関節リウマチをモデルとした病型・病態進行予測ツールおよび遺伝子検査システムの開発

文献情報

文献番号
200807022A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチをモデルとした病型・病態進行予測ツールおよび遺伝子検査システムの開発
課題番号
H20-ゲノム・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
猪子 英俊(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井ノ上 逸朗(東海大学 医学部)
  • 田中 正史(東海大学 医学部)
  • 岡 晃(東海大学 医学部)
  • 光永 滋樹(東海大学 医学部)
  • 木下 健司(武庫川女子大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
49,873,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)感受性遺伝子の多型と診療情報との関連解析に基づく病態進行予測ツールを開発し、それによる適切な投薬・治療での患者QOLの向上を目指すとともに、診断に用いるための迅速・簡便な検査法を開発する。
研究方法
1. 予測ツール作成に必要な遺伝子多型情報を収集するための新規収集検体でのSNP解析を目的として、我々および他グループから報告があるRA感受性遺伝子領域からSNPを選択した。
2. 予測ツールの精度をあげるために、既報のRA感受性遺伝子のメタ・アナリシスを行った。
3. RAと関連するSNPを網羅的に検出するため、Bayesian logistic regression (BLR) を用いた複数SNP同時関連解析法の検討を行った。
4. 新規に収集したRA患者検体と健常人検体のHLAのタイピングを行い、関連解析を行った。
5. RA発症における最大の遺伝要因であるHLAを、LAMP法を用いてタイピングする方法を検討した。
結果と考察
1. 1,144個のSNPを選定し、対象領域合計6,888kb、平均インターバル6.0kbとなった。これらのSNPの日本人集団におけるMAFは平均0.283であり、遺伝統計学的な解析に耐えうるものと考えられた。
2. 研究間で遺伝的効果の異質性が認められたため、異質性を考慮に入れた変量モデルを用いてメタ・アナリシスを行ったところ、TNFAIP3-OLIG3、STAT4、TRAF1-C5、PADI4でRAとの有意な関連が認められた。
3. BLRを用いて我々が有しているSNPデータの再解析を行ったところ、NOTCH4およびBTNL2のSNPを含むモデルが選択された。連鎖不平衡にある領域内の複数SNPのうち、独立して疾患と関連しているSNPを検出する手法として有効であることが確認された。
4. 有意差を示したものはDRB1*0405、0802、1302の3個であり、DRB1*0802、1302は protective であった。Genotype との関連解析では、DRB1*0405 +DRB1*0901のヘテロ接合体のみが RA 発症と強い関連を示した。
5. HLAアリル特異的、および群特異的増幅が可能であった。プローブを固定したプラスチック基板上でLAMPを行うことによる肉眼判定も可能であった。
結論
病型・病態進行を予測するアルゴリズム開発体制が整い、HLA領域の多型解析システムの実用化が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2009-08-06
更新日
-