文献情報
文献番号
202018008A
報告書区分
総括
研究課題名
国立機関・専門家の連携と地域研修の実態調査による発達障害児者支援の効果的な研修の開発
課題番号
19GC1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 正次(中京大学 現代社会学部)
研究分担者(所属機関)
- 井上 雅彦(鳥取大学 大学院医学系研究科 臨床心理学講座)
- 岩永 竜一郎(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部)
- 黒田 美保(帝京大学文学部)
- 笹森 洋樹(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター)
- 鈴木 勝昭(宮城県子ども総合センター/浜松医科大学医学部)
- 高柳 伸哉(愛知東邦大学 人間健康学部)
- 西牧 謙吾(国立リハビリテーションセンター/発達障害情報・支援センター)
- 浜田 恵(名古屋学芸大学ヒューマンケア学部)
- 日詰 正文(独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園 総務企画局 研究部)
- 三上 珠希(阿部 珠希)(弘前大学大学院医学研究科附属子どものこころの発達研究センター)
- 明翫 光宜(中京大学心理学部)
- 吉村 優子(金沢大学人間社会研究域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,930,000円
研究者交替、所属機関変更
<研究者交替>
2019年度:加賀佳美(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所 知的・発達障害研究部・知的障害研究室長)
→2020年度:岡田 俊(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所・知的・発達障害研究部・部長)
<所属機関変更>
1.黒田美保
2019年度:名古屋学芸大学・ヒューマンケア学部
→2020年度:帝京大学文学部心理学科
2.鈴木勝昭
2019年度:医療法人好生会 小笠病院・精神科
→2020年度:宮城県子ども総合センター附属診療所
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、①発達障害者の理解と支援に関する標準的な研修の開発、②発達障害児者の理解と支援の研修に関する実態把握、③開発された研修プログラムの効果検証であった。
研究方法
①本研究のコンソーシアムによる意見交換会を3回(2020年5月23日、6月28日、8月29日)開催し、各分野の専門家26名から発達障害の理解と支援に活用されているアセスメント・ツールや支援技法等について情報共有を行い、2日間の研修プログラムとして構成した。関連する専門家からの内容確認と改善点の指摘を得るため、試行的研修を2回(2020年10月17-18日、10月31日-11月1日)実施し、内容について確認と修正を行った。
②2020年12月に全国の発達障害者支援センター94ヶ所と教育センター103ヶ所に調査用紙を郵送し、任意での調査協力を求めた。回答数は150ヶ所(発達障害者支援センター79ヶ所、教育センター64ヶ所、その他7ヶ所)で、配付総数に対する回収率は76.1%(発達障害者支援センター84.0%、教育センター62.1%)であった。
③開発した2日間の研修プログラムについて、発達障害情報・支援センターの研修情報サイトに計4回の日程を掲載し、主に発達障害者支援センターと教育センター職員を対象に申し込みを受け付けた。本研修の受講を希望する者に本研究の目的と事前事後アンケートへの任意での協力依頼、アンケートの回答有無の違いによる参加者への不利益はない旨を明示した。なお、本研修は全て講師と参加者の機器のインターネット接続によるリアルタイム型オンライン研修の形態で実施した。研修実施前後での本研修で扱ったアセスメント・ツールや支援技法に関する認知度の変化について、回答割合の変化の比較から検証を行った。
②2020年12月に全国の発達障害者支援センター94ヶ所と教育センター103ヶ所に調査用紙を郵送し、任意での調査協力を求めた。回答数は150ヶ所(発達障害者支援センター79ヶ所、教育センター64ヶ所、その他7ヶ所)で、配付総数に対する回収率は76.1%(発達障害者支援センター84.0%、教育センター62.1%)であった。
