室内空気環境汚染化学物質の標準試験法の策定およびリスク低減化に関する研究

文献情報

文献番号
202026003A
報告書区分
総括
研究課題名
室内空気環境汚染化学物質の標準試験法の策定およびリスク低減化に関する研究
課題番号
H30-化学-指定-002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 信夫(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 神野 透人(名城大学 薬学部)
  • 香川 聡子(横浜薬科大学 薬学部)
  • 田辺 新一(早稲田大学 創造理工学部)
  • 金 炫兌(山口大学 工学部)
  • 河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 東 賢一(近畿大学 医学部)
  • 埴岡 伸光(横浜薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
43,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
室内空気環境汚染化学物質は,シックハウス症候群や喘息等の病因あるいは増悪因子となることから,厚生労働省では揮発性/準揮発性有機化合物13物質に室内濃度指針値を定めている.近年,室内濃度指針値策定13物質の代替化学物質による室内空気環境汚染が報告されるようになり,シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(シックハウス検討会)において,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質リストが提案され,それらの曝露評価・リスク評価が「室内濃度指針値見直しスキーム」に基づいて進行中である.室内濃度指針値を新たに策定する際には,対象化学物質ごとに妥当性の評価・確認された標準試験法を提示する必要がある.先行研究(H27-化学-指定-002)において一部の研究開発が行われてきたが,現在までに標準試験法の提示(規格化)には至っていない.シックハウス検討会では,室内空気環境汚染化学物質調査等の結果に基づいて,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質が継続的に示されることになっており,これら化学物質の標準試験法についても可及的速やかに対応する必要がある.また,室内濃度指針値の新規策定に際しては,ステークホルダーとの適切なリスクコミュニケーションや国民の不安を払拭するための効果的な低減策の提示が望まれる.そのためには,室内における主要な発生源を特定し,その発生源によってもたらされる定量的なリスクに関する情報を提供する必要がある.しかしながら,多様な消費者製品について,そのような情報は極めて限られているのが現状である.本研究では,シックハウス検討会における審議に必要な科学的エビデンスを集積することによって厚生労働行政施策の円滑な進行に貢献することを主たる目的として,研究組織内に【標準試験法グループ】と【リスク評価グループ】の2つのサブグループを設置した.
研究方法
【標準試験法グループ】では,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質について標準試験法を策定する.さらに,既存の室内濃度指針値策定13物質の測定法についても,策定から15年以上が経過していることから,最新の分析技術を基に汎用性の高い標準試験法に改訂し,それらについて国内・国際規格化を推進する.【リスク評価グループ】では,室内環境中の多種多様な消費者製品から放散される揮発性有機化合物について,放散源の特定および曝露評価ならびにハザード評価の両面から研究を実施する.
結果と考察
【標準試験法グループ】においては,既存の室内濃度指針値策定物質の測定法について,策定から長い期間が経過していることから,最新の分析技術を基に汎用性の高い標準試験法を新たに開発し,それらについて国内・国際規格化を推進している(分担研究課題1~6).令和2年度の特筆すべき研究成果としては,当研究課題で開発・国内規格化した室内空気中フタル酸エステル類の測定法について,ISO/TC 146/SC 6 国際会議においてISO 16000-33への追加収載に係る新規提案が承認された.
【リスク評価グループ】においては,室内環境中の多種多様な消費者製品から放散される揮発性有機化合物 (VOCs) について,放散源の特定および曝露評価ならびにハザード評価の両面から研究を実施している(分担研究課題7~12).令和2年度の特筆すべき研究成果としては,今年度の特筆すべき研究成果としては,初期曝露評価および初期リスク評価の終了した11物質について曝露情報・有害性情報を包括的に集積した.
結論
本研究課題に参画する6名の研究者(酒井,神野,香川,田辺,東,斎藤)は, シックハウス検討会の構成員を務めており,本研究課題における【標準試験法グループ】および【リスク評価グループ】の研究成果を随時提供することにより検討会の円滑な運営に貢献した.さらに,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室の担当官と定期的に協議することにより,指定型研究の使命を果たすべく,行政ニーズの把握と支援体制の構築を強化した.

