膝痛の診断・治療に関する調査研究 -関節マーカーを用いた早期診断と予後予測の確立に関する研究-

文献情報

文献番号
200821074A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛の診断・治療に関する調査研究 -関節マーカーを用いた早期診断と予後予測の確立に関する研究-
課題番号
H20-長寿・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山田 治基(藤田保健衛生大学 医学部 整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 石黒直樹(名古屋大学 医学系研究科 整形外科)
  • 馬淵昭彦(東京大学 大学院医学系研究科 )
  • 宗田 大(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科)
  • 岩崎倫政(北海道大学 大学病院 )
  • 福井尚志(独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) 病態総合研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
要介護となる末期変形性膝関節症(OA)患者を減少させるためOAを発症、重症化するpopulationを特異的なマーカーにより早期選別することを目的とする。OAは初期には骨・軟骨の自己修復が期待できる疾患であり関節マーカーにより早期に検知して生活習慣の改善、体重軽減、運動療法等といった啓蒙を効果的に組み合わせることで進行を防止し要介護患者の発生を低下させることを目標とする。
研究方法
1)大規模地域住民コホートに対するマーカーによる病態評価、2)OA軟骨変性に特異性の高い新規マーカーの開発の2方面からマーカーの有用性を検証した。
結果と考察
本邦における大規模住民コホートにより抽出されたデータベースと検体をもとに関節マーカーによるOAの早期診断における有用性を検証した。II型コラーゲンの分解マーカーであるCTX-IIおよび軟骨のマイナー蛋白であるCOMPの血清中濃度がX線上のOA病期と高度に相関している事が明かとなった。軟骨マトリックスの分解フラグメントがOAの病態に密接に反映しており血中マーカーによるOA病態評価が可能であることを本邦での大規模コホートを使用してはじめて明らかにした。
ポストゲノムとして注目されている糖鎖のN-glycanを関節マーカーとして応用するためマウス軟骨中のN型糖鎖構造解析を行いOA早期より糖鎖構造が変化していることを証明し変化しているN型糖鎖を同定した。II型コラーゲンフラグメントであるC2Cの検討については生活習慣病予防習慣を持つ群と持たない群において軟骨の変性をC2Cと精密な関節軟骨画像評価を用いて比較する住民検診体制の整備を完了した。関節液中の間葉幹細胞の解析を行った結果コロニー形成細胞は前十字靭帯損傷膝やOA膝には数多く存在し前十字靭帯損傷膝では関節軟骨の損傷・変性の程度とコロニー形成細胞数が正の相関を示していた。既存マーカーの効率的組み合わせを検討することでOA重症化の予測を行う研究では膝OA症例を対象に病態と臨床所見の経時的変化を知り検体収集のフォローアップを開始した。
結論
OA病態をマーカーにより評価することが可能であり本評価法は将来のOA発症、重症化を予知するスクリーニング法として画像などとは異なり簡便な手法として応用が可能と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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