医療・介護制度における適切な提供体制の構築と費用適正化に関する実証的研究

文献情報

文献番号
200801024A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護制度における適切な提供体制の構築と費用適正化に関する実証的研究
課題番号
H19-政策・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 島崎謙治(政策研究大学院大学)
  • 郡司篤晃(聖学院大学 大学院)
  • 橋本英樹(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 宮澤仁(お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科)
  • 田城孝雄(順天堂大学 医学部)
  • 東修司(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
  • 川越雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部 )
  • 野口晴子(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部 )
  • 菊池潤(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,605,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療・介護制度における(1)平均在院日数の短縮化等の費用適正化策、(2)供給体制の確保策、に分類される個別施策内容について分析し、それらをふまえて、(3)制度改革の有効な実施方法について理論的に明らかにすることが本研究の目的である。
研究方法
(1)政策効果等を検証するために、目的外使用申請による総務省『就業構造基本調査(平成14年)』の個票データ等、市町村から利用許可を受けた医療・介護個票データ、などを用いた実証的な検討、(2)統計データには反映されない医療・介護提供現場の実態に関するヒアリング調査、(3)実証的な検討を政策提言に活かすための基盤となる理念的な研究、を組み合わせて実施した。
結果と考察
結果を例示すると次の通り。
 2002年の就業構造基本調査を用いて介護職、看護職、医師、の就業行動についての分析を行った。非正規(施設系+訪問系)と正規の訪問系の介護労働者については、その離職率が高い傾向にあると言えるが、正規の施設系については(少なくとも2002年時点では)あてはまらないことなどが明らかにされた。看護職については、看護師の離職は他職種の女性と同様に結婚・子育てが多く、離職者のうち無職者は75%であること、学歴と離職傾向には何らかの関係が見られるわけではないが、大卒看護師は他職種への転職が看護職からの離職の理由である可能性、が示唆された。女性医師の働き方については、女性医師は未婚・既婚で労働時間が異なるが男性医師にはそのような傾向が見られないこと、女性医師の配偶者の年収は800万円以上の者が過半であるが、他職種の女性就業者の配偶者は300-399万円が最も多いことなどが明らかにされた。
退院後のリハスタッフの継続関与の実態把握を目的に、ある県の病院(一般、回復期リハ、療養のいずれかを有する病院)を対象とした、『退院後のリハビリ専門職の継続関与に関する実態調査』を実施した。その結果、退院先をみると、「一般のみ」では、在宅退院が約6割に対し、「一般+回復期リハ」では、在宅退院は約5割で、約3割は「回復期リハ病床への転棟」であること、退院先への情報提供の約8割は書面のみであること、ケアマネは約半数の患者に対し、病院を訪問して情報を得ていることなどが明らかにされた。
結論
得られた研究成果について、データの年次・地域などの影響を可能な限り除去した上で政策提言を行う必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-