極細径内視鏡用高機能中空ファイバの製作

文献情報

文献番号
200812042A
報告書区分
総括
研究課題名
極細径内視鏡用高機能中空ファイバの製作
課題番号
H20-ナノ・若手-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩井 克全(仙台電波工業高等専門学校 情報通信工学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,898,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高エネルギー伝送ならびに滅菌工程に耐える超細径中空ファイバが実現できれば、歯科内視鏡などの低侵襲治療の高効率化を図ることが可能である。本研究では、1.無機材料が内面にコートされた銀中空ファイバを用いる、2.内径0.1 mmの細径中空ファイバ、3.製作法が単純、低コスト化が可能の特長を有する。技術課題は、中空ファイバの銀膜の成膜が本質的な課題であり、内径0.1 mm、長さ25cmの超細径銀中空ファイバの製作を目標とする。
研究方法
銀膜の成膜に銀鏡反応を用いる。中空ファイバの内径が細いと流量は減り、ファイバ内面に粗い銀が形成される。そこでガラスキャピラリ (内径0.1 mm、長さ50 cm)を束ねたバンドルを製作し、流量の増加を行う。流量は、内径0.7 mm銀中空ファイバの製作条件から15 ml/min程度を目標とする。内径0.1 mmのガラスキャピラリ280本束を2個製作し並列に接続して流量は14.5 ml/minとなった。銀鏡条件は、1.前処理液にSnCl2溶液を用いる、2.銀鏡溶液温度は18度、3.銀鏡時間は3分である。銀鏡反応後、乾燥工程を行った。
結果と考察
光スペクトラムアナライザを用いて、銀中空ファイバ(内径0.1 mm、長さ35 cm)の損失波長スペクトルの測定を行った。損失の最大値と最小値の差が4.1 dB程度とファイバの伝送特性にばらつきがあることが分った。バンドル形成の際、端面を揃える事が難しく、溶液の流れ易さがファイバで異なったためと思われる。波長1 μmにおいて、最も低損失なファイバ(長さ35 cm)は7.5 dBであり、低損失なファイバを製作できることが分った。次に、カットバック法を用いて、内径0.1 mm、長さ20 cmの銀中空ファイバの赤外波長損失測定(波長1 μm)を行った。各種内径 (内径1 mm~0.25 mm)の銀中空ファイバの伝送損失値と比較した結果、内径0.1 mm銀中空ファイバの損失値は、各種内径の損失値付近を通る直線とほぼ一致することから、ファイバ内面に良好な銀膜の形成に成功した。
結論
内径0.1 mm、長さ35 cmの超細径銀中空ファイバの製作を行い、目標を達成できた。今回の研究で表面粗さの少ない良好な超細径銀中空ファイバが製作できたことにより、歯科内視鏡用内径0.1 mm無機薄膜内装銀中空ファイバの製作が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-