③開発した2日間の研修プログラムについて、発達障害情報・支援センターの研修情報サイトに計4回の日程を掲載し、主に発達障害者支援センターと教育センター職員を対象に申し込みを受け付けた。本研修の受講を希望する者に本研究の目的と事前事後アンケートへの任意での協力依頼、アンケートの回答有無の違いによる参加者への不利益はない旨を明示した。なお、本研修は全て講師と参加者の機器のインターネット接続によるリアルタイム型オンライン研修の形態で実施した。研修実施前後での本研修で扱ったアセスメント・ツールや支援技法に関する認知度の変化について、回答割合の変化の比較から検証を行った。
結果と考察
①本研究のコンソーシアムによる意見交換会を3回実施し、発達障害の理解と支援に効果的と思われるアセスメント・ツールと支援技法等を取り入れた2日間の研修プログラムを考案した。作成された研修プログラムについて、発達障害支援に関わる専門家・支援者ら26名を対象とした試行的研修を行い、本研究の内容について支持と改善点を受けた。これらの結果を踏まえ、効果検証に用いる研修プログラム資料を作成した。また、研修資料は作成担当者だけでなく、他の者が講師を務めることが可能となるように、プレゼン資料に原稿テキストを含めたデータファイルとして作成した。
②全国の発達障害者支援センターと教育センターを対象にアンケートを実施し、本研修プログラムで扱うアセスメント・ツールと支援技法等に関する研修実施の実態調査を行った。その結果、機関種別で扱う研修内容に差があること、一部のアセスメント・ツールや支援技法では認知度が十分ではないこと、全体的にアセスメントよりも支援技法等の研修がより実施されている傾向が明らかとなった。
③本研究①で作成された研修プログラムについて、発達障害者支援センターや教育センター職員を主な対象としたオンライン研修会を計4回実施した。研修会の参加者は計4回でのべ130名(発達障害者支援センター71名、教育センター27名、その他機関32名)であった。事前・事後アンケート両方に回答した者は合計87名(発達障害者支援センター54名、教育センター18名、その他15名)で有効回答率は66.9%であった。参加者への事前事後アンケートの結果、研修プログラムで紹介したアセスメント・ツールや支援技法等について、特に事前調査で認知度の低かった項目で著しい認知度の向上がみられた。本研究の実施により、発達障害の理解と支援に有用なアセスメント・ツールや支援技法等について参加者の認知度を向上させる効果が確認された。
②全国の発達障害者支援センターと教育センターを対象にアンケートを実施し、本研修プログラムで扱うアセスメント・ツールと支援技法等に関する研修実施の実態調査を行った。その結果、機関種別で扱う研修内容に差があること、一部のアセスメント・ツールや支援技法では認知度が十分ではないこと、全体的にアセスメントよりも支援技法等の研修がより実施されている傾向が明らかとなった。
③本研究①で作成された研修プログラムについて、発達障害者支援センターや教育センター職員を主な対象としたオンライン研修会を計4回実施した。研修会の参加者は計4回でのべ130名(発達障害者支援センター71名、教育センター27名、その他機関32名)であった。事前・事後アンケート両方に回答した者は合計87名(発達障害者支援センター54名、教育センター18名、その他15名)で有効回答率は66.9%であった。参加者への事前事後アンケートの結果、研修プログラムで紹介したアセスメント・ツールや支援技法等について、特に事前調査で認知度の低かった項目で著しい認知度の向上がみられた。本研究の実施により、発達障害の理解と支援に有用なアセスメント・ツールや支援技法等について参加者の認知度を向上させる効果が確認された。
結論
本研究①②③の結果から、本研究で開発した研修プログラムは、発達障害者支援センターや教育センターの職員が本研修資料を用いて研修を行うことを可能としており、各センターにおける研修準備の負担を軽減することで研修実施の機関差を改善することが期待される。なお、本研修資料は受講した発達障害者支援センターと教育センターに無償にて配布され、関連する出版社等にも引用記載と両センターへの無償配布について確認・承諾を得た。また、第5回の意見交換会において本研修プログラムの社会実装について検討を行い、本研修資料や資料作成者が講師を務めたオリジナル動画について、発達障害情報・支援センターのポータルサイトに置くことで、今後発達障害者支援センターや教育センターが研修の際に参照できることとした。
公開日・更新日
公開日
2021-09-14
更新日
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