文献情報
文献番号
200821003A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲かつ簡便な摂食・嚥下機能評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
金高 弘恭(東北大学 大学院医工学研究科 大学院歯学研究科(兼))
研究分担者(所属機関)
- 小坂 健(東北大学 大学院歯学研究科)
- 五十嵐 薫(東北大学 大学院歯学研究科)
- 薮上 信(東北学院大学 工学部)
- 枦 修一郎(東北大学 電気通信研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,420,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、口腔や咽頭など遮蔽された空間内での位置検出が可能な磁気式システムの特徴を生かし、摂食・嚥下機能の評価・治療に従来より用いられてきたVFやVEに代わりうる、①低侵襲で簡便、②高精度、かつ③低コストでの利用が可能な新しい摂食・嚥下機能評価システムを構築し、口腔機能向上プログラム対象者の選定やリハビリテーションに利用することで、より効率的な「介護予防サービス」を提供し、高齢者福祉および医療へ貢献していくことを目的とした。
研究方法
新システムの構築では、LC共振型ワイヤレス磁気マーカ(以下、LCマーカ)について、薄膜コイルを積層及びアモルファスリボンを積層といった2つの系統で、Q値およびS/N比の向上を検討した。さらに検出コイル径を小さくすることで位置精度の向上が見込まれるという数値解析結果を基に、実際に直径を小さくした検出コイルを製作し検討を行った。
また、市町村の住民健診における特定高齢者選定の際に専門の歯科医師により口腔内診査を行い、基本チェックリスト項目(自覚症状)と口腔機能に関する検査(咀嚼力測定,反復唾液嚥下テスト(RSST),口腔乾燥度)による検査結果との相関について検討を行った。
また、市町村の住民健診における特定高齢者選定の際に専門の歯科医師により口腔内診査を行い、基本チェックリスト項目(自覚症状)と口腔機能に関する検査(咀嚼力測定,反復唾液嚥下テスト(RSST),口腔乾燥度)による検査結果との相関について検討を行った。
結果と考察
特性の向上した複数個のLCマーカに対応した位置検出の性能評価を行った結果、励磁コイルのインピーダンス変動によって検出位置がずれることを指摘し、その補正方法を示した。その結果、検出コイルから100 mmの範囲において1 mm以下の位置精度で検出可能であった。また、新たに10 mm径の検出コイルを試作し、従来の25 mm径の検出コイルに対する位置検出性能の比較を行ったところ、精度の向上が認められた。
また、口腔機能評価では、咀嚼についてはある程度の相関がみられたが、むせることと反復唾液嚥下テスト、口腔乾燥と口腔水分量との関係は必ずしも相関しているとはいえず、スクリーニングの目的に合わせ簡便かつ精度の高い検査方法の開発が望まれ、本研究で開発された摂食・嚥下機能評価システムは、その目的に合致しうることが示唆された。
また、口腔機能評価では、咀嚼についてはある程度の相関がみられたが、むせることと反復唾液嚥下テスト、口腔乾燥と口腔水分量との関係は必ずしも相関しているとはいえず、スクリーニングの目的に合わせ簡便かつ精度の高い検査方法の開発が望まれ、本研究で開発された摂食・嚥下機能評価システムは、その目的に合致しうることが示唆された。
結論
介護予防プログラム対象者の選定に新しい摂食・嚥下機能評価システムが利用されるようになれば、より適格な対象者を把握することができるため、無駄を減らし、サービスが真に必要な人に対し効率的にサービスを提供できるようになり、厚生労働行政の観点からもその貢献度は高まる可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2017-10-03
更新日
-