公開日・更新日

公開日
2021-08-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-08-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202026003B
報告書区分
総合
研究課題名
室内空気環境汚染化学物質の標準試験法の策定およびリスク低減化に関する研究
課題番号
H30-化学-指定-002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 信夫(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 神野 透人(名城大学 薬学部)
  • 田原 麻衣子(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 香川 聡子(横浜薬科大学 薬学部)
  • 田辺 新一(早稲田大学 創造理工学部)
  • 金 炫兌(山口大学 工学部)
  • 河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 東 賢一(近畿大学 医学部)
  • 埴岡 伸光(横浜薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
室内空気環境汚染化学物質は,シックハウス症候群や喘息等の病因あるいは増悪因子となることから,厚生労働省では揮発性/準揮発性有機化合物13物質に室内濃度指針値を定めている.近年,室内濃度指針値策定13物質の代替化学物質による室内空気環境汚染が報告されるようになり,シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(シックハウス検討会)において,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質リストが提案され,それらの曝露評価・リスク評価が「室内濃度指針値見直しスキーム」に基づいて進行中である.室内濃度指針値を新たに策定する際には,対象化学物質ごとに妥当性の評価・確認された標準試験法を提示する必要がある.先行研究(H27-化学-指定-002)において一部の研究開発が行われてきたが,現在までに標準試験法の提示(規格化)には至っていない.シックハウス検討会では,室内空気環境汚染化学物質調査等の結果に基づいて,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質が継続的に示されることになっており,これら化学物質の標準試験法についても可及的速やかに対応する必要がある.また,室内濃度指針値の新規策定に際しては,ステークホルダーとの適切なリスクコミュニケーションや国民の不安を払拭するための効果的な低減策の提示が望まれる.そのためには,室内における主要な発生源を特定し,その発生源によってもたらされる定量的なリスクに関する情報を提供する必要がある.しかしながら,多様な消費者製品について,そのような情報は極めて限られているのが現状である.本研究では,シックハウス検討会における審議に必要な科学的エビデンスを集積することによって厚生労働行政施策の円滑な進行に貢献することを主たる目的として,研究組織内に【標準試験法グループ】と【リスク評価グループ】の2つのサブグループを設置した.
研究方法
【標準試験法グループ】では,室内濃度指針値の採用を新たに検討すべき化学物質について標準試験法を策定する.さらに,既存の室内濃度指針値策定13物質の測定法についても,策定から15年以上が経過していることから,最新の分析技術を基に汎用性の高い標準試験法に改訂し,それらについて国内・国際規格化を推進する.【リスク評価グループ】では,室内環境中の多種多様な消費者製品から放散される揮発性有機化合物について,放散源の特定および曝露評価ならびにハザード評価の両面から研究を実施する.
結果と考察
【標準試験法グループ】においては,既存の室内濃度指針値策定物質の測定法について,策定から長い期間が経過していることから,最新の分析技術を基に汎用性の高い標準試験法を新たに開発し,それらについて国内・国際規格化を推進した(分担研究課題1~6).
【リスク評価グループ】においては,室内環境中の多種多様な消費者製品から放散される揮発性有機化合物 (VOCs) について,放散源の特定および曝露評価ならびにハザード評価の両面から研究を実施した.
結論
本研究課題に参画する6名の研究者(酒井,神野,香川,田辺,東,斎藤)は, シックハウス検討会の構成員を務めており,本研究課題における【標準試験法グループ】および【リスク評価グループ】の研究成果を随時提供することにより検討会の円滑な運営に貢献した.さらに,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室の担当官と定期的に協議することにより,指定型研究の使命を果たすべく,行政ニーズの把握と支援体制の構築を強化した.

公開日・更新日

公開日
2021-08-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-08-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202026003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(化学物質リスク研究事業)事後評価結果において、学術的観点から「関連論文も多く、充分な成果が得られている。」と評価された。
臨床的観点からの成果
本研究は直接的な臨床応用を企図した研究ではないが、得られた成果を厚生労働省の検討会における審議等に必要な科学的エビデンスとして提示し、臨床研究等に有効活用されることが期待される。
ガイドライン等の開発
●室内濃度指針値の改定(平成31年1月17日薬生発0117第1号 厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
●日本薬学会編 衛生試験法・注解2015 追補2019
●日本薬学会編 衛生試験法・注解2020
●ISO 16000-33: Determination of phthalates with gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS)のシステマティックレビュー
その他行政的観点からの成果
令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(化学物質リスク研究事業)事後評価結果において、 行政的観点から「研究成果が行政に反映され、社会的貢献がなされている。行政ニーズに対して適切な研究成果を提出している。標準試験法やリスク評価された物質については行政的に有効である。標準試験法の国内・国際規格化が順調に推進されていると考えられる。」と評価された。
その他のインパクト
国内学会においてシンポジウムを企画した。
●環境科学会2019年会
●フォーラム2019 衛生薬学・環境トキシコロジー

発表件数

原著論文(和文)
15件
原著論文(英文等)
22件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
75件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-08-25
更新日
2023-06-06

収支報告書

文献番号
202026003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
43,000,000円
(2)補助金確定額
43,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 31,689,856円
人件費・謝金 4,404,841円
旅費 66,528円
その他 6,838,775円
間接経費 0円
合計 43,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-09-07
更新日
-