慢性腎臓病患者(透析患者等を含む)に特有の健康課題に適合した災害時診療体制の確保に資する研究

文献情報

文献番号
202012003A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性腎臓病患者(透析患者等を含む)に特有の健康課題に適合した災害時診療体制の確保に資する研究
課題番号
20FD1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
山川 智之(公益社団法人 日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 赤塚 東司雄(医療法人社団 赤塚クリニック)
  • 雨宮 守正(さいたま赤十字病院 腎臓内科)
  • 花房 規男(東京女子医科大学血液浄化療法科)
  • 宮崎 真理子(東北大学大学院医学系研究科)
  • 森上 辰哉(特定医療法人五仁会元町HDクリニック臨床工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国の慢性腎臓病患者数(CKD)は約1,300万人とされ,とくに災害対策基本法で要配慮者として規定されている透析患者は2019年末現在344,640人(日本透析医学会調べ)で今なお増加傾向にある.透析治療,特に血液透析治療が災害に脆弱であることは古くから認識されており,日本透析医会は過去から災害対応を活動の柱として取り組んできた.現在は,研究代表者が運営責任者を務める日本透析医会災害時情報ネットワークを中心にした施設間及び行政との情報共有・連携によって災害時の診療体制の確保を行ってきている.
 1995年の阪神・淡路大震災,2011年の東日本大震災,2016年の熊本地震など,透析医療に大きな影響を与えた災害を経験する中で,透析施設間の連携は強化され,災害支援の実行部隊である日本災害時透析医療協働支援チーム(Japan Hemodialysis Assistance Team in Disaster ;JHAT)が結成されるなど,災害対応のノウハウも蓄積される一方,想定外の事態に苦慮し教訓を得ることも少なくなかった.
 今後,首都直下地震や南海トラフ巨大地震など,透析医療に大きな影響を与えると思われる災害も想定され,これまでの経験の蓄積を生かしつつ,透析医療の災害時診療体制をより高いレベルで整備する必要がある.
 本研究では,過去の透析医療における災害対応につき,日本透析医会やJHATの対応も含め振り返りレビューするとともに,災害時透析医療ネットワークシステムの評価を行う.また,今後想定される災害の中でも最も透析医療に大きな影響を与えると考えられる首都直下地震及び南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた透析医療における対応想定及び問題点の抽出を行う.さらに血液透析よりも災害の影響を受けにくいとされる腹膜透析についての災害時の治療継続についての検討を行う.
 本研究によって抽出された災害時診療体制の確保における課題及び問題点に対する改善に向けての提言等を行うこととしており,それらについては次年度以降の研究において検討する予定である.
研究方法
 これまでに透析医療に影響を与えた災害の被災状況及び透析医療の確保状況等につき,日本透析医会やJHATの対応も含め過去の報告,政府の発表及び文献に基づきレビューした.また,今後透析医療に影響を与えることが考えられる大規模災害の被害想定を踏まえ,その対応想定と問題点の抽出を行った.
 災害時情報ネットワークのシステムの評価については,全国の透析施設を対象にアンケート形式で調査を行った.
 腹膜透析の治療継続については,東日本大震災,北海道胆振東部地震,2019年台風15号で被害を受けた腹膜透析管理施設に対する施設調査を行った.また,慢性腎臓病患者の実態についての検討は,既存の報告の分析により行った.
結果と考察
 これまで報告された支援透析を要した大規模災害に関し,過去の報告や調査などを含め総括的なレビューにより抽出された課題を踏まえ,透析医療機関が診療体制を継続するためのインフラを含む平時の準備や課題から,透析施設の平常時の備え及び災害発生時の対応を検討する.
 今後透析医療に影響を与える首都直下型地震や南海トラフ地震の際に影響を与える状況を踏まえ,透析医療の継続に必要な要件を検討する.
 組織支援としてのJHATにおける反省点や課題を踏まえ,今後の活動の在り方等を検討する.
 災害時情報ネットワークシステムの問題点等を踏まえ,システムの改修等も含めた検討する.
 大規模災害後の腹膜透析の治療継続については,小児への対応,長期間の停電,及び通信手段や道路の復旧の状況に応じた治療継続を目的とした入院病床の確保を含めたサポートなどについて検討する.
 災害時に支援を要するCKD患者においては優先度,緊急度とともに患者の転帰,医療体制の整備において発災後の中期的な視野に立った対応を検討する.
結論
 本研究によって抽出された災害時診療体制の確保における課題及び問題点の改善に向けて,次のことに関する提言等について,令和3年度及び令和4年度において検討する.
 ・透析施設における平常時の備え及び災害発生時の対応に関すること.
 ・地域の透析医療機関の連携,自治体との連携に関すること.
 ・介護事業者が備え準備すべきこと.
 ・災害時情報ネットワークに関すること.など

公開日・更新日

公開日
2021-07-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-07-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202012003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 193,050円
人件費・謝金 0円
旅費 60,000円
その他 4,246,955円
間接経費 500,950円
合計 5,000,955円

備考

備考
差額955円は、受取利息5円及び自己負担950円である。

公開日・更新日

公開日
2021-07-19
更新日
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