大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発

文献情報

文献番号
200821012A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発
課題番号
H18-長寿・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
髙田 和子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 小長谷 陽子(認知症介護研究・研修センター 大府センター)
  • 田中 喜代次(国立大学法人 筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 祐子(財団法人 東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所 自立促進と介護予防研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
11,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
初年度に本研究班で作成した生活機能低下リスクスクリーニング項目について、体力測定や血液検査データ、体格指数などの客観的指標との関連、介入による変化を反映しうるか、介護認定の有無、生活機能低下などの予後との関連を検討することで、それらの指標の有用性を評価した。また、地域在住高齢者の認知機能とQOLの関係を検討した。
研究方法
生活機能低下リスクスクリーニング項目と客観的指標との断面的な検討では、生活機能低下リスクスクリーニング項目の該当の有無と、体力測定、血清アルブミン、体格指数との関係を断面的に検討した。縦断的検討としては、地域在住高齢者のコホートにおける初回調査データと6年後に実施した調査における介護認定の有無の関係から、生活機能低下リスクスクリーニング項目として使用した一部の項目について、その項目と介護認定の関係を検討した。また、生活機能低下リスクの1年後の変化や運動介入の前後での変化についても検討した。認知機能については、地域在住高齢者のデータを使用して、認知機能とQOLの関係について検討した。
結果と考察
本研究班の生活機能低下スクリーニング指標は、体力測定や血清アルブミン、体格指標と良く関連し、要介護認定のリスクや生活機能低下を予測しうる可能性が示された。しかし、一部の項目については、質問内容やカットラインについてさらに検討が必要と思われた。また、QOLが性・年齢・教育歴だけでなく、認知機能によっても異なることが示された。
結論
生活機能低下スクリーニングの項目について、客観的指標との関連や予後との関係が明確となった指標もあり、基本チェックリストとは異なった使用方法の可能性があると思われた。しかし、栄養面の一部の項目については、質問文やカットラインなどについて、さらに改善が必要と思われた。また、認知機能については、簡易な指標を使用することで、QOLへの影響が明確になったことから、今後も地域在住高齢者における認知機能低下の関連要因の検討が可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200821012B
報告書区分
総合
研究課題名
大規模コホートの観察研究に基づく生活機能低下スクリーニング質問表の開発
課題番号
H18-長寿・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
髙田 和子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 小長谷 陽子(認知症介護研究・研修センター 大府センター)
  • 田中 喜代次(国立大学法人 筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 祐子(財団法人 東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所 自立促進と介護予防研究チーム)
  • 權 珍嬉(東京都老人総合研究所 自立促進と介護予防研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
要介護リスクの評価や介入による要介護リスクの改善を評価しうる指標として、生活機能低下スクリーニング質問票の提案、地域の在宅高齢者の継続的な調査から、自立度低下のナチュラルコースを検討と今後の検討のためのデータベースの整備、簡易な認知機能検査による知機能低下への関連要因の検討を目的とした。
研究方法
初年度には、分担研究者のコホートデータを使用して、自立度低下・要介護のリスクとなりうる項目を抽出し、生活機能低下リスクスクリーニング項目を検討した。2年目以降は、その項目について、体力測定や栄養指標、他の関連指標との関係を横断的に検討した。さらに3年目には、1年間の変化、運動介入前後での変化、介護認定のリスクを評価しうるかについて検討した。地域在住高齢者について、複数の地域で調査を実施し、自立度低下のナチュラルコースと関連要因を検討した。認知機能については、1年目のプレテストと地域在住高齢者への予備調査ののち、2年目に地域在住高齢者への調査を実施し、認知機能と他の要因との関係を検討した。
結果と考察
初年度は、生活機能低下リスクスクリーニング項目として、栄養・体力・気力のそれぞれ5項目ずつ計15項目からなる質問表案を作成した。横断的な検討からは、本研究班の生活機能低下スクリーニング指標は、体力測定や血清アルブミン、体格指標と良く関連していた。縦断的な有用性の検討では、要介護認定のリスクや生活機能低下を予測しうる可能性が示された。しかし、一部の項目については、質問内容やカットラインについてさらに検討が必要と思われた。地域在住高齢者の自立度変化の検討からは、自立度の変化に初期の疾病の有無や期間中の新規発症の影響が大きいこと、疾病発症や自立度の低下が、体重の維持、タンパク質を含む食品の摂取、運動習慣の継続などにより予防できる可能性が示された。Telephone Interview for Cognitive Status(TICS)日本語版(TICS-J)による調査では、TICS-Jの得点が地域在住高齢者において、ほぼ正規分布し、年齢や教育歴との関連やQOLへの影響が明らかになった。
結論
生活機能低下スクリーニングの項目について、客観的指標との関連や予後との関係が明確となった指標を示すことができた。栄養面の一部の項目については、質問文やカットラインなどについて、さらに改善が必要と思われた。認知機能については、簡易な指標が、地域在住高齢者における認知機能低下の関連要因の検討に利用できる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
海外においては、多数の高齢者のコホート研究による生活機能低下のリスクに関連する研究が数多くされているが、日本人を対象とした研究は限られている。本研究においては、地域在住高齢者を対象とした複数のコホートでの調査を継続し、自立度の変化に関連する要因の検討や、それを基にした質問表について検討できた。また、本研究期間において、各コホートで継続した調査が実施できたことにより、今後も論文発表等が期待できる。
臨床的観点からの成果
生活機能低下リスクのスクリーニング指標として、断面的な検討だけでなく、縦断的な検討からも裏付けができたことは、今後、リスクの評価や介入効果の検証において有用な資料となった。また、認知機能について簡易に評価した指標においても、各種要因との関連が検討できたことは、今後の認知機能低下予防への対策や研究の発展において、貴重な資料を作成できた。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
審議会等で具体的には使用しなかったが、主任研究者は介護予防の栄養改善マニュアル改訂の協力委員であり、改定作業において参考とした。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
20件
原著論文(英文等)
18件
その他論文(和文)
14件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
54件
学会発表(国際学会等)
22件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Zhang J, Ishikawa-Takata K, Yamazaki H et al
Postural stability and physical performance in social dancers
Gaint & Posture , 27 , 697-701  (2008)
原著論文2
鈴木亮子、小長谷陽子
ループホーム入所の認知症(アルツハイマー病)高齢者に対する個人回想法の試み
日本認知症ケア学会誌 , 7 (1) , 70-87  (2008)
原著論文3
小長谷陽子、渡邉智之、高田和子他
新しい認知機能検査、TICS-Jによる地域在住高齢者のスクリーニング
日本老年医学会雑誌 , 45 (5) , 532-538  (2008)
原著論文4
Yasaku K, Ishikawa-Takata K, Koitaya N et al
One-year change in the second metacarpal bone mass associated with menopause nutrition and physical activity
The Journal of Nutrition, Health & Aging , 13 (6) , 545-549  (2009)
原著論文5
小長谷陽子、渡邉智之、髙田和子他
地域在住高齢者のQuality of Life (QOL)と認知機能の関連性
日本老年医学会雑誌 , 46 (2) , 160-167  (2009)
原著論文6
小長谷陽子、渡邉智之、太田壽城他
地域在住高齢者のQuality of Life (QOL)と慢性疾患およびその発症との関連性ー4年間の縦断調査の結果からー
日本老年医学会雑誌 , 47 (4) , 308-314  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-