容の共有化、研究成果を政策に役立てる仕組みや戦略の検討を行った。
結論
今後、健診の場での禁煙の働きかけが制度として実現するよう研究班として政策提言を行う。喫煙者に禁煙を動機づける環境整備として、タバコ価格・税の大幅引き上げと公的場所・職場における喫煙規制の強化に引き続き焦点を当てて、総合戦略の検討と政策化に役立つエビデンスの提供を行う。
公開日・更新日
公開日
2009-04-08
更新日
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