脱細胞化生体組織による再生医療技術の臨床応用

文献情報

文献番号
200806005A
報告書区分
総括
研究課題名
脱細胞化生体組織による再生医療技術の臨床応用
課題番号
H19-再生・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岸田 晶夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 藤里 俊哉(大阪工業大学 工学部)
  • 山岡 哲二(国立循環器病センター研究所 生体工学部)
  • 北村 惣一郎(国立循環器病センター研究所 生体工学部)
  • 湊谷 謙司(国立循環器病センター)
  • 白数 昭雄(ニプロ株式会社)
  • 小林 尚俊(物質・材料研究機構 生体材料センター)
  • 佐々木 秀次(都立広尾病院 眼科)
  • 木村 剛(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人工角膜や人工血管の開発が十分でないため、角膜や心臓弁などの組織移植は治療に欠かせない技術となっている。しかし、臓器移植と同様に提供数が少ないことが問題である。この問題を解決するため、動物組織を用いた異種組織移植の開発が各国で試みられている。本研究では、脱細胞化を実現する新しい技術である超高圧印加法を用い、近い将来に臨床応用が期待できる循環器系組織(血管、心臓弁)および角膜組織に対象を絞り、有効性・安全性の評価とともに製品化のための基礎研究を含めた検討を行う。
研究方法
超高圧印加法を用いた脱細胞化技術により、脱細胞化心臓弁および血管を調製する。臨床応用を想定し、脱細胞化組織の強度、物理特性、および品質安定性を担保する方法について検討する。ミニブタ置換移植実験にて基材の有効性を確認する。長期移植を行い、内膜肥厚、石灰化などについて組織学的に摘出組織を評価する。小口径血管への応用を想定し、ヘパリン等の機能性分子の複合化について検討する。角膜実質部の脱細胞化プロトコールの確立と、透明性を確保できる条件を探索する。脱細胞化角膜上での角膜上皮細胞および内皮細胞の培養について検討する。
結果と考察
循環器系組織については、長期の移植実験によりエラスチンを除去することによって石灰化を抑制できることをブタ移植実験によって確認できた。また、脱細胞化法を改良することにより、さらに石灰化や強度低下の少ない脱細胞化組織が得られることを確認した。角膜系の研究については、脱細胞化ブタ角膜の特性解析および脱細胞化法の検証がほぼ終了し、心臓弁・血管系とは若干異なる方法であるが、脱細胞化方を確定した。ブタ脱細胞化角膜のウサギへの移植実験を行った結果、角膜内部移植により透明性の早期回復と維持を確認し、また、上皮欠損部への1年間の移植により、透明性の回復とともに角膜上皮の再生を確認できた。
結論
循環器系組織については、脱細胞化法の改良により、さらに石灰化や強度低下の少ない脱細胞化組織が得られたことがin vivo実験にて確認できた。安全性を確保のために新しい脱細胞化プロトコールの検証を長期埋め込み試験にて行う。角膜については、脱細胞化角膜移植にて角膜上皮が再生され、臨床応用の上で非常に有用であると考えられた。長期埋め込み試験を継続するとともに、対象疾患として円錐角膜に焦点を絞り、臨床応用に必要な移植法ならびに術後管理の方法について検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
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