変形性関節症の病態把握と治療効果判定を可能にする定量的機能診断システムの開発

文献情報

文献番号
200821060A
報告書区分
総括
研究課題名
変形性関節症の病態把握と治療効果判定を可能にする定量的機能診断システムの開発
課題番号
H19-長寿・一般-032
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 正人(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校)
  • 石原 雅之(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
  • 三谷 玄弥(東海大学 医学部)
  • 沓名 寿治(東海大学 医学部)
  • 菊地 眞(防衛医科大学校)
  • 持田 讓治(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
変形性膝関節症の本態は軟骨変性に伴う関節機能破綻であるが、現状では関節軟骨本来の機能に基づく客観的評価方法が欠如しているため、病態把握、治療効果判定も曖昧である。関節軟骨本来の機能である力学特性(粘性、弾性、潤滑)と組織性状を正確に計測し定量的に評価することが、より詳細な疾患病態把握と治療効果判定に重要であり、このような評価技術の導入が待望されている。我々は、組織工学的軟骨の評価技術として培った、非侵襲的な光音響法と時間分解自家蛍光スペクトル解析法を、変性軟骨の評価技術としての応用を提案する。
研究方法
ナノ秒パルスレーザー光の照射による安全性の確認のために培養軟骨細胞に照射し細胞増殖活性の評価をした。実用的な反射型プローブを開発するため関節鏡視下環境を構築できるヒトの関節に近い大きさの大型動物を用いて精度と感度を確認した。時間分解自家蛍光スペクトルに関しては、特殊な薬剤等は用いずに、光音響法と同一光源により励起された組織の自家蛍光を、デジタルパルスジェネレータで分光制御し、計測パラメータとして蛍光ピーク強度、半値幅、ピーク波長、蛍光体積、蛍光寿命を算出した。
結果と考察
【光音響法による力学特性評価】微弱で非侵襲的なナノ秒パルスレーザー光の照射により、局所で発生した応力波が組織内を伝播する過程で組織固有の粘弾性により減衰する現象に着目し、光音響法で力学特性を計測できる基本原理を確認した。また、反射型プローブを導入することで、関節鏡視下でも計測可能なシステムを開発した。
【時間分解自家蛍光スペクトル解析法による性状評価】関節軟骨は、II型コラーゲンに近似したスペクトルを呈し、ピーク波長並びに半値幅も近似することを確認した。軟骨の主要成分であるコラーゲンに関して、非侵襲的に性状評価が可能であった。
結論
光と生体との相互作用を利用した本計測システムは、関節鏡視下診断にも適しており、同一光源で変性軟骨の力学特性と性状評価が可能である